2007年09月05日

戦後のドル支配の仕組み~擬似金本位制から石油本位制へ

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第二次世界大戦で儲けたアメリカには、世界中の金が集まった。世界中の金の約7~8割がアメリカに集中したが、アメリカは戦前の金本位制には戻らなかった。なぜか?

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●擬似金本位制(1944~1971年)
1944年ブレトンウッズ会議で、新しい世界通貨をつくろうとするイギリスとドルを世界通貨にしようとするアメリカが争い、アメリカが勝利。ロスチャイルド(→イギリス)とロックフェラー(→アメリカ)の代理闘争と考えられる。
アメリカが金1オンス(31.1グラム)=35ドルで金とドルの交換を保証することで、ドルを「国際通貨」として機能させ、各国は対ドル為替レートを設定し(たとえば1ドル=360円)、平価の上下1%以内に為替相場の変動を抑えるよう市場に介入することになった。ブレトンウッズ体制(金ドル制)と呼ばれる。
ところが、これは本来の金本位制ではない。1970年代までアメリカ国民は個人で金を保有することを禁止されていた。つまり、ドル紙幣は金と交換できるわけではなく、1ドルが金1/35オンス(約0.9グラム)と同等の価値があると観念的に思わせることで、ドルの信用力を人為的に高く作り出したにすぎない(擬似金本位制)。但し、世界銀行の制度では政府間の決済は金で行う=各国政府が保有するドルを金に交換するよう要求すれば、アメリカ政府は交換に応じなければならなかった(これは、今でもそうらしい)。
以降、アメリカ(連邦準備制度=FRB)はドル紙幣を大量に発行し支払を賄った。世界中の国々は安心しきって米ドルでの支払いを、その後25年以上も受け続けたが、1960年代末に転機がやってくる。ベトナム戦争をはじめとする戦費がかさんで政府間の決済資金である金の保有量が減少、一方アメリカの貿易赤字で大量のドル紙幣を発行。フランスとイギリスがアメリカ財務省に対して、保有するドル紙幣を「約束どおり1ドル=金1/35オンスの比率で金に交換してほしい」と要求。結果、アメリカから膨大な量の金が流出。これ以上、アメリカは外国政府への債務を金で決済することに耐えられなくなった。
そして、1971年、アメリカはドルと金の兌換を停止を宣言(ドルショック)。2億8000万オンス(約900トン)分の金での払い戻しをできない旨を、フランスとイギリスに通告して支払を拒否。こうして、擬似金本位制は崩壊した。

●石油本位制(1971年~)
にもかかわらず、アメリカ(FRB)がドル紙幣を垂れ流すことへの制限は何も加えられなかった。しかし、金と交換できなければドルは信用を失う。そこで、ドルの信用を裏づけとして石油(原油)との結合を思いついた。
アメリカ政府は、当時のOPEC(石油輸出国機構)との間の合意で、「全世界の全ての原油価格は必ず独占的にドル建てでしか決定できない」「ドルでしか原油の取引はできない」という協定を結んだ。この「ドル・石油兌換体制」によって、ドルは信用を繋ぎとめた。このようにして事実上ドルの価値は、石油によって裏付けられた。
副島隆彦氏は、この体制はデビッド・ロックフェラーの指図によるものであるとして、この体制を「ロックフェラー石油通貨体制」と呼んでいる。ニクソン・ショックの翌年1972年、デビッド・ロックフェラー自身が主導した米欧日三極会議によって決められたということである。ここからG5という「主要国蔵相・中央銀行総裁会議」が生まれ、同じくここからサミット(主要国首脳会議)が生まれた。

参考:副島隆彦著『ドル覇権の崩壊』(徳間書店)「IMF体制は秘かにロックフェラー石油通貨体制にすりかえられた」
宮崎正勝著『早わかり世界近現代史』(日本実業出版社)
この稿、続く。
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2007-09-05 | Posted in 04.日本の政治構造2 Comments » 

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コメント2件

 magazinn55 | 2007.10.07 18:01

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