あじさい(紫陽花)革命に可能性はあるのか?(1) ~貧困(飢餓)の圧力を前提に、民主主義イデオロギーに導かれた社会運動~
先日は、主催者発表17万人、警察発表7万人のデモがありましたね。「反原発」を旗印に、(社会運動のプロではない)普通の人たちによる、1万人を超える静かなデモが週末になると発生し、官邸や東電本社を取り囲んでいます。毎週のように繰り返され、日本全体に拡がる気配をみせていることから、あじさい革命と命名し、社会変革の始まりだと期待する向きもあるようです。
さて、今回から新シリーズが始まります。テーマは、社会運動の歴史を学び、その構造を理解し、これからの時代に求められる共認運動について追求していきます。そのために、3月11日に開催された「なんでや劇場」での議論を基に考えていきます。
現在進行形の「あじさい革命」のこれからも、このシリーズの追求の中で明らかになっていくはずです。
それでは、さっそく本文に入りましょう。
今回は、『実現論』「序3.市民運動という騙し。民主主義という騙し。」の第一節「市民運動という名のペテン」を扱う。参加者から出てきた質問を元に、追求してゆく。
たくさんの質問が出てきたが、その中心の一つは、過去の市民運動・革命運動がどういうものだったのか?という質問である。特に若い人は全く知らない人が多いが、過去の社会運動の構造は、共認運動を展開する上で前提となる認識である。
①まず過去の社会運動は現象事実としてどのようなものだったのか?
②それはどういう構造を持って成り立っていたのか?
という2段階で追求する。
大衆運動の歴史の内、今回焦点を当てるのは、①フランス革命や明治維新などの革命運動→②日本の戦後の食料デモや’50~’60年代の労働運動→③’60安保闘争→④’69全共闘運動
※フランス革命~日本の労働運動~全共闘運動~現代欧米の暴動
【1】フランス革命や明治維新
共通項として、大衆は飢餓の圧力に晒され貧困に喘いでいた。また政府は財にあえいでいた。それが数十年も続くと社会全体に閉塞感が蔓延してゆく。
この貧困(飢餓)圧力+財政危機による社会閉塞が、社会変革期待を醸成する。これがフランス革命や明治維新の発現基盤である。
※フランス国家も徳川幕府もほぼ同時期に財政危機に陥っているが、そこには市場拡大によって旧国家権力が窮乏化してゆく普遍的な原因構造がある。
このうち、革命運動の最大動因は貧困(飢餓)圧力であるが、革命運動を組織する勢力が存在しなければ革命運動は顕在化しない。革命の主導勢力(前衛組織)は民主主義を旗印にすることによって大衆を組織し、運動を顕現させていった。
この主導勢力は、ほとんどがインテリ階級である。ロシア革命以降、中共革命も戦後日本の大衆運動も運動を先導するのは常にインテリであったし、フランス革命や明治維新もその可能性が高い(この点は要調査)。
この前衛勢力は人口比で1~3%しかいない。この1~3%にすぎない前衛勢力≒インテリが運動を組織し行動を起こす→マスコミがそれを煽ることによって、革命運動や市民運動が作り出される。
この構造は、現在のアラブ・アフリカの民主化運動やロシアのプーチンに対する反対運動でも、全く同じである。
これを最初にやってのけたのがフランス革命であり、その背後にいたのは金貸しである。このように金貸しは大衆運動の操作に長けている。
フランス革命と明治維新はどのような運動だったのか、見てみましょう。
■フランス革命
18世紀後半のフランスは、度重なる対外戦争やアメリカへの独立支援、宮廷の浪費によって多額の財政赤字を抱えており、これらを解消しようとルイ16世は第三身分(最下層である商人・農民)への課税を強化していきましたが、財政赤字はもはや第三身分への課税強化だけでは解決できない程に増大していました。これに反発した第三身分は、特権身分の廃止を訴え「国民議会」を結成し、ルイ16世を屈服させるまでに至ります。
当時のフランスにいる第三身分の商人は主に外国から私権拡大の為に流入してきた人々でした。商人達はそこに新たな私権拡大の可能性を見出し、自由な商業活動の為に、貴族特権の剥奪のみならず身分制そのものを廃止するように大衆を先導していきました。
このように、フランス革命は、商人(金貸し)と国家との関係を軸に置くと、「力を付けてきた商人が引き起こした私権獲得の可能性を拓く革命であり、そのためには世論形成が不可欠だった」という構造が見えてきます。
■明治維新
明治維新は、江戸幕藩体制を崩壊させ、中央集権統一国家の建設と資本主義形成を目的とした政治的・社会的変革でした。黒船来航に備えた軍備の増強や沿岸防備、度重なる江戸城の火災、二度にわたる長州征伐などで、当時の徳川幕府の財政は悪化していました。
一方、薩摩藩・長州藩は、英・ロスチャイルドの支援により密貿易を行い財政は潤っていました。幕府も仏・ロスチャイルド家に援助を求め、武器などを手に入れていました。
英のロスチャイルド家と仏のロスチャイルド家が二手に別れ、薩長倒幕勢力と江戸幕府の両方を資金と武器で支援することで両者を戦わせ、どちらが勝っても支配権と利益を手に入れる構図をとったのです。薩長に倒幕させ、日本にロスチャイルドの傀儡政権を樹立させたというのが明治維新だったのです。
フランス革命は商人たちが大衆を扇動して起こした社会運動(革命)、明治維新は欧州商人による扇動で、薩長などの倒幕勢力諸藩を下級武士たちが主導して起こした社会運動(革命)でした。いずれも、急先鋒になったのは貧困に最もあえいでいた階層であり、身分制を解体することによって自らの私権獲得のチャンスを作り出したわけですが、最終的に市場の拡大によって商人たちが牛耳る社会を実現させることになりました。
この基本構造は、現代の社会運動(あじさい革命)では全く違っているように見えます。
【2】戦後日本の食料デモや’50~’60年代の労働運動
戦後日本の大衆運動も貧困(飢餓)の圧力が根底的な原動力であったが、それだけで運動が自然発生したわけではない。ここでも、一部インテリ階級が大衆を組織することで、食料デモや労働運動が実現した。
但し、日本の特殊性がある。日本では、学者やマスコミは左翼イデオロギー・反米イデオロギーに傾斜してゆく。旧ソ連や中共発の左翼イデオロギーが朝日新聞をはじめとするマスコミを席巻したのは先進国の中でも日本だけである。
その結果、100万人規模の大集会(メーデー)が全国各地で行われ、’60年安保闘争でも30万人もの人々が国会を取り囲んだ。これほどの規模の大衆を動員した運動が起きたのも、先進国の中では日本だけである。
それは、なぜか?おそらく日本人の縄文体質が、競争を重視する資本主義よりも、平等を重視する社会主義に親近性を抱かせたからであろう。(注:資本主義も社会主義も、民主主義を旗印にしている点は、同じである。)
ここまでの大衆運動は、貧困(飢餓)の圧力を大前提とした上で、貧困からの脱出の可能性を民主主義(四民平等)の求め、民主主義イデオロギーに導かれて実現したという構造である。そこでは、民主主義こそ貧困(飢餓)から脱出する最大の可能性(切り札)であると捉えられていたのである。
■戦後日本の食料デモ(戦後の食料デモ=飯米獲得人民大会)
昭和21(1946)年5月19日、25万人の民衆が集結した「食糧メーデー」が行われました。敗戦による食料流通経路の破壊、農村労働力の極限的な不足が原因となり、闇市での食料価格は暴騰、このような状況を背景に共産党・社会党の指導による民主的な要求闘争が盛んになり、『ついに25万人の民衆が立ち上がった』のです。
GHQのマッカーサーはこのデモに対し、『組織的な指導の下に行われつつある大衆的暴力と物理的な脅迫手段を認めない』と声明を出し、社会党と共産党を牽制しますが、一方でアメリカから輸入した食料を投入しています。
デモを沈静化すると見せかけつつ、『大衆運動=要求運動の勝利』をウラから支援し、日本の民主化を巧妙に画策していたとも言えるのです。
■戦後(50~60年代)の労働運動
敗戦後、GHQの下での民主化政策として労働組合の育成が進められました。当時は敗戦直後で貧困が厳しかった時代、労働組合が相次いで結成されました。当初の労働運動は、インフレや産業荒廃を背景にした生活条件闘争がそのほとんどを占め、また左派優位でした。
一番のピークは1947年2月1日に計画された二・一ゼネストで、官民合わせて数百万人が参加する予定でしたが、GHQは「日本の安定のため」とこれを禁止。以降、反政府色の強い運動に対し制限が加えられることになりました。政府は民主主義思想を普及させるために労働組合の育成を進めたのですが、このようなGHQ・政府からの圧力や日米安保条約などにより、左派色が濃くなっていきました。
1950年以降、神武景気を皮切りに高度経済成長期を迎え生活条件も安定してくると、労働運動の中身は労働環境の改善や権利闘争へと変わっていきました。1959年の三井三池争議と安保闘争で敗北が相次ぎ、高度経済成長期による生活水準の向上により労働運動は沈静化していきました。
※戦後初のメーデー(全国で百万人、皇居前広場に50万人を動員したと言われる)
戦後(50~60年代)の運動を見てきましたが、当時の社会運動は、どれも貧困(飢餓)の圧力に大衆が突き動かされたものでした。ほんの80年ほど前、江戸時代には見られなかった貧困・飢餓・不公平な分配などに対する大衆の不満・抗議の高まりを基に、それを打破する可能性を抱かせる社会主義国家が登場していたことが、戦前・戦後の大衆の中に民主主義への期待を広げ、運動を広げた要因の一つだったと思われます。
今回見てきた、フランス革命、明治維新、戦後の食糧デモ・労働運動と現代のあじさい革命を並べてみると、社会的な閉塞・不全状況に直面しているところは共通していますが、かつての運動の主因であった貧困(生存圧力)は既に無くなっています。それに代わる何が背景にあるのか?、これから、追求していくポイントですね。
さて、次回は引き続き、60年安保闘争と69年全共闘運動を見ていきます。現代の政界・財界などで責任を持つ立場にいる団塊世代が登場してきます。彼らが、何を考え、行動したか、そしていま、どのような社会をつくっているのか…、見ていきます。
乞うご期待。また、お会いしましょう。
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コメント6件
通りがけ | 2013.10.24 22:21
「国家の行為における不正はただちに刑事犯罪である。すなわち選管選挙も大学入試資格者入学試験も国家資格試験も不正があればすべて刑事犯罪である」
ゆえに不正選挙裁判は民事裁判ではあり得ず、公務員の憲法違反刑事犯罪を証拠に拠って裁く「刑事裁判」であり、被告人が公務員である場合上級審で憲法99条違反公務員の「内乱罪」について審理される。
被告人が公務員である限り内乱罪は必ず有罪だが、その上級審刑事法廷で共犯や教唆犯の存在を証拠を挙げて自供すれば情状酌量があり、刑罰が軽減される。
齋藤裁判長の原告提出の証拠申請却下および証拠審議業務放棄して結審宣言した法廷逃亡は裁判官の憲法擁護遵守義務を定めた日本国憲法最高法規第99条に違反しており、これは明らかに刑法で裁かれねばならぬ刑事犯罪である。
その齋藤裁判長の犯行現場を偶然克明に記録したいま話題の「102号法廷裁判経過記録動画」は「現行犯人」を特定する動かぬ刑事証拠となった。
これをDVDに焼き音声を全部文字起こしして検察に提出し、刑訴法に基づき齋藤隆現行犯人の緊急逮捕を検察に命令すればよい。
検察はこの刑事告発を拒むことは出来ず、必ず逮捕執行するべき憲法99条責務がある。そして容疑者が裁判官であろうとなかろうと「現行犯逮捕」するのであるから逮捕令状は完全に不要であると刑訴法に記載してあることを付言しておく。
いま話題の「102号法廷齋藤隆裁判長指揮不正選挙裁判動画記録」は刑法に全く違反していない行為で偶然に記録された齋藤隆犯罪者の現行犯記録動画であり、有罪確定の最重要刑事証拠である。
民事法廷での動画撮影という罰則のない民事訴訟規則違反は、刑法には全く触れないただの国民所有施設裁判所民事法廷内限定の「規則違反」だから、刑法違反を意味する「盗撮」という用語をこれに用いる報道機関はすべて「法律用語について明らかな虚偽風説の流布」罪という刑事犯罪を犯している。
「盗撮」という用語を個人が用いれば過失である限り不問に付されるが、公器である報道機関が「盗撮」という刑法犯行為同義語を報道で用いれば、その社会的影響の大きさから必ず実刑をもって処罰されることを明言しておく。
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通りがけ | 2013.10.23 4:08
「日本国憲法に従い直ちに衆参全議員解雇して主権者国民直接選挙管理総選挙を行え」
あの動画がこんなに短時間で広まった今こそ独立党は12.16不正選挙と7.21不正選挙が証拠によって確定したことを全世界に対して宣言し、日本国憲法に従って直ちに衆参同時選挙を政府に要求せねばならない。この国政選挙では、総務省全員解雇し選管ムサシを排除して、NHKはじめテレビの選挙報道や当確速報報道を絶対禁止して、投開票場の設置からすべて地方公務員の手作業で公開して集計開票100%で当選者発表までを行うようにして、主権者国民が直接参政権を行使して選挙全過程を厳正に管理する公平公正な日本国憲法遵守国政選挙とする。現在の国会議員は全員12.16および7.12不正選挙の当選者であるのに国会において誰も不正選挙を問題にせず議題にもせず国民を欺き続けたから、今度の選挙では全員被選挙権を没収停止する。参議院議員に関しては全員再選挙とするので、すべての現職国会議員が出馬禁止となる。
公明党および幸福実現党は憲法違反につき強制解散。
亀井静香議員だけただひとり自公政権の創価学会依存不正選挙を国会で問題にしてその憲法違反を明らかにした功績に鑑みて例外の立候補資格を与える。
これをRK氏と独立党が中心になって全国民へ呼びかけて主権者国民の総意形成し、憲法に従い直ちに衆参両院解散全議員総選挙を実施するよう政府公僕に対して厳命する。
最高裁判事国民審査も同日に行う。未記入はすべて不信任票である。
12.16と7.21の同日に行われた地方選挙(東京都知事選含む)もすべて憲法違反だから前記の国政選挙とは別日程で迅速に再選挙とする。