米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?7~欧州貴族とロスチャイルドの目論みは、大量の隠し金(ゴールド)を担保にした新通貨制度?
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「米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?2~国債を暴落させて国の借金を減らす軟着陸説」では、次のように述べた。
「国債が暴落しても、ハイパーインフレにはならない」で提起されたように、消費欠乏が衰弱し世界的に生産力が有り余っている現代では、ハイパーインフレは起こらない(金貸しは食糧と原油価格を5倍に吊り上げるので、一時的に物価は2倍に高騰するが、一年もすれば元に戻るだろう)。
また、ハイパーインフレによって大暴動が広がり社会秩序が崩壊することは、金貸しにとっても危険極まりない。
そこで金貸しの目論みとして考えられるのが、より安全な軟着陸路線、つまり、デフォルトによって国債を暴落させた上で、中銀が国債を暴落した時価で買い取ることで国の借金を減らすという目論みである。
云わば、国債を暴落させて国の借金を減らす軟着陸説である。
国債が暴落すると紙幣への信頼も大きく揺らぐので、金(ゴールド)に裏付けられた新紙幣発行が不可欠となる(現在、金価格は’72年値の5倍に高騰しているが、これはロスチャイルドが’00年頃から新紙幣の裏付け用の金を買い占めているためだと考えられる)。
今回は、金価格高騰の背後にある、金貸しの目論見を探る。
欧州勢力が目論む新世界秩序=金融資本主義システムの大転換とは、何なのか?
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『元外交官・原田武夫の国際政治経済塾』2010年5月5日「米国債デフォルトが仕掛ける本当の計画」から引用する。
「世界は“大恐慌”に際して金本位制から離脱し、管理通貨制に移行した」。世界史の教科書で、私たちはその様に学んできている。「景気の悪い時には紙幣をどんどん刷り増して、マーケットに流したい。そのためには紙幣の裏付けとしてそれまで用いてきた、国家の保有する金塊の量に拘束されないシステムに移行するべきだ」。喧々諤々(けんけんがくがく)の議論の末、結局はこうした議論が勝利し、各国は脱・金本位制へと駆け込んだというストーリーが一般的となっている。しかし、あえてここで問いたい。――「本当にそうなのだろうか」と。
実は、厳密な意味での金本位制から“離脱”したからといって、各国の中央銀行が金(ゴールド)をそもそも持つことを止めたと考えるのは、全くの早計なのだ。各国の中央銀行が公開しているHPを見ても、たちどころにこの“事実”が分かるような記載はされていない。しかし、よく探してみると中央銀行のバランス・シートにおいて、「資産の部」に属する“資産”総額の、1割から多い場合には3割ほどの資産が金(ゴールド)をはじめとする貴金属であることが分かるのである。一方、残りの部分が一体何で埋められているのかというと、自国のものも含めた「国債」がほとんどだ。まとめて大雑把(おおざっぱ)にあえて言うと、中央銀行のバランス・シートにおける「資産の部」は“国債+金(ゴールド)”によって成り立っているというわけなのである。
そしてこのことは、一つの重大な事実を私たちに気づかせてくれる。――今、ギリシア勢を中心に“デフォルト(国家債務不履行)”の危機が叫ばれている。今後、欧州勢の中小国を筆頭に、実際“デフォルト(国家債務不履行)”へと陥る国が続出することだろう。しかしその結果、その国の「通貨」までが無価値なものになるかどうかは、紙切れとなる国債を引いた残りの上記「資産の部」に入っているもの、すなわち金(ゴールド)が高い価値を持っているかにかかっているのである。なぜならば、その“価値”こそ、同じく中央銀行が発行している「通貨」の価値を支える唯一の柱となってくるからだ。
実は近現代の世界史は、まさにこの点、すなわち日本勢が華僑・華人勢力と共に密かに退蔵してきた金塊を巡って、これをあの手この手で、時にはむき出しの武力をもってまでして吐き出させようとする米欧勢と、これを巧みにすり抜ける東アジア勢の相克によって織りなされてきたといっても過言ではないのである。
私はこの「真実」について、5月10日に上梓する拙著『狙われた日華の金塊』(小学館)の中で、一般には流布されていない非公開情報も織り交ぜながら、歴史的な視点から検証した次第である。そして今、日本勢と中国勢が、通常では考えられないほどの米国債を抱え込むに至っているという「現実」を目の前にする時、誘いこまれた日本勢と華僑・華人勢力を待っている運命は、もはや明らかではないのだろうか。誰の目にも“想定外”であったはずの「米国債デフォルト」と、それに伴う「退蔵されてきた金(ゴールド)の放出要求」である。
「危機に際して金(ゴールド)は騰がる」―――確かにそうした一般則に従った展開になったように見えなくもない。だが、ここで忘れてはならないことがある。それは、私たちは明らかにあらかじめ「そうなること」を上記のような英国勢の“喧伝”によって刷りこまれていたということだ。突発的な事態が生じても、「その結果どうなるか」が分からなければ、人はただ慌てふためくばかりである。しかし、「その結果こうなる」ということが指し示されていれば、それだけで、人々はあたかも見えざる手に誘われるかのように、深く考える余裕もなく、そちらの方向へと走ってしまうのである。
それでは、なぜその「方向」が指し示されていたのかといえば、理由は簡単だ。上記のとおり、今後の危機的局面において最も困難に直面するはずの中央銀行勢にとって、資産としての「金高騰」は必要不可欠なものだからである。その意味で、一見、事態の急転に戸惑っているかのように見える中央銀行のバンカーたちは、またぞろほくそ笑んでいるに違いないのだ。「あらかじめ仕込んでおいたとおりの方向へと動いた」と。
ここであらためて読者の皆様に想起しておいて頂きたいことがある。――それは、今となってはあまり語られることが少ないものの、2004年4月の段階でロスチャイルド系最有力投資銀行が、自らの手による「金取引」を停止しているという「事実」だ。単にこれから急騰するということであれば、これら欧州系“越境する投資主体”の雄は自ら金取引を続けておいても良さそうなものである。しかしそれをあえて“喧伝”する形で「自分たちはこの世界から足を洗う」と宣言したというのである。何かある、そう思うべきだろう。
この謎を解くカギは5月7日未明(日本時間)に発生した“潮目”にある。これまでの量的緩和を支えるため、既に大量の赤字国債を発行してきた各国では、中央銀行がこれをそのまま引き受けてきた経緯がある。しかし、“デフォルト(国家債務不履行)”ともなれば、これがたちまち紙屑になってしまうのである。そのために金価格の高騰をあえて誘導したというわけであるが、それでもなお足りない可能性がある。そうなった場合、持っている金(ゴールド)をありったけ放出し、これを密かに中央銀行の倉庫に運び入れては、それによってその資産状況の「健全さ」をアピールするしか手段がなくなってしまうのだ。
ポイントはここで放出され、露呈する金(ゴールド)が、必ずしも既にその存在について公表されているものに限らず、いわば「簿外資産」として各国勢が退蔵してきたものまで含まれる可能性があるということだろう。そしてこれまでこのコラムでも繰り返し書いてきたとおり、実のところ日本勢と華僑・華人勢力が大量に退蔵してきた金(ゴールド)こそ、この「簿外資産」に最も当てはまるものなのだ。
しかし、冷静に考えてみれば、大切なのはむしろその次の展開ではないだろうか。「簿外資産」、すなわちマーケット外から大量の金(ゴールド)が湧いて出てきたことに、人々はやがて気付くであろう。するとどうなるか。――「暴落」である。
5月10日に上梓した拙著『狙われた日華の金塊』(小学館)について、筆者である私の下に実に様々なコメントが寄せられてきている。「米欧勢が最後に狙っているのは日本勢と華僑・華人ネットワークが数百年間にわたって退蔵し、管理してきた簿外資産としての“日華の金塊”に他ならない」――シンプルに言えばそのようなテーゼがこの本を貫いているわけだが、「至極納得」と激賞される方がいらっしゃる一方で、「原田武夫はいよいよ気でも狂ったのか」と本気で心配して下さる方すら出始めている。
後者のタイプの方々が引っ掛かっているのは、どうやら「国家の統治集団はいざという時のために“簿外資産”を保有している」という点であるようだ。「国民国家では予算法律主義が貫徹されているはず。そうである以上、日本勢のいう『特別会計』ならまだしも、“簿外資産”として金塊がしかも国外に存在することなど全くあり得ない」とこれらの方々は声高にコメントされる。
しかし、ここで一つ冷静になって考えてみて頂きたいのだ。一般に、いわゆる“左翼史観”においては、「民衆が君主による圧政に対抗する形で市民革命を起こし、近現代の国民国家を基軸とする資本主義社会の時代が到来した」と語られる。そこで描かれる君主とは、余りにも身勝手な存在であり、無知であり、傲慢な人物たちだ。その振る舞いに怒り狂った民衆が“解放”という形で市民革命を起こすというシナリオは、一見すると分かりやすい。
だが、ここであえて読者の皆さんに問いたい。「君主は暴力によって駆逐(くちく)され、廃されるか、あるいは“立憲君主=君臨すれども統治せず”のステータスに封じ込まれた」というのは、本当なのだろうか、と。もっといえば、実のところ君主たちは“封じ込まれたふり”をしているだけなのであって、実際にはより巧妙な手段で私たちを統治し続けているのではないだろうか。そしてそれでもなお、最終的にこのシステムを大転換させる必要性が生じる際に使ういわば「伝家の宝刀」として、残存する君主とその周辺に位置する者たちは“簿外資産”である金塊を保持しているのではなかろうか。
6月21日にワールド・ゴールド・カウンシルが公表した統計によれば、中東勢の雄であるサウジアラビア勢の中央銀行が保持する金準備(gold reserve)が突如、倍以上に増加したのだという(6月21日付米国ブルームバーグ参照)。具体的には今年(2010年)3月の段階では143トンと申告していた保有量が、6月には一転して322.9トンにもなったと報告されている。――これはまさしく「事件」だ。
最も素直に考えれば、要するに西側諸国と違って「家産国家制」の色彩の強いサウジアラビア勢の中で、本来は王家の私的財産と見なされてきた金(ゴールド)が、何らかの理由で「公的な資産」とこれからは計算されるようになったと見るべきなのではないだろうか。仮にこれが真実であれば、サウジアラビア王家の保有している金塊は必ずしも近現代に取引されたものである必要性も無い以上、マーケットが公的に「金塊」と認め、打刻されたものであるかどうかも疑問無しとはしないのである。――つまりは、「サウジの金塊」が突然、マーケット外から登場した可能性は否定できないというわけなのである。
今回の「サウジの金塊」を巡る内幕が事実であれば、世界中の君主とその周辺たちがいよいよ“簿外資産”としての金塊をマーケットへ放出し始めるという“潮目”の予兆である可能性が高いというわけなのである。この「サウジの金塊」について日本勢の伝統的な大手メディアたちは、不思議と完全に黙殺したままだ。しかし、冒頭に述べたとおり、金融メルトダウンがいよいよ最終局面を迎える中で、こうした意味での“簿外資産”に最も注目が寄せられているのが、他ならぬ私たち=日本勢であり、その「日華の金塊」なのである。サウジアラビア勢が密やかに見せ始めたこの“潮目”が、いよいよドミノ現象を世界中で巻き起こす時のことを、そろそろ私たち=日本勢は考えておくべきなのだ。
ポイントはこれら“簿外資産”は、その性質上、恐ろしく前近代的なものである可能性が高いということである。つまりは事実上、「マーケット外」からこれら大量の金塊が投入される可能性があるわけなのであって、正に「その時」こそ、今、念頭におかれるべきタイミングなのである。そしてこの「その時」、問題の金(ゴールド)は、どのように評価されることになるのだろうか。「本来、マーケットの中にあるモノだけしかないと考えられていたからこそ値がついていたモノがあるとする。ところがマーケット外から同じモノが出てきてしまうとするならば、モノの量は明らかに最初考えられていたよりも多いことになる。すると必然的にそのモノの価値は下がる」――今後想定される金(ゴールド)を巡るストーリーを考えるにあたっては、こうした至極当たり前の一般則を、念頭に置いておくべきなのだろう。
原田武夫氏の説をまとめると、次のようになる。
【1】世界の中央銀行の資産は国債と金(ゴールド)から成り立っており、国家がデフォルトした際には、通貨価値=中央銀行の信用を支えるのは金だけである。(だから金価格を高騰させている)
【2】欧州貴族をはじめとする世界の王侯貴族たちは、簿外の金を大量に保有している。国家のデフォルトに対して通貨価値を支えるのは金価格の高騰だけでは足りない可能性がある。その場合、欧州勢力は簿外の資産を中央銀行に移して、中央銀行=通貨の担保とする。
【3】サウジアラビア中央銀行の金保有量が突然急増したのは、その前触れ。しかし、これまで簿外資産であった金が中央銀行に投入されるということは、市場に出てくるのと同義であり、金価格は暴落する。
暴落した金で通貨価値を支えられるのかという疑問はあるが、欧州貴族をはじめとする世界の王侯貴族たちが簿外の金(ゴールド)を大量に保有しているのは想像に難くない。その金や資源を担保とした新たな通貨制度を欧州貴族やロスチャイルドが構想している可能性は十分ある。原田武夫氏の言う「日華の金塊」が事実であれば、欧州勢力はそれを放出するようにアジアの王侯貴族に迫り、それを合わせて新通貨制度の担保とするというのが、欧州勢力の目論見なのだろう。
最終目的である新通貨制度に移行するために、現在の基軸通貨であるドルと米国債(場合によってはユーロさえも)暴落させるというのが欧州勢力の目論見ということになる。
ということは、米国債デフォルトの引き金を引くのは、新通貨制度への移行準備が整った段階ということになるだろう。
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