2014年05月02日

緊迫するウクライナ危機~情報戦で欧米に勝るプーチンのロシア~

今回は、緊迫した情勢が続くウクライナ危機についてとりあげてみます。

ウクライナ危機

2013年11月、ウクライナのヤヌコビッチ大統領は、EU加盟の一歩となる「連合協定」を見送って親ロシア路線に舵を切った。この事件をきっかけに、親EU派の市民や野党指導者たちが反政府デモを起こした。ソチオリンピックが始まるとエスカレートし、死者が100人にも上るなど収集不能になった。そして反政府側は主要施設を掌握、ヤヌコビッチ大統領がキエフを脱出するに至った。この緊急事態にウクライナ議会は、ヤヌコビッチを解任すると同時に、トゥルチノフ議長を大統領代行に任命した。こうして、「民主主義」を唱えてきた欧米側勢力による、流血革命が起こったのである。

オリンピックが終わると、ロシアはウクライナのクリミアに「クリミア自警団」という名目でロシア軍兵士を投入し、半島を実効支配した。これに対し、西側は経済制裁をおこなっているが、大部分の天然ガスをロシアに依存しているEU諸国は及び腰になってしまっている。(リンク)一方ロシアは中国と天然ガスの契約が合意間近であり(リンク)、制裁を恐れないその強気な態度を維持している。

 このウクライナ危機は、世界大戦の引き金か?とも言われるほど重大らしい。それほどまでに、ウクライナという国の持つ重要性は高い。豊かな人口、広い国土、高い技術力、安い労働力と、あらゆる観点からロシアにとっても欧米にとっても死活的なのである。そして中でもクリミア半島は、天然ガスの輸送の経由地でもあり、歴史的に争われてきた要所だ。ウクライナを誰がおさえるかで、今後の世界を大きく左右するだろう。

また今回の危機では、今まで(少なくとも表向きには常に)「民主主義」を標榜してきた欧米側の勢力が、ネオナチ等極右勢力を巻き込んで流血革命を引き起こしたという点で、新しい事態であるといえる。もはや、今までのマスコミ支配等の手法では思い通りに政権や民意を動かすことができないようだ。

(さらに…)

  投稿者 mamoru | 2014-05-02 | Posted in 09.国際政治情勢の分析No Comments »