【世界の力を読み解く】~分断、そして崩壊へ向かっている米国~
前回の記事(リンク)で、低迷する米国、もしくは混乱している米国の経済や近況を述べました。
地方選では、民主の盤石地盤とも言われるヴァージニア州知事選で、まさかの共和党の逆転勝利。バイデン大統領、オバマ前大統領も演説応援に駆けつけていただけに、共和党の勝利が際立った地方選になりました。
アフガン撤退やコロナが未収束、大量退職問題で、バイデン大統領への不信任が高まる米国、そしてなにより、世界の覇者から引きずり落とされつつある米国において、国民の意識はどこに向いているのか。
今回の地方選、そして次の2022年中間選挙、そして24年大統領選挙を見据えて、米国のいまを読み解いていきます。
【コロナ、そしてワクチンの強制接種も政治の道具】
米国はいま、コロナワクチンひとつみても、米国内は推進勢力(民主党)と反対勢力(共和党)の二つに分断が進んでいます。
米国のコロナ感染状況は、いまだ毎日10万人近い数の感染者を記録し続けていますが、
この状況に対して、今年8月に米軍に接種義務を発表、10月を期限に接種証明の提出を求めたシカゴ市警など、ワクチン接種の義務化を民主党政権が推進しています。
ですが、米国での1回目ワクチン接種率ですら約7割と、自国生ワクチンでありながらも、欧州や日本に比べ低水準になっています。
また強制ワクチン接種に米軍隊員や警察官からも強い反発も出ましたが、応報するように、ワクチン非接種者を除隊処分や解雇にすることを発表しました。このようなワクチンへの不信感が共和党信者を中心に広がりを見せ、共和党と民主党の溝は、国民にも深く反映されてきています。特に共和党支持者の多い米警察では、これにより、警察官のボイコットも重なり、盗難や殺人といった犯罪が急増、治安の崩壊が著しくなってきています。
民主党は、ここまでしてでも、軍や警察をはじめ、ワクチン接種を強要=共和党の抑圧を強めているのです。
参考:秩序が崩壊する米国-田中宇の国際ニュース解説
【過去最大規模の「大離職」時代の到来】
合わせて注目しておきたいのは、現在の米国で起こっている記録的な「大離職」です。21年10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、就業者に占める離職者の割合は2.8%、約400万人にものぼり、過去最高水準を記録しています。理由はさまざま、コロナによる生き方の見直しや人手不足による賃金上昇を図るなどと言われてはいるものの、特に煽りを受けているのが、ホテル・レストラン業で89万人強、それに続き、小売業や医療関係が多く離職者を生みだしています。当然、比例するように8月には1040万が埋められていない求人枠として膨れ上がりました。
参考:米、離職率が最高水準-日本経済新聞2021年12月10日
ここにも、コロナワクチンの強制接種を企業に求めた経緯もあります。今年9月には社員100人以上の米企業に対して、ワクチンの強制接種かPCR検査の実施を求め、違反した企業には1万4000ドルの罰金を企業に課しました。これも解雇や退職の一因として、無視はできません。
ですが、コロナをきっかけに、GAFAMをはじめ、テレワークの推進・働き方の見直しを進めた結果、燃え尽き症候群で離職、Appleでは有志従業員による出社の義務化に対する抗議文を発表するなど、個々人の主張に企業が翻弄されているのです。
これらの事象が表すように、国民の自我が肥大し、企業も、政府も、国民”個”人をまったくコントロールできなくなってます。今回の大離職もこの自我肥大の行く末、かつての強い米国経済は自我の肥大に伴い、影を潜めてしまうように思えてなりません。
参考:Apple従業員、在宅ワーク継続希望者への対応を求めクックCEOに意見書を提出へ-GIZMODO
これと時を同じくして、今年9月には22年度の難民受け入れ数上限の引き上げを発表しました。21年度の6万2500人上限の2倍、12万5000人を上限としています。
※一方で、12月1日にバイデン大統領が発表した「メキシコ待機」プログラムの再開や、公衆衛生法に基づく「タイトル42」を使ったハイチ人の強制送還など、前大統領トランプの保守派政策を踏襲する動きは、移民問題対応のちぐはぐ感が拭えません。
失業手当などばらまき政策で、退職率引き上げ、慢性的な人手不足、企業求人枠を増やす。コロナワクチンを踏み絵にして国家治安を担う警察や軍を解雇し、犯罪を軽罰化。そして、雇用の穴に移民を充てがい、経営層と移民層から集票を図る、、、そんなシナリオがバイデン大統領の思惑として垣間見えてきます。
米国の対世界的な制覇力は、アフガン撤退でも見て取れるよう、明らかに低下し、かつてのような米国を制すことが世界を制す時代ではありません。それにも関わらず、民主党による左派的な政策の推進で、共和党との溝を深め、国内の分断、いわば内戦の前夜のような秩序崩壊が起こっています。
ただでさえ国内の治安の悪化や経済(雇用)問題で不信感が高まる中、両党の攻防戦に霹靂とした国民からの支持も低迷を極め、外交においても、そして国民からも相手にされていない状況なのです。
かつて、世界一強の時代を築いた強い米国は、国内情勢、世界情勢ともに収束力を失いつつあるいま、米国分断、そして崩壊の一途を突き進んでいると言えるのではないでしょうか。
by SHOTA
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匿名 | 2021.12.15 23:53
いつもありがとうございます
次回の投稿も楽しみです。