2012年06月26日

江戸時代の思想【まとめ3】 試験制度(科挙)の有無が、中国・朝鮮と日本の運命を分けた

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「江戸時代の思想」シリーズ【まとめ】その3です。
今回は、日本と中国・朝鮮との違いに焦点を当てる。
まとめると、次の3点になる。
【1】朝鮮出自の日本の支配階級には敗北思考(体裁思考)が刻印されている。
【2】日本では、中国に対する属国意識が幕末には完全に捨て去られた。
【3】中国・朝鮮の科挙官僚は無能で西洋列強の侵略に成す術もなかったが、日本の徳川政権は有能で植民地化だけは回避することができた。

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18世紀後半から始まる西洋の侵略圧力を受けて、日本は近代国家になり私有権や議会や学校が制度化される。それら近代制度は金貸し支配のフレームである以上、近代国家化すれば金貸しによって支配されることは避けられない。結果、日本は金貸しに乗せられて、日清日露~太平洋戦争を仕掛け、米の属国に成り下がってしまった。
【1】日本の支配階級には敗北思考(体裁思考)が刻印されている。
属国意識の源流~日本の支配階級に刻印された敗北思考(体裁思考)
しかし、日本が侵略圧力に晒されたのは西洋の侵略が初めてではない。
7世紀に強国隋・唐の圧力を受け、大和朝廷は唐と新羅の連合軍に対して無謀な戦争(白村江の戦い)を仕掛けている。
これは、明治以降、金貸しに乗せられて無謀な戦争(日露戦争や太平洋戦争、’85年の御巣鷹山事変)を仕掛けた、日本の支配者の姿と重なる。
何故、日本の支配者たちは大帝国唐に対して、無謀な戦いを仕掛けたのか?
そこに日本の支配者の属国意識の源流があるはずである。

2世紀の朝鮮半島における内乱(倭国大乱)で敗北し日本列島に亡命してきた部族の連合が大和朝廷である。つまり、日本の支配階級の出自は、朝鮮の支配階級である。
そして、長年中国に服属することでその地位を保ってきた朝鮮の支配階級は力の原理と属国意識が骨身に染み付いており、それを日本の支配階級も受け継いでいる。
6世紀に大帝国隋が建国されると、日本の支配者たちの属国意識に火がつき朝貢が始まる。ところが、日本の支配者たちは、中国に対しては属国として朝貢しながら、日本国内に向けては、中国と日本は対等であるという体裁をとっている。例えば、「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す」という遣隋使の国書がそれである。
7世紀には、中国では唐が建国され、唐・新羅の連合軍が百済を滅ぼし、続いて新羅が高句麗を滅ぼし、朝鮮半島を統一する。この過程でも百済の敗者が日本に逃げ延びてくる。亡命者たちの百済再興支援要請に乗せられて日本は唐・新羅の連合軍に対して、戦争を仕掛けるが、惨敗する(663年 白村江の戦い)
中国の力を骨身に沁みている朝鮮の支配階級たちであれば、中国に戦いを仕掛けるという無謀なことは絶対にしない。
中国の力を頼りに宮廷闘争を繰り返してきた朝鮮の支配階級にとって、中国の力を把握することは、彼らが生き延びるため生命線だからである。そして、彼らには(どんな汚い手を使ってでも)宮廷闘争に勝たなければ殺されるという強力な闘争圧力が働いている。
それに対して日本の支配階級には、庶民(縄文人)たちの受入体質とお上捨象体質もあって、闘争圧力は希薄であり、天皇のお墨付きという体裁を利用することによって、実力闘争を回避しつつ自らの権力を維持してきた。
朝鮮の支配階級にとっては私権闘争の勝利こそ第一であって体裁など二の次であるが、日本の支配階級は(どんな汚い手を使ってでも)勝つことよりも、体裁や評価が第一になってゆく。天皇制も支配者たちの体裁思考の産物であろう。
このように、日本の支配階級には、敗北思考(体裁思考)が刻印されている。
だからこそ、戦いに勝つために対象(敵)を直視する思考が欠落するのであり、百済からの亡命者に懇願されるorそそのかされると(断ると体裁が悪いので)本当に勝てるかどうかは捨象して、唐に無謀な戦争を仕掛けたのであろう。
これは、米英に戦争を仕掛けた20世紀になっても全く変わっていない。
この日本の支配階級の敗北思考(体裁思考)が、朝鮮の支配階級との違いの一つである。
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画像はこちらからお借りしました。
【2】日本では、中国に対する属国意識が幕末には完全に捨て去られた。
属国意識の対象が中国から西洋に変わってゆく過程
また、朝鮮と日本ではもう一つ違いがある。
しかし、朝鮮では中国に対する属国意識が日本によって植民地化されるまで不動のものとして存在していたが、日本では中国に対する属国意識が幕末には完全に捨て去られたことである。
中国に陸続きの朝鮮は、中国の侵略圧力・支配圧力に直接晒され続けてきた。
従って、潜在思念(序列本能)は力の原理と属国意識を正当化した儒教観念に強力に収束する。従って、朝鮮における儒教観念の支配力は極めて強力だったのである。
一方、海を隔てた日本では中国の侵略圧力が小さく、しかも、中国・朝鮮と違って科挙が制度化されなかったので、儒教は私権獲得の手段にもならなかった。
日本においては、力の原理や私権獲得という肉体的欠乏と結びつかない儒教や「中華」は、頭の中だけ観念に過ぎなかったのである。
だからこそ、江戸時代の思想家たちも「日本は夷荻」という劣等観念を覆すべく、「神国・皇国」をはじめとする日本肯定論を生み出し、江戸時代中後期には多くの思想家が神国論・尊王論に収束していった。
それは、古代以来の秩序化観念である天皇制観念「神国」「皇国」が広がってゆくが、それは秩序安定期待に基づく「天皇を奉る神国」という古代以来のお上捨象パラダイムの方が、力の原理に基づく儒教よりも、日本人には馴染みが良かったからだろう。
そして、儒教も否定されると同時に、中国は「中華」ではなく「支那」と呼ばれるようになる。
さらに18世紀後半から、西欧列強が日本近海に出没し始め、西洋の侵略圧力が働きはじめる。そして、アヘン戦争で中国が英に簡単に敗北したことが決定的な契機となって、中国は反面教師(失敗モデル)に転落する。
西洋の侵略圧力によって秩序崩壊の危機意識が上昇し、そこからますます強く(秩序安定期待に基づく)神国=天皇制観念と排外意識に収束する。これが、尊王攘夷の底流をなす意識潮流であるが、一方で、西洋の侵略圧力を受けた江戸時代後期には、富国強兵と侵略を正当化する観念に収束した思想が登場した。それが本多利明や佐藤信淵をはじめとする、富国強兵・脱亜入欧(中国・朝鮮への侵略)思想である。
1800年前の朝鮮半島から逃げ延びてきた亡命者(大和朝廷)に対しては、縄文人は受け入れ体質によって侵略戦争を回避することができたが、西洋の侵略圧力は縄文体質(受け入れ体質)では回避できなかった。
これが富国強兵・脱亜入欧論が登場した理由である。
こうして、幕末には中国に対する属国意識は捨て去られ、代わって西洋の近代観念と天皇制観念(尊王論)が広がってゆく。
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「アヘン戦争」
さらに、中国・朝鮮と日本は決定的な違いがある。
試験制度(科挙制度)の有無である。
【3】西洋の侵略によって、中国(清)は半植民地化されたが、日本が植民地にはならなかった。
それは、中国の統合階級である科挙官僚たちがトコトン無能であったのに対して、日本の幕閣たちは敵(西洋)を直視していたからである。
西欧に敗北し侵略されたにもかからわず、科挙官僚たちは中華思想(中国は西洋列強より進んでいる)という思い込みから脱却できなかった。
そして、古典や先例の中に正しい解答が存在しないことを認めることは、科挙官僚の自己否定につながるので、古典や先例の中に解答を求め続けた。
さらに、科挙官僚たちにとって私益(族益)が全てで、国益のことなど全く考えなかった。そして、西洋列強の要求に対して、清朝の関税収入の監督権限をはじめとする権限や国益を、易々と外国人に委譲してしまう。
それに対して、試験エリートではない徳川幕府は、鎖国時から海外の情報収集に努め、兵器の近代化や、沿岸と港の防備強化、艦隊の建設など、最低限の防衛策を講じていた。そして幕府は大政奉還によって、西欧の金貸しに支配された官軍(薩長)との内乱を回避し、植民地化を防いだのである。
逆に、幕末~明治の激動期を生き抜いた下級武士出身の指導者が亡くなった大正期以降、権力を握った陸大・東大・高等文官試験等の試験エリートは失策に失策を重ねて、日本を敗戦に導いてゆく。
こうしてみると、試験制度=科挙制度の有無が、日本と中国・朝鮮の運命を分けた最大の要因ではないだろうか。

List    投稿者 staff | 2012-06-26 | Posted in 04.日本の政治構造8 Comments » 

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コメント8件

 愛新覚羅は新羅の末裔 | 2013.08.09 15:04

満州朝鮮族が支那の原型殷王朝を建国
漢字も満州朝鮮族が創ったもの漢民族など
この世界に存在せず支那人の妄想です
日本を建国したのは百済人天武天皇です
故山形明郷氏の著書を読んで見れば馬鹿
でも 解ります。

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