2011年04月15日

福島でなにがおきているのか?~最悪の事態、その時どうする?を考えておく必要~


画像はこちらからお借りしました。
東日本大震災を契機とした福島第一原発の放射能漏れ事故は、未だ手のうちようが無い状況にあるばかりか、悪化している可能性さえもありそうです。
4月12日ついに政府は事故の深刻度を、国際評価尺度でチェルノブイリと同等、最悪のレベル7に相当すると発表しました。
この問題をどう収束させていけばいいのでしょうか?
福島で起こっていることを整理したうえで、どうする?を考えてみたいと思います。
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福島の原発で起こっていること
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下記はアンカテさんの記事を参考に抜粋要約したものです。
燃料棒破損事故として福島原発事故を見る
■燃料棒とは
今回の事故では、ペレットと呼ばれる円筒状の燃料棒が入ったジルコニウムという金属の管が溶けて破損してしまった為に、ウランが燃料棒の外に出てしまいました。
核燃料のウランが燃料棒の外に出るという事態は、本来あってはならない状態で、このために、次のような問題を引き起こしています。
1.冷却水の異常な濃度の放射能汚染
2.「再臨界」を起こす可能性
3.廃炉処理の困難度

■なぜ燃料棒が破損したのか
地震によって冷却機能が失われ、数日間に原子炉が異常な高温になったために、ジルコニウムという金属が溶けてしまったためです。
管が溶けはじめる温度では管の中のペレットはそのままです。ですから、この1cmのペレットの状態で、炉の中にこぼれ落ちているものと思われます。その後、ペレットも溶けて集まって溶岩状の塊になった可能性もあります。
■第一の問題点: 冷却水の汚染
原子炉の中で核分裂反応を起こしたウランは、その後、数年間の間、「崩壊熱」という熱を発生し続けます。ですから、正常異常に関わらず、運転を停止した後も、水をかけてこれを冷やし続けなくてはなりません。
通常であれば、燃料棒に触れた水が外に出ないような冷却システムが稼動します。つまり、どこか別の所でその水を管に通し、その管を冷やすのです。管の中を通る水は放射能に汚染されていますが、外の水は影響を受けません。ですから、この管を冷やす分には、海水など外部の水を引いてきて、あたた まった水は外へ捨てることができます。
この形だと、燃料棒そのものを直接冷やす水は、同じ水がぐるぐる回っていることになります。これを循環冷却と言います。
事故後の福島第一では、1号機から3号機までどれも、この循環冷却ができていません。つまり、放射能を含んだ水が外に直接流れています。事故を収束させるには、循環冷却システムの再構築が必須となるのですが、これが以下の理由により非常に困難と言われています。
1.燃料棒でなく燃料に直接水が触れるため、通常運転中よりはるかに高い濃度で水が汚染される
2.漏れている箇所が、高濃度の放射能により汚染されている(修復はもちろん調査も放射線が強すぎて困難)
燃料棒に入ってないウランを冷却する循環冷却システムというのは、前例のない特注のシステムになるわけです。これを、現在汚染が進行している炉の回りに構築するという非常に困難で危険な作業が、循環冷却のためには必要になります。
■なぜ冷やし続ける必要があるのか
核燃料から発生する熱は、運転中に核分裂反応から発生する熱と、運転停止後に崩壊熱として発生するものがあります。どちらも核反応なので、我々が慣れ親しんでいる化学反応(燃焼反応)と比較して、以下の点が違います。
・酸素がいらない(閉じこめても熱を発し続ける)
・発火点という概念がない(一時的に冷やして冷たくなっても、放置すればまたどんどん熱くなる)
核反応では、特定の条件が満たされる限り、閉じこめたり冷やすことで反応を止めることはできないのです。
ですから、何年、何十年もの間、冷やし続けるしかなくて、冷やすためには水をかけ続けるしかないのです。水以外の他の手段で熱を奪うことも考えられますが、少なくとも熱を奪い続ける必要があるのです。
■核分裂と自己崩壊
そして、核燃料が発する熱には、原子炉の運転中に起こっている核分裂反応によるものと、それが停止してから起こる自己崩壊によるものがあります。どちらも核反応で、放射線と熱を発生しますが、以下のような違いがあります。
・核分裂の方が、出すエネルギー(熱)がはるかに大きく、発電に使われるのは核分裂反応の方である
・核分裂反応は、特定の条件(後述)が満たされた時に発生するが、自己崩壊は、その物質が存在するだけで必ず発生する
・原子炉内で起こる核分裂反応は、ウラン235が中性子を吸収した時に起こるものだけだが、自己崩壊は多種多様な物質が多種多様な反応を起こす
核分裂反応が連続的に起こる条件とは、燃料の中にあるウラン235が中性子を吸収できることです。ウラン235は非常に稀な確率で中性子を放 出しますが、この中性子が他のウラン235に吸収されると、そこからさらに中性子が出ます。この放出された中性子が間違いなく次の反応につながっていけば、倍々ゲームで中性子が放出され反応が継続します。これを臨界と言います。
原子炉の制御は、制御棒という中性子を吸収する物質でできた棒を出し入れすることで、原子炉のスイッチON/OFFを行ないます。
燃料が燃料棒の中にあること、つまり燃料全体の形状と位置が管理できていることは、この原子炉のスイッチON/OFFを確実に行なうためにも必要なことです。
燃料棒破損のもう一つの問題点は、この原子炉のスイッチOFFができなくなってしまうことです。
■第二の問題点: 再臨界
燃料棒の管が溶けて、燃料が外に飛び出してしまい、その燃料が一定の形状で集まると、上記の条件が満たされ、核分裂反応が起こります。いったん制御棒で止めたはずの臨界反応が再び起こってしまうので、これを再臨界と言います。
そして、この形の臨界は、燃料が燃料棒の中にある時と違って、制御棒で止めることができないので、非常に危険な状態になります。
これが起きた時にどうなるかということも、なかなか予測することは難しいですが、悪いケースを考えると、原子炉の圧力容器や格納容器が破損して、さらに多くの放射性物質が出てしまう危険性もあります。起きた場合に、外部からそれを止めることが 困難になることは間違いありません。
いずれにせよ、燃料棒の破損が進行して、再臨界の危険性が増すことは何としても避けなくてはなりません。東京電力が、汚染水を管理できなくても注水を続けるのは、そのためです。
■第三の問題点: より困難な廃炉
もうひとつの長期的な問題点としては、発電所の解体が非常に困難になることです。
燃料棒が破損した場合の解体・撤去の手順や、そもそもそれが可能なことかどうかについては、たぶん、専門家の方にも、前例が無さ過ぎて簡単には答えられない問題なのではないかと思います。
直感的に考えると、ペレットの形で飛び出し、場合によっては溶けてしまった燃料の回収や、超高濃度汚染水が何回も通った容器や配管の解体は、ほとんど不可能ではないかと思えます。
使用済み核燃料の問題は、それと比較して、軽視されていたのではないかと思います。
東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっています。
 福島第一では、この共用プールにある大量の使用済み燃料も大きな問題です。これは、発熱量については使用直後の燃料棒より少ないものの、冷却 が止まれば熱によって燃料棒の損傷の可能性があるという点では、同じです。炉の中でなく外のプールに放置されていることや数が多いことから、今後、原子炉 内の燃料棒より大きな問題となる可能性もあります。
まとめ
以下のようなことが言えると思います。
1.福島第一原発が安定した状態に復旧するのは、相当困難で年単位の期間がかかる
2.前例のない不安定な冷却処理が続くので、今後不測の事態が発生する可能性もかなり高い
3.使用済み核燃料の処理コストが、原子力発電のコストとして正当に算定されているか疑わしい(共用プールに大量の燃料棒が放置されている現状一つだけ考えても、現在の処理方法が正当なものであるか疑わしい)

ですから、この事故の処理については、これからかなり長い間、油断なく見守っていく必要があります。
崩壊熱については、時間がたつにつれて熱量が少なくなり処理しやすくなるのは確かですが、再臨界の危険性については、熱量や温度と関係なく、 燃料がペレットの形で散乱している限り、ずっと続きます。ということは、放射性物質が放出され、これまでより広範囲の避難が必要になるような危険性も、完全に消えることなくずっと続くということだと思います。
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ここまで見てきて、結局根本的には、どうしようもないのだということが分かってきました。これまで原発を推進してきた御用学者達もこの困難さを認めはじめました。

■大量の放射能を閉じ込めるのは極めて困難、と認める
 特に気になるのは、「当面なすべきことは原子炉及び使用済み核燃料プール内の燃料の冷却を安定させ、大量の放射能を閉じ込めること。これを達成することは極めて困難であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない」と述べた点で、有効な解決策を見いだすのが難しいことを自ら認めているとも受け取れる発言だ。

ここまで福島原発について見てきましたが、実はそれ以外の原発が安全だとは到底言えません。マスコミはあまり報道していませんが、現在は関西の方がやばい状況にあります。関西電力は原発依存率が約半分(東電は約3割)と以上に高く、それらが福井県に集中しています。そして敦賀にある高速増殖炉もんじゅが、今にっちもさっちも行かない状況なのです。

■高速増殖炉「もんじゅ」の深刻な危機
関西電力では、若狭湾に多量の原発を建設しているが、その内の一つ高速増殖炉「もんじゅ」では、福島原発以上に深刻な危機に瀕している。
2010年8月、「もんじゅ」で炉内の燃料棒の交換装置(3.3t)が落下するという事故が起こった。炉内には高濃度プルトニウムが詰まっており、しかも地震層の真上にあることが分かった。高速増殖炉は構造上、配管が複雑でしかも薄い。地震が発生すれば、炉内に落下した交換装置が燃料棒を破損させるおそれがある。リンク
しかし、この交換装置を取り除くために蓋を開けると、炉内の冷却材(液体ナトリウム)が外気と反応して、爆発してしまう。かといって、ナトリウムを抜けば、炉を冷却できなくなり、プルトニウムの核分裂反応が暴走→爆発してしまう。冷却材を抜くためには、まず燃料棒を抜かなければいけないが、その装置が落下してしまっている。
落下した装置の回収に半年で24回チャレンジしながら、全て失敗。どうにもならない状態の中、担当者は自殺。年間維持費500億を食いつぶしながら、未だ発電できずにいる。制御棒を挿入して、なんとか冷却し始めているが、それまでに地震が発生して被害を受ければ、半径300kmにプルトニウムが飛散し、甚大な被害を与える。
プルトニウムは、福島原発3号機でもMOX燃料として使われているが、プルトニウムが出す放射線はα線であり、貫通能力が非常に低いと言われている。これは逆に、吸い込んでしまって肺にでも溜まれば、人体が全て吸収してしまうということであり、最も危険な物質だと言われる。
原子力開発機構は極めて楽観的な発表を続け、しかもマスコミで報道されることはほとんどないが、「もんじゅ」は「福島」以上に「いつ何が起こるか分からない」状態にある。

なんと、もんじゅは建設後、直近に活断層があることがわかりました。
もう地震が起こらないことをただただ祈るばかりです。
もんじゅが爆発すれば半径300キロ圏内はアウトだと言われています。関西一円を超えた範囲に被害が及びます。そうなったらどうすればいいのでしょうか?
福島原発も、今何とか持ちこたえたとしても、天変地異が無いことを祈りつつ、今後何十年もかけて冷やし続けなければならないという状況が続くことになります。
そしその間に再び3.11クラスの大地震でも起きようものなら、ひとたまりもないでしょう
原発の危機は今そして今後もそのような状況にあるという認識が必要です。
■どうする?
中長期的には代替エネルギーも含めたエネルギー政策の見直し(脱原発)が必要ですが、それと平行して福島にしろ、もんじゅにしろ最悪の事態に対する行動方針を今のうちから考えておく必要に迫られているのではないでしょうか?企業や、学校、家庭、それぞれがその時どうする?を考えておく必要があると思います。
その最悪の事態に対する行動方針は、もはや手の打ちようが無い以上「逃げる」しかありませんが問題は「どう逃げるのか?」です。
深刻な事態に陥ったとしても、恐らく現政権は、パニックを防ぐため(あるいは責任のがれのため)に、すぐにはそれを公表しないでしょう。精々自主避難勧告にとどまるのが関の山でしょうが、本当にそれが正しい判断なのかは疑った方がいいと思います。
例えば、福島の原発が爆発し、東京が風下ならば、12時間くらいで高濃度の放射能が首都圏に降り注ぐといわれています。
もはやマスコミは信用なりません。ネット情報とりわけリアルタイムの情報交換に強いツイッターなどを頼りに、短時間で重大な決断を、下さなければならない難しい局面に追い込まれる事が予想されます。
・その時の天候は?数日先までの風向きはどっちかを調べ、逃げる方角を決める。
・その時交通機関は動いているのか?を即調査。(航空機も含めて)
・とまっているときはどうするのかを考えておく?そんなときのために自転車を用意しておく?
・最低限の持ち物を準備しておく。
・連絡手段は?
・待ち合わせ場所をあらかじめ決めておく。
・すぐに使える手持ちの現金をあらかじめ用意しておく。
・逃げられないならば、屋内退避で覚悟を決める。
などなど・・・・
こんな事態にならない事を祈りつつ、緊急時の行動計画を事前にたてておくことが重要なのです。

List    投稿者 kichom | 2011-04-15 | Posted in 10.日本の時事問題2 Comments » 

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コメント2件

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