世界バブル・・・一方でドル崩壊に備えアメリカからの資本逃避が始まっている
世界的な金余り、バブルが続いている。とくに注目されるのは、マネーの流れの変化。
いままで世界のカネは、比較的金利の高い米国債に投資されていたものが、大きく流れをかえつつあることです。土地などの資産・原油や金の現物資産が高騰している。しかもアメリカ以外へ流れる資金が急増している。
この動きが意味するのは何?
↑東洋経済 2007.7.21より(以下同)
(※この図解結構お金の流れがわかって分かりやすいので、貼りつけました。通常でてこない、タックスヘイブンのカリブ海なんかも入っています。ただ注意しないといけないのは、これは表の一時的な流れを著したもので、決して裏の流れやストックを含んでいないこと。だから、大きく捉えるぐらいで見てくださいね。)
★特に注目する動きは、以下2点
①中国など新興国や、産油国が巨額の経常黒字をあげ、その資金を米国債で運用するのが基本的な構図だった。それが、運用先をもっと利回りの高い原油や穀物、株に変えている。
②逆にアメリカからの対外投資が急増している点。2006年の第4四半期には急激に増え、それまでに比べ倍増、過去最高を記録した。(下図参照)
★アメリカの利下げが、これらマネーフローの変動を生み出している。
直接的には、アメリカの利下がこの動きを生み出している。アメリカは過去2004年から連続して利上げを行ってきた。しかし昨年8月に利上げを停止した。これによってアメリカへのカネの流れが弱まった。世界のカネは米国債(債権)から株へ、そして世界の不動産や実物資産へと向かった。
アメリカ帝国を維持するには、一定の利率を確保して、世界のカネを引き付けておく必要がある。それには利上げが必要。・・・・ではアメリカは、なぜ利下げをせざるを得なかったのか?
★現在のアメリカ金融政策は金縛り状態
サブプライムローンの破綻に見られるように、アメリカの住宅バブルがいよいよ弾けだしたということ。バブルの破綻過程で利上げ=金融引き締めを行えば、経済の急速な縮小に輪をかけていく。だから利上げはできない。
ただ、かといって利下げを行うと、アメリカから資金が逃避していく。だから利上げも利下げもできない状態になっている。=アメリカは金縛り状態。
アメリカは、借金大国です。他の国からの資金流入がなければ、持ちません。上記のように、マネーフローが変わって、アメリカ以外に向かっているということは大問題なはずです。アメリカ帝国を支えてきた資金循環が細っていくということですから。
★住宅バブル崩壊をきっかけに、アメリカとドルへの信認崩壊が始まる。
この十数年間、アメリカは貿易と財政赤字の莫大な借金を、米国債を日本や新興国に買わせることで、かろうじて支えてきた。
しかし住宅バブルの崩壊が、人々の借金増大→物が買えないデフレをもたらし、不況と信用収縮のスパイラル突入する可能性が高い。これまで、借金をふくらませながらも資産効果で消費を拡大してきたアメリカ経済が失速し、マネーの吸引力を失う。そして、借金国からマネーが逆流を始める。
●危機を察知して資本逃避(キャピタル・フライト)が始まった。
このように、アブナげなアメリカですが、必死で支えようとしている勢力がいれば、危機を察知して早めに資産を逃がそうとする人たちも、当然いるはずです。アメリカの対外投資が急増したのは、そのせいではないか?とも想像できます。そんな動きがあちらこちらに見られます。・・・・・続く。
(by Hiroshi)
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