2021年10月07日

皮膚感覚と知能進化

当ブログの主題とあまり関係しませんが、ノーベル賞の記事が目に留まったので紹介します。
「皮膚ってすごい!」という話です。

私たちは日々膨大な文字情報に接し、言葉で考えることに慣れきっています。
視覚偏重、観念偏重(左脳偏重)で、本能的な身体感覚が相当に鈍ってしまっている。
それゆえか、前回記事で触れましたが、
近代観念に頭をやられている日本
特に現代人は「与えられた観念」に頭を支配されている。

 

しかし、「皮膚感覚」が象徴ですが、
本来生物として備わっている言葉以前の感覚機能、判断機能、運動機能は
相当に優れた未知の仕組みをもっているようです。

頭で考えるより「身体で考える」(感じる)ことのほうが大事なのかもしれないと思う次第です。

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2021年ノーベル生理学・医学賞:
温度受容体と触覚受容体の発見で米の2氏に
(日経サイエンス)

人間は,外部環境をさまざまな感覚を通じて把握しています。
視覚→目、聴覚→耳、嗅覚→鼻、それぞれの細胞にあるタンパク質によって感知され、電気信号によって脳へ伝わる。では、触覚、温度、痛みといった感覚は?また私たちの身体にかかる機械的刺激、物体の硬さや手触り、空気を吸ったとき肺が膨らむ、膀胱に尿がたまる、そうした皮膚や臓器に与えられる刺激を体はどうやって検知しているか?こうした皮膚触覚と身体機能のメカニズム解明につながる、受容体(センサータンパク質)の発見が功績として評価されたとのことです。

(図版:https://www.nikkei-science.com/?p=64951&fbclid=IwAR3IdHMl8fmFuacXubC85zuvuLtS1Q9VwoaRscBwK2bFKvYsb1R_B22Zfyo)

「皮膚感覚」といわれるものの正体に迫る研究として、とても興味深いと思います。

皮膚触覚は単なる外部情報の伝達を担うだけでなく、体の位置・バランス・動きの感知、血圧・呼吸・代謝の制御など、生命を維持するための非常に重要な役割を担っているであろうことが示唆されています。
腸は第二の脳、皮膚は第三の脳といわれますが(腸も皮膚も生物という管の裏表なので本質は同じ。腸内細菌・皮膚常在菌との共生関係も興味深い)、生命にとって外識と内識をつなぐ精巧な仕組みが、数十億年の進化の塗り重ねで形成されてきたわけです。
哺乳類は魚類や両生類と比べて皮膚感覚が発達していることが知られていますが、これと哺乳類の知能進化、集団形成能力は関係しているように思えます。また人類は他の霊長類と異なり体毛が薄くなって肌が露出するようになりましたが、このことと知能進化、社会形成能力は関係しているのか?などなど、興味がつきません。

身体という小宇宙にはまだまだ未知なるメカニズムが眠っていそうですね。

 

■皮膚は第三の脳である(生物史から、自然の摂理を読み解く)

腸は第二の脳と呼ばれているが、皮膚は第三の脳といわれる。なかでも哺乳類は皮膚感覚が極めて発達した生物である。皮膚と脳には共通項がある。
まず受精卵が細胞分裂する際に脳(神経系)と皮膚は同じルーツ(外胚葉)から生まれ、よく似た仕組みを持っている。このことから「皮脳同根」と言われている。
そもそも皮膚の役割とは1つが生命を維持するための「防御機能」、もう1つが環境の変化を感知する「感覚機能」である。
「防御機能」は体液の流出を防ぎ、体外からの異物侵入を防いでいる。
また「感覚機能」は、環境の変化を感知する機能で、皮膚には、温かいとか痛いといった感覚をキャッチする神経が備わっているが、これらの「五感」に加えて「心地よさ」「気持ちの悪さ」「怖さ」などの感覚も実は肌で感じている。
「鳥肌が立つ」「身の毛がよだつ」「温かい人、冷たい人」「肌が合う、肌が合わない」など、皮膚感覚で感じた取った現象を表わした言葉も多い。皮膚は、目には見えない情報を受け取る感覚に優れていて、感情のアンテナのような役割を果たしているのである。

皮膚は両生類や爬虫類にも存在するが、哺乳類の特徴は感覚性の神経端末が皮膚にまで達していることである。

以上の事実より、とりわけ哺乳類は皮膚と脳が「共進化」していると考えられる。それは、授乳等による母子間の密着(親和)を要因としているのだろう。スキンシップやグルーミングによって脳内のオキシトシン分泌が活性化されることが確認されている。

 

■皮膚と脳の神秘的な関係、触覚を刺激し脳を鍛えるメカニズム

人間の感覚は五感といい、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚(皮膚感覚、体性感覚)の5つに分けられますが、目、耳、鼻、舌という、特定の感覚器によって情報が集められるのに対して、触覚だけは皮膚全体が感覚器となります。皮膚は「体表を覆う脳」であると言う説があります。実は皮膚と脳には神秘的な関係があります。

 

■類人猿から人類への皮膚構造の進化 ~強く、しなやかでハリがあり、弾性に富むヒトの皮膚の創出へ~

■人間が感情を生み出すのは、実は脳ではなく、むしろ皮膚や、(腸などの)内臓であるともいわれています

by Yusuke

List    投稿者 fuji-m | 2021-10-07 | Posted in 12.現代意識潮流No Comments » 

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