2014年05月05日

米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?10~’01世界バブル崩壊で金貸しはデフォルトの準備に入った⇒金ETFという新たな金の預り証

「米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?9」では、次のように述べた。

世界中の中央銀行、すなわちロスチャイルドは’80~’90年代までは、金を放出することで意図的に金価格を抑制していた。世界中でバブルを作り出すためである。ところが、’01年世界バブル崩壊後、中央銀行の金売りは抑制され、’01年以降金価格が上昇に転じる。そして、’08年リーマンショック以降、中央銀行が猛烈な金買いを始めた。この中央銀行(ロスチャイルド)による猛烈な金買いが’08~’12年にかけて金価格が急上昇の原因である。このことは、’01年世界バブルの崩壊および’08年リーマンショックによって、ロスチャイルドが金売りから金買いへと、戦略転換を迫られたこととを意味している。

ロスチャイルドはおそらく’90年代後半に、国債経済は保たない(国債の利払いだけで国家が破産する)と判断した。それが決定的となったのが’01年世界バブルの崩壊である。そこで、ロスチャイルドは、デフォルトによって米国債を暴落させた上で、中銀が国債を暴落した時価で買い取ることで国の借金を減らすことを目論み始めた。ところが、デフォルトで国債が暴落すると紙幣への信頼も大きく揺らぐ。暴落した国債を買い取るためには、金(ゴールド)に裏付けられた新紙幣発行が不可欠となる。そこでロスチャイルドは、’01年世界バブルの前後から新紙幣の裏付け用の金を買い占め始めた。これが’01年に始まる金価格の高騰の原因である。

ところが、’12年後半に金価格は’72年値の6.5倍という高値をつけた後、下落している。「経済指標指数グラフ」

これはどういうことか?

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まず、「131224 ビジネス知識源:米ドルの反通貨、ゴールド新論(2)」の分析を紹介する。
【大きく下げた金価格】

2013年で言えば、1月の最高価格$1693(31.1グラム)が、$1197(12月24日)へと$496も下がっています。今年の下落率は、29%と大きい。(注)わが国の売買単位の1グラムに変換すると13年1月の$54が、12月24日は$38です。

【頂点は11年9月】
2000年代に約5倍に上がった金価格は、2011年9月の31.1グラム$1986が頂点でした。その年の2011年末は$1752、翌2012年末が$1720でした。
そして2013年末は$1197です。2013年の4月と、6月の下げが大きかったのです。原因はいずれも、値崩しの好機と見たヘッジ・ファンドによる金証券(ETF)の大量売りです。

【金ETF】
2003年から作られた金ETFは、金価格と同じ値動きをする、上場証券です。金と交換も可能されています。SPDR(スパイダー)ゴールド社が最大手で、発行額の50%です。
金ETFが買われると、発行者は、現物の金のリザーブ(準備:保護預かり)をその分増やし、ETFが売られれば、保護預かりとして保管していた金現物も売るという仕組みです。若干の、時間遅れはあります。

この金ETFの残高は2013年12月には2632トン(時価で約11兆円)と最高でした。これが、
・13年の第1四半期には売り超176トン、
・13年の第2四半期では売り超402トン、
・13年の第3四半期でも売り超118トンです。

1月から9月までで、金ETFには754トン(年間ペース1000トン)の売り超が、2013年の4月以降、「ある日突然に」という感じで、生じました。
1年に4300トンの金供給の中での、金ETFの年間1000トンの売り超が、金価格を30%~40%下げるのは当然です。60%下がってもおかしくないくらい、2013年は金ETFが売られています。
年間の金の供給は、鉱山から2824トン、リサイクルが1990トンで合計4415トンです(2012年)。

【現物の金の需要は、2013年も増えている】
(1)宝飾需要は1896トン、工業用が407トンで(2012年)、2つの需要は安定しています。両方で2300トン(生産の52%)くらいです。
(2)ゴールドバーの需要超過は、中央銀行が1年に450~550トンです。個人・企業・金融機関のゴールドバー需要が1300~1500トンくらいです。両方で1750~2050トンです(生産の40~46%)。この、現物需要も、毎年、安定しています。

ETFではない現物金の需要は、中国、インド、そして各国中銀行の買い超により、増加を続けています。

●現物需要だけなら、金価格は、2013年も上がって、円では1グラム6000円になったかも知れません(現在は4000円付近)。
(3)金のETF証券は、上場された2003年から、2012年まで、10年間は、1年に180トンから280トンの買い手でした。このため、2012年末のETFの残高は2632トンに増えていたのです。

【ETFの大量売り】
ところが、2013年4月から、金ETFだけが、月間80トン、年間1000トンのペースで売られています。この意味で、金ETFの突然の売りは奇妙で、「意図的」に見えます。

株、不動産、原油、資源などあらゆる相場は、売りが超過すれば下がり、買いが超過すれば上がります。金は、2000年代の12年間、買いが超過していました。このため5倍にも上がったのです。これが、2013年に金ETFだけがなぜ、金相場を30%以上下げるくらい大量に、しかも、ヘッジ・ファンドによって、売られたか?
(注)売ったヘッジ・ファンドは、まずソロス・ファンドと、ジョン・ポールソンのファンドでした。当方はこれを、世界のドル離れを避けるための、米国FRBの意向によるものと見ています。

【意図をもった予想】
ゴールマン・サックスは、2013年9月に、「2014年の金価格は、1オンス(31.1グラム)$1000を割る可能性がある」と発表しています。現在価格($1200付近)から更に、20%安です。
「金から、投資家と、各国中央銀行を振り落とす」という意図に思えます。
米国FRBは、先に、15ヶ月続けてきた量的緩和第三弾(QE3:毎月$850億のドル増発)を、$100億縮小して、2014年1月以降$750億(7.5兆円)すると発表しました。

これも、2014年の金価格を下げる要素ととられるでしょう。
以上が、最近の金価格をめぐる大きな動きです。

ここで注目すべきは、「金ETF」という金価格に連動した証券である。これが登場したのは、’01年世界バブル崩壊後の’03年で、金地金との兌換もできる証券である。

ロスチャイルドの目論みは、デフォルトによって米国債を暴落させた上で、中銀が国債を暴落した時価で買い取ることで国の借金を減らすというものであろう。そのために金(ゴールド)に裏付けられた新紙幣発行が不可欠となるが、この金との兌換可能な金ETFは、デフォルト後に金に裏づけされた新紙幣の原型なのではないだろうか?

そもそも、紙幣とは金の預り証である。
『銀行の特殊性に気付け!(1) 』(月刊・沈黙の兵器) 「紙幣の起源 と「預り証モデル」

現代社会は「西洋文明」が世界を席捲し、特に経済や金融ではダントツのパワーを有していますから、ここでは ヨーロッパでの紙幣の起源についてお話します。(歴史的には最初の紙幣は中国で使われましたが) 過去のヨーロッパでも、おカネつまり通貨は、金貨などの貴金属が主流でした。貴金属は自由に創り出すことはできません。しかし中世ヨーロッパの支配者である絶対君主は、経済をコントロールするためにゴールドを創ろうと試みました。「錬金術」です。そのおかげで化学の礎は発展しましたが、ご存知のように本来の目的は達成できませんでした。ところが実質的に、その「錬金術」を成功させたグループがいるのです!当時の両替商や金細工師のグループです。

次の話をじっくりと考えてみてください:
金貨など貴金属は、重すぎるし、扱いにくいし、持ち歩くには危険です。やがて金持ちの貴族・地主・商人は、その所有するゴールドを、両替商や金細工師に預けるようになりました。彼らは金持ちだし身元もよく知れているし、安全な保管場所をもっているし、要するに信用がおける存在だったのです。金細工師たちはゴールドを預かると、預り証を発行しました。
そのうち人々は、預り証の更なる便利さに気付きました。買い物のたびにいちいち重たいゴールドを持ち出さなくても、支払先の相手もどうせ金細工師にまた預けるではないか? 金細工師は双方よく知っていたから、この預り証を決済手段として使えばチョー便利ではないか! こうして預り証が「通貨」として使われるようになったのです。

ところがやがて金細工師たちの方も、別の視点からある事に気付いたのです! 「ではこの在庫のゴールドを、金利を取って資金が必要な人に貸し出したらきっと儲かるぞ!」 「なんと、我々グループは、秘密で預り証を創りさえすれば、ものを買うことができる!」 金細工師たちは、在庫のゴールドの所有者ではない。だから真の所有者である顧客に無断でそれを貸し出す行為は横領にあたる。しかも、誰からも預っていない、つまり存在しないゴールドへの預り証を勝手に創るなんて行為は詐欺ではないか。(ゴールドペーパー商法の詐欺で告発された豊田商事事件を思い出して頂きたい) これらの行為がもたらす結果は、預り証の総額に相当するゴールドの現物が存在していない、ということだ。このために極くたまにではあるが、困ったことが起こった。顧客が何らかの理由で多額の預り証を持ち込んできて、預けていた大量のゴールドの返却を求めるときである。そういう場合には金細工師たちは秘密の連係プレーで協力し合って、ゴールドの現物を融通し合った。実は金細工師たちの手から一時的に離れたそのゴールドも、結局は回りまわって金細工師たちに帰ってくることは明らかだったのである。

貸し金への需要は常にあったので、金細工師たちは次に、預り証そのものを貸し出すことを思いついた。このことで3つのことが起こった。第1に、誰にどれだけの購買力を与えることができるかの決定権を握った。第2に、在庫に存在するゴールドよりずっと多くの預り証を発行したのだから、詐欺つまりインチキはさらに大掛かりになり、その秘密性はさらに高まった。そのため彼らは1776年5月1日に、史上最強の秘密結社イルミナティ(そのシンボルは米国1ドル紙幣の裏面に印刷されている)を設立し
た。第3に、銀行業が誕生した。こうして彼ら金細工師たちは、実質的な錬金術に成功したのです。えっ?解りますよね?、ゴールドというハードウェアは創れませんでしたが、それに代わる「紙幣」を創造できる立場になったのですよ!

銀行家は絶対君主や錬金術師が失敗したことを成し遂げた。通貨を創り出したのである。彼らは賢者の石を手に入れた。そして、その時代の中央銀行になった。 これは世界史を根底から変える出来事だった。新しい購買力の配分が政府の支配下にはない!、ということを意味したからだ。ヨーロッパの絶対君主は、このインチキを見破れなかった。お人好しにも、銀行家は大量のゴールドをもっているのだと信じた。政府が通貨を必要とし、しかしもう税金を上げられないとなると、銀行家から借りるしかないと考えた。皮肉なことに、銀行家は絶対君主である王がやろうと思えばできることをしただけだった。紙幣の発行だ。銀行家は国家の政策に対する絶大な影響力を手に入れた。まもなく、誰が国を支配しているのかわからなくなった。旧約聖書には、借り手は貸し手のしもべとなると書いてある。王はしもべとなった。

このように、紙幣の起源は金の預り証である。

’01年世界バブルの崩壊をもって、ロスチャイルドは延命するにはデフォルトによって借金を減らすしかないと覚悟した。そして、直ちにその準備を始め、’03年に新たな金の預り証である金ETF証券を作り出した。この金ETFはデフォルト後には、金に裏づけされた新紙幣の原型となるのではないだろうか。

だとして、問題は’12年末から、この金ETF証券の大量売りによって金価格が下落していることである(金現物需要は増加中にもかわらず)。

次回は、この背後構造を探る。

List    投稿者 nihon | 2014-05-05 | Posted in 06.経済破局の行方No Comments » 

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