2011年01月03日
『超国家・超市場論 第9回』 序列統合の限界、略奪闘争や私権闘争を止揚・統合できない
本シリーズでは、国家や市場を超える新しい社会統合機構の可能性について展開している、「超国家・超市場論」を連続して紹介している。
前々回のシリーズ『超国家・超市場論』第7回「他集団との接触が始まって以降も共認原理によって、社会を統合しようとした人類 ~同類闘争の圧力と共認統合の限界3~」では、原始共同体では、他集団との接触が始まって以降も、共認原理に則り「贈与」と言うかたちにより、集団同士の衝突を避けようとしていたことを紹介した。
また、前回のシリーズ『超国家・超市場論』第8回では、「略奪闘争開始~同類闘争の圧力と共認統合の限界~」では、その後、自然環境等の変化に伴う生存圧力の上昇と、それに伴う生産様式の変化などから、略奪闘争つまり戦争が始まり、国家=序列統合(身分制度)が、どのように形作られてきたのかを紹介してきた。
略奪闘争は一旦力の原理である序列統合によって統合された。しかし序列原理は決して完全ではない。そこには致命的な欠陥を孕んでいる。
とりわけ生存圧力≒戦乱や貧困を克服した現在では、国家も市場もガタガタとなり、もはや統合不能の状況を呈している。
今回は現在につながる、この序列統合の限界について見ていきたい。