2009年07月16日

情報戦争の覇者タクシス家と、欧州貴族たちの戦乱の時代

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ヨーロッパにはタクシス家という「郵便王」がいるらしい。15世紀の神聖ローマ帝国で郵便事業を興し、神聖ローマ皇帝から郵便事業の独占と世襲の権利を与えられ、ベルギー、フランス、ドイツ全域、からイタリアの南端まで、 ヨーロッパの各地を結んだ郵便事業で巨大な富を得たらしい。
彼らの成功の秘訣はE地点への郵便物をA地点→B地点→C地点→D地点→E地点と経由させるという、当時としては画期的なバケツリレー方式を採用したことにあった。そしてタクシス家は、多くの都市に郵便局を建設し、全ヨーロッパに網の目のような郵便ルートを作り出した。
注目すべきは単なる郵便事業だけではなく、同時にタクシス家は生業として諜報活動を行っていたらしい。
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『オルタナティブ通信』2008年6月20日の記事「魔女軍団の国モナコ」からの引用。

EUの統合は、欧州石炭・鉄鋼共同体と言う、あらゆる産業の基本物資であった石炭と鉄鋼の生産・流通を一体化させる事から始まった。これがEUの原型であると言われているが、実は、この石炭・鉄鋼共同体の以前に、ヨーロッパ中部を支配したハプスブルク帝国の時代、ハプスブルク対反ハプスブルク勢力で戦乱に明け暮れた16世紀に、この2つの勢力両方に、「敵軍の情勢、軍勢」の情報を教える、戦争のための情報提供を行う「スパイ組織」が存在した。
つまり、戦争の両方の当事者に雇われスパイ活動を行う、専門的な情報屋=スパイ商売を行う人間達が居た。 ヨーロッパのあらゆる地域に親族を置き、様々な商売を行い、また宮廷貴族となり、ヨーロッパ中を「情報面で既に統一していた」一族が居た。
戦争する2つの勢力・両方に資金を貸し付け金儲けするロスチャイルド一族
戦争する2つの勢力・両方に傭兵を貸し付け金儲けするスイス、そしてサヴォイ一族
戦争する2つの勢力・両方に雇われスパイ活動を「商売として行う」タクシス一族
このタクシス一族が「情報面でヨーロッパ統一を既に16世紀」に実現していた。
これがEU統合の原型である。
EUの原型は「商売としてスパイを行う、タクシス一族が形成した」。
しかし「敵軍が全長50mの戦艦を建造している」というスパイ情報を提供しても、情報を提供された地域・国で、メートルという単位が使われていなければ、敵軍の戦艦の全長が分からず、その対策も立てる事が出来ない。そのためヨーロッパを統一した「スパイ組織タクシス」は、kg、メートルといった単位をヨーロッパ全体で統一する必要があった。
このヨーロッパ統一スパイ組織を16世紀に作り上げた初代フランツ・フォン・タクシスが、ヨーロッパの各国の王・貴族に「命じ」、測量単位を「統一」させた。メートル、kgと言った単位は、スパイ組織タクシスが「創立した」。そしてヨーロッパ中の王侯・貴族は、タクシスの「命令に従ったのである。」
これは、誰が最初のヨーロッパ「統一王」であるかを明確に示している。
このタクシス家の本拠地がブリュッセルである。
2008年現在、EU本部がブリュッセルに置かれている理由は、ここにある。

続いて、『オルタナティブ通信』2008年6月23日の記事「EU本部は殺人犯の集会所」

世界最大のスパイ組織を作り上げたタクシス一族が、ベルギーを本拠地にし、そこがEU本部になった理由は、もう一つある。 (中略)世界的に、この小火器、特にライフル銃のメーカーとして有名なモーゼル社の銃は、元々、西南ドイツのオーベルンドルフの山村に住む銃器職人が開発し、マーゼル社という会社が製造を開始した物であった。このマーゼル社が日本では「なまり」、モーゼルと呼ばれている。しかし、このモーゼルを大量生産し世界中に販売し、人類を相互殺戮の「災いに追い込んだのは」、モーゼルを量産するために、そのパテント生産の許可を取り、ベルギー東部のリエージュ近郊のエルスタルで、モーゼル量産工場を建設したFN社である。 人類を絶え間の無い相互殺戮に追い込んだ小火器は、ベルギーで量産されて来た。
戦争のための情報を持ち運ぶタクシス一族は、決して「手ぶら」でヨーロッパ各地に出かけたのではなかった。情報は紙に書き、頭で記憶出来る。情報と共にタクシスの運んだ「荷物」は、ベルギー製の銃器であった。 タクシスがベルギーに本拠地に置き、EU本部がベルギーに置かれているのは、そこが戦争のための世界的な中心地=銃器メーカーの中心地であった事に理由がある。
このFN社は、ピストルのルガーで有名なドイツのレーヴェ社と協力し、ベルギーにアメリカ人技術者ブローニングを招き、有名な連発式の殺傷力の高いブローニング銃を開発し、戦争での人殺しの数増大に多大な貢献を行う。 小火器として世界中の戦争で殺戮に使用された、モーゼル、ルガー、ブローニングは、こうしてベルギーで製造されて来た。
タクシス一族は名前の示す通りドイツ貴族であり、イタリア出身であった。 銃器販売を巡るタクシスとドイツ企業との連携は、そのまま、この一族の出自、故郷とのビジネス・ネットワークであった。 ここにドイツ・テューリンゲンのズール近郊の森の中にある、カール・ヴァルター社のピストル=ワルサー、タクシスの出身地・北イタリアの山間部ブレシアの銃器メーカー・ベレッタを加えると、世界中の戦争で人類殺戮に使用され続けている小火器の大部分が揃う。
北イタリアードイツーベルギーというタクシスの軌跡が、ベルギーから世界中に拡がるスパイ情報と共に、小火器の製造・販売ルートになって来た。
ベルギーが、なぜEUの本拠地であるのか?
戦争のための情報と銃器生産の本拠地であるためである。

『らっっっっっっっっきーチャンネル』2007年5月3日の記事「◆ドイツと言えばドイツ銀行 赤い盾」でも、タクシス家が郵便事業を利用して密書の中身を読んでいたことが指摘されている。さらにロスチャイルドのロイターとも閨閥を形成したとのこと。情報戦といえば、19世紀のワーテルローの戦いを利用して儲けたネイサン・ロスチャイルドが有名だが、それより400年近く前の15世紀からヨーロッパの情報を制していたのがドイツのタクシス家なのである。
その後、ヨーロッパはどうなったか?
16世紀後半から17世紀末まで戦争の時代に入る。ドイツの諸侯(貴族)たちがプロテスタント側とカトリック側に分かれて戦争を始め、それにスウェーデンやデンマークなど北欧も参戦し拡大したのが三十年戦争である。同時にイギリス・フランス・オランダ・スペインなどが支援・介入を始めヨーロッパ全域にわたる大戦争となったものである。表向きは宗教戦争のように語られるが、実態は、カトリック国であるフランスがプロテスタント側のスウェーデンを支援したことにみられるように、本質はヨーロッパ世界における覇権闘争である。
中世から近世のヨーロッパでは、ロスチャイルド家やタクシス家だけでなく、様々な貴族や諸侯たち、さらには金貸したちが合従連衡を繰り広げて争っていた。どうやら、これが中世末~近世のヨーロッパ世界の実像らしい。そして、戦時に活発化するのは諜報活動と兵器の開発と傭兵の斡旋である。17世紀ヨーロッパの戦乱の影の主役は、郵便事業の独占によって情報を握ったタクシス家やベルギーの兵器産業だったことは想像に難くない。
(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2009-07-16 | Posted in 08.近現代史と金貸し5 Comments » 

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コメント5件

 パンダマン | 2009.11.19 22:33

マスコミに対する高額の訴訟支払い命令が最近増えています。これによって、捏造記事や事実に反する記事が正されて行けばよいのですが・・・

 よっし~ | 2009.11.19 22:52

『マスコミは赤字でも高年収!』
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=220016(るいネット)
マスコミの特権階級ぶりは、どの角度から見ても行過ぎていますね、、。マスコミへの真っ当な評価をみんなで形成していきましょう!

 コスモス | 2009.11.20 11:14

大衆の意識を対象とするマスコミが一番大衆の意識が分かっていないという矛盾があるのですが、マスコミはもとから大衆を「先導・洗脳・誘導・操作・先導」するという高見(特権)に立った存在なので、そのことに気付けない『裸の王様』化していますね。
今も(たぶんこれからも)気付かないから、一回退場願うしか無いわけです・・・

 インデックス | 2014.01.21 2:13

こいつ学者のくせに自分の論を裏付ける で、何事も無かったように収まるに決まってる。

 hermes handbags light coffee | 2014.02.01 10:36

hermes terre d’hermes 日本を守るのに右も左もない | 戦後マスコミ史年表2:【1970年代~1980年代】

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