ユーロ危機2 ユーロ危機のウラで、着実に死期が迫っているのは、ヨーロッパではなくアメリカ
(ユーロ危機1 ヨーロッパ各国が抱える「歯止め」を外すことになったユーロ導入の続き。)
■ユーロのデメリットは?
今回のギリシアのように、国家財政危機が顕在化し国債価格が下がれば(金利が上昇すれば)、その国の通貨価値も下落し、輸入が抑制され輸出が活発になることで経済を軌道に乗せて行く事は不可能ではない(ex.アジア通貨危機後の東南アジア諸国)。しかし、統一通貨ユーロを用いる限り、その国の実態に沿った通貨安になることは無い。
しかも、日本やアメリカのように”その国に中央銀行がある”訳ではないので、中央銀行による国債買取による延命にも限界がある。
ギリシアを初めとする南欧諸国は、ドイツやフランスなどが買い支えるしかないのだが、そうこうしているうちにも、ユーロ圏全体が沈むリスクが高まっている
■ユーロ延命のために、ヨーロッパはどういう手を打ってくるか?
以上のことからも分かるように、ユーロ全体の沈没を防ぎ延命させるためには、ギリシアやスペイン、イタリアをユーロ圏から切り離すしかない。(それが不可能なら、ドイツがユーロから離脱する道を歩むだろう)
しかし、高金利に釣られて南欧諸国に投資したのは、ドイツやフランスの金融機関が中心となっている。そのため、南欧諸国を切り離した際には、ドイツやフランスの金融機関の資産に穴が開くことになる。連鎖的な金融機関の破綻が発生するだろう。
しかし、財政赤字国家を切り離したことによって、長期的にはユーロを上昇させていくことは可能となる。問題となるのは、短期的にはユーロ暴落の可能性が非常に高いことであろう。
この短期的な暴落を阻止するためには、他国通貨によるユーロ買い支えが必要になる。その布石が、9月初旬の「スイスによる無制限の為替介入(スイスフラン安ユーロ高誘導)」であったと考えられる。
★★以上から予測される流れは、
・年内は、ギリシア延命策を打ち出しながら、ギリシアの国債発行を続ける。当然、ギリシア国債の金利は、街金以上の金利へと跳ね上がっていく。
・「もはやどうしようもない」という世論が形成されたところで、ギリシア並びに連鎖破綻の可能性が高いスペインなども、ユーロ圏から切り離す。
・ギリシアやスペインは、ユーロ導入以前の独自通貨に戻る。財政不安からこれらの通貨は、安値を更新し続ける。
・それまで、ギリシアなどが発行していた債券はユーロ建てであるが、ユーロに対して暴落していく通貨では返済がおぼつかない。結局は、デフォルト(債務不履行)を宣言することしかできない。
・ギリシアがデフォルトした煽りを最も受けるのは、ギリシア国債を大量に保有するドイツやフランスの金融機関で、資産に穴が開くことになる。
・ドイツやフランスの金融機関の損失が明らかになる前後で、これらの国の金融機関に投資していたマネーが逃避する。ユーロが売られていくことになり、金融機関の連鎖破綻と共に、ユーロ安(暴落)が進行する。
☆ここで、「無制限の為替介入」を宣言しているスイスが、ユーロの買い支えに入ることになる。ユーロ暴落には、一定の歯止めが掛かるだろう。
・それでもユーロ暴落に歯止めが掛からない場合は、ユーロ各国がそれぞれ発行している国債の信頼度が元に戻らないことを意味する。だから、ユーロ統一政府を作って、その統一政府が国債を発行する仕組みを構築するだろう。
(さらに、最近ブラックスワン・ファンド(100万年に一度のようなありえない市場の動きに投資するファンドが、非常に高い利回りを実現している。このファンドはドイツ発。ドイツは、「ありえない市場の動き」を予測し、投資している。)
・このギリシア国債に対しては、CDS(債務保証保険)が掛けられているはずなので、CDSの受け手がギリシア国債の元本を保障せねがばならなくなる。
・CDSの買い手(最も多く買っているのは、ゴールドマン・サックスだろう)は、莫大な利益を手にすることになる。
・CDSの受け手の最大手はアメリカのAIG。AIGはリーマン・ショックの際に、CDSによる元本保証をし続けることができず既に実質国有化されている。つまり、AIGの元本保証金の支払いは、結果的に米国政府が行うことになる。
・つまり、ゴールドマン・サックスの利益=AIGの損失は、アメリカ国家による米国債発行によって賄われることになる。
☆ギリシア国債破綻によって生じる衝撃波は、ドイツやフランスを突き抜けて、アメリカ政府を直撃することになる。
こうなると、ギリシアやスペインのユーロ切り離しによって、最終的に最もダメージを受けるのは、アメリカである可能性が高くなる。
ユーロ危機のウラで、着実に死期が迫っているのは、ヨーロッパではなくアメリカではないだろうか。
(ないとう)
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コメント3件
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けっきょく | 2012.09.08 2:39
反原発もいよいよ過去の運動と同質になってきました。
大阪での瓦礫受け入れ問題での彼らの行動はまさに過去の運動との同質性を見せ付けた結果となりました。
残念ながら先は長くないでしょう。
そして反原発と脱原発の違いに気付かなければどんどん孤立していくことでしょう。
必死に書き込む共産党員はご苦労様、ということです(笑)