2011年01月13日

生産課題や共同体から切り離された学校教育が、暴走する特権階級を生み出した

暴走する特権階級を生み出した制度的原点は、生産課題や共同体から切り離された学校教育制度にあるのではないだろうか?
『るいネット』「明治時代初期:なぜ、学校一揆や学校焼き討ちが起こったのか?」から引用します。
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明治の初め、国家の教育制度に対して、「学校一揆」や「学校焼き討ち」が起こった。なぜ、庶民はここまでの強硬な行動に出たのだろうか?庶民にとって学校教育とはどんなものだったのだろうか?
1)学校教育は、村落共同体の農民自治に反するものだった
江戸時代の村落共同体は、農民自治が基本。教育も村ごとに主体的におこなっていた。子供たちは村の「子供組」「若者組」「娘組」などに所属し村の規範を学んだし、寺子屋の師匠も村が雇っていた。
それが、明治時代になって、村の事情にはお構いなく、国から学校教育を押し付けられた。
2)学校教育は実用にならなかった
「今は青年学校に男女とも入るが、特に教へる人がないから今の若者は草履も草鞋もつくれず、着物一枚ぬへないと言つてゐる。今の学校は実用にならぬ、理屈のみ教へるとは、現代教育に対する古老感である。」
これは、昭和・敗戦前後の民俗学者・山口彌一郎の言葉だが、この時代以上に、明治の始めころは、「学校の教育内容」と「村で必要とされたもの」が、かけ離れたものだったに違いない。
その「実用にならない学校」に無理やり通わされ、しかも、授業料までも徴収された。
3)学校教育は村落共同体を破壊しかねないものだった
明治生まれの民俗学者・柳田國男は、若者を教育する方法を「平凡教育」と「非凡教育」の二つに大別し、「平凡教育」の必要性を説いている。
「非凡教育」は書物を読むことを特色し、現実的には学校教育を指している。「非凡」であること、つまり他より優れていることを求める教育であるから周りの者はみな競争相手。西洋個人主義に基づく教育で、結果的に順位や序列を生む。
これに対して「平凡教育」とは、古くから日本の社会で綿々と引き継がれてきた教育法。周りの人々と同じように秩序を乱さず一人前に生活できる能力の養成を目指す。そこで一番嫌われるのは手前勝手、横着、自分さえよければいいという態度、人に迷惑を与えて顧みないという行為。年長者を見習い、土地の慣習、先例に従う日常の生活を通して行われる教育。
このように「非凡教育」(学校教育)は、伝統的な「平凡教育」とは相容れないものであり、共認原理で統合される村落共同体を破壊しかねないものだった。以上のように、当時の庶民にとって学校教育は、現実の役に立たないどころか、村落共同体を破壊しかねないものだった。その学校教育を押し付ける国家に対する反発が、「学校一揆」や「学校焼き討ち」だったのではないだろうか。

つまり、生産の場と教育の場の分離、あるいは共同体と教育の場の分離という構造が根本問題です。生産課題と切り離された教育は実用にはならない。あるいは、共同体における教育としばしば対立します。それが、この投稿の趣旨です。
生産課題という切迫した現実の必要性に基づく教育であれば、自ずと能力や適性に応じた教育になります。かつ、その教育は、現実の共同体集団における課題分担と重なっています。例えば、かつての村落共同体では「若衆組」といった若者集団が編成されましたが、これは同時に共同体において若者が担うべき課題の分担をも意味しており、画一的な「学年」は存在しませんでした。
ところが、生産課題や分担から切り離された近代教育では人工的に作られたカリキュラムが必要になり、それは「小1ではこの単元、小2ではこの単元・・・」と時系列で編成されています。そして、課題発(現実の必要発)の教育ではなく、時系列のカリキュラムありきの教育になるので、近代学校教育では学年別に生徒が編成されるのです。
 
加えて言えば、この人工的なカリキュラムの最終的なゴールは、試験の合格です。生産課題や共同体から切り離された人工的なカリキュラム→試験制度では、肉体的欠乏に発する本当の目的意識など生まれようがありません。
この試験制度発の「合格」という無機的な目的意識を植え付けられてひたすら試験勉強に励み、「特権」を手に入れたのが、明治期に成立した学校制度によって登場した特権階級です。そして、彼らは、既存制度によって与えられた特権の維持と行使という目的以外の目的意識しか持ちえず、ついには「社会を動かし」「世論を動かし」ているという支配の快感に溺れるようになって終いました。
『るいネット』「潮流7:暴走する社会(特権階級の暴走と下層階級の暴走)」
このように、生産課題や共同体から切り離されて人工的に作られた学校教育制度は、後に特権階級の暴走を生み出す必然構造を最初から孕んでいたのではないでしょうか。
るいネット
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List    投稿者 staff | 2011-01-13 | Posted in 04.日本の政治構造2 Comments » 

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コメント2件

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