衝撃の意見書「福島の子どもたちはチェルノブイリより危険」
「影響はない!」という報道とは裏腹に福島原発被害は、発生し続けている。
郡山市の小中学生14人と保護者たちが集団疎開を求めて裁判を起こしている。その仙台高裁の抗告審で、衝撃的な医師の意見書が提出された。
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『ゲンダイネット』2013年2月26日掲載「衝撃の意見書『福島の子どもたちはチェルノブイリより危険』」より転載します。
福島原発事故の放射能被曝(ひばく)による健康被害を懸念した郡山市の小中学生14人と保護者たちが集団疎開を求めて裁判を起こしている。「ふくしま集団疎開裁判」と呼ばれ、仙台高裁で抗告審が続いているが、そこに衝撃的な医師の意見書が提出された。福島の小児甲状腺がんの発生率は「チェルノブイリと同じかそれ以上のおそれがある」と指摘しているのである。
裁判は原告側が11年6月に郡山市を相手取り、福島地裁郡山支部に仮処分申請して始まった。1年8カ月にわたる「異例」の長期裁判を経て、近く結論が出るとみられるが、19日付で原告側から一通の意見書が提出された。
北海道・深川市立総合病院内科部長の松崎道幸医師が書いた「今、福島の子ども達に発生している甲状腺がんについて」である。松崎医師は、福島の県民健康管理調査の検討委員会が13日に公表した「18歳以下の甲状腺がんは3人」との報告を受け、チェルノブイリ原発周辺で行われた10歳以下の子どもの健康調査データと比較した。その結果、チェルノブイリでは事故後5年経ってから、約1万4000人に1人の割合で甲状腺がんが見つかったのに対し、福島は3800人に1人(7人の疑いも含む)と極めて高く、しかも、発見された期間が短いことから、今の福島の子どもたちが「チェルノブイリ高汚染地域の子どもに匹敵する頻度で甲状腺がんが発生し、今後、激増する恐れがある。福島中通りとその周辺の放射線レベルの高い地域に居住を続けることは、医学的にまったく推奨できない」と断じているのだ。
<今後、甲状腺がん激増のおそれ>
興味深いのは、チェルノブイリ原発周辺の健康調査データをまとめたのが、県民調査も指揮している山下俊一・現長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授であることだ。「放射線はニコニコ笑っている人には来ない」とのトンデモ発言で総スカンを食らった人物だ。
「調査データをまとめた『山下論文』では、持続的な低線量被曝も子どもの甲状腺がんにつながる可能性を指摘している。この通りなら、福島の子どもは一刻も早く疎開させるべきだという結論になります」(福島県政担当記者)
こんな意見書の存在がてんで報じられないことが恐ろしい。
では、チェルノブイリでは、どのような被害が発生したのか?
『暗黒夜考~崩壊しつつある日本を考える~』「『さいたま市と同じ線量 ウクライナで健康な子どもは6%』~ウクライナが示唆する日本の近未来~」より転載します。
チェルノブイリ原発事故の汚染地帯に暮らすウクライナ国民に深刻な健康被害が生じているという事実については、以前のエントリーにてコメントしてきたとおりである。
フクシマ原発事故以降、日本では年間被曝線量が従来の「1ミリシーベルト/年以下」から「20ミリシーベルト/年以下」に引き上げられたが、年間被曝線量「5ミリシーベルト/年以下」とされるウクライナに長年住み続けてきた住民に、心臓疾患や膠(こう)原病など、さまざまな病気が多発しているのである。
国民の重篤な健康被害を受け、ウクライナ政府はチェルノブイリ事故から25年(26年)経った今、「未来のための安全」なる報告書を纏めて訴えているにも拘らず、”八百長機関”IAEAは「栄養状態の悪化」「ストレス」の影響として、事実上ウクライナ政府の主張を認めていないというが実情である。
ここに「世界の原発利権を牛耳る連中ども」による”強い圧力”が働いていることは自明であろう。
即ち、連中からすれば「商売の邪魔をするな」ということである。
さて、今回以下に取り上げたのは、フクシマ原発事故による放射線の影響がさほど懸念されるに至っていない「さいたま市」と同程度の線量であるウクライナにて、「健康な子どもは僅かに6%」という衝撃的事実を綴った記事内容である。
福島県において佐藤雄平・山下俊一らによる「低線量被曝人体実験」という”非人道的行為”が行なわれている事実については、本ブログにて何度も繰り返しこれを非難してきたが、今回の記事内容より、改めて「外部被曝」よりもむしろ”汚染食材”などを通じた「内部被曝」の方が、より人体に悪影響を及ぼす危険性が高いということを実感した次第である。
即ち、ウクライナの現状からわかることは、空間線量も勿論危険を計る指標であることに変わりはないが、それ以上に、食品を通した「内部被曝」が深刻な健康被害に結びついているということである。
「0.1マイクロシーベルト程度」という空間線量という中で「10ベクレル」の食品を摂取してきたウクライナの子どもたちの健康状態をみると、チェルノブイリ事故から6年後(92年)で健康に問題ない割合が22%だったものが、2008年にはわずか6%に激減し、慢性疾患のある子どもが20%⇒78%に急増したというのであるから背筋が凍る思いを感じるのは気のせいではないであろう。
ウクライナにおける「10ベクレル」という基準値が、今の日本の食品に適用されている基準値「100ベクレル」の10分の1であるという事実を考えると、将来、日本の子どもたちはどうなってしまうのであろうか?
汚染食材が日本全土に流通している現状を考えると、無論、子どもたちばかりではなく、大人も含めた全国民レベルにて甚大な健康被害が顕在化することであろう。
今はまだそれが目に見えて現れていない故、平然と「原発再稼動」を口にし、「原発事故による死者ゼロ」などという軽口を多数耳にするが、いずれ誰もが口をつぐむ”地獄絵”を目の当たりにすることになる可能性が極めて高いと言ってよいであろう。
ウクライナこそ日本の「未来予想図」そのものであり、歌の歌詞にあるように「我が儘ばかりで困らせても寄り添って生きられる」ならよいが、「我が儘どころか冗談すら言えず生きていくこともままならない」という世界が待ち受けていることであろう。
最後に、以下に取り上げた2005年当時の共同通信記事によると、ウクライナ国内にてチェルノブイリ事故に関連した死者は実に「150万人以上」に上ったということであるが、その後、更に健康被害が拡大していることを考えると現時点ではこれを更に上回る死者数になっていることであろう。
5~10年後、30年後のニッポンでは一体どれぐらいの数の国民が亡くなってしまうのであろうか?
本日(11/10)、橋下徹が広島にて「核根絶を訴える日本国民は”平和ボケ”」との暴言を吐いたようであるが、”平和ボケ”しているのはフクシマ原発事故による被曝がもたらす健康被害がまったく頭にない橋下徹のような連中どもであろう。
今の日本政府は、チェルノブイリ原発事故による深刻な健康被害を世界に向けて訴えるウクライナ政府とは”真逆”の道を行く、”情報統制国家”たるベラルーシさながらである。
※参考1「【注目番組】『シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「第2回 ウクライナは訴える」』」
※参考2「【必読記事】『政府、汚染の深刻さを未だ理解せず』~ベラルーシで医療活動を行った菅谷市長が語る真実~」
※参考3「チェルノブイリの影響が今なお深刻な”独裁国家”ベラルーシこそニッポンの近未来そのもの」
『ゲンダイネット』2012年11月8日「さいたま市と同じ線量 ウクライナで健康な子どもは6%」より転載します。
○食品摂取で内部被曝!?
健康な子どもは6%――。昨年4月にウクライナ政府が発表した衝撃の事実。被曝(ひばく)者から生まれた子どものうち、健康なのは、チェルノブイリ事故から6年後の92年で22%だった。それが08年には6%に激減。一方で、慢性疾患のある子どもが20%から、78%に急増したという。
恐ろしい結果だが、他人事ではない。ウクライナの放射能汚染レベルは、さいたま市と同じなのだ。
9月24日~10月4日にかけてウクライナで現地調査を行ったNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏がこう言う。
「3地域の学校を調査したところ、一番線量の低かったコバリン村学校は0.03~0.1マイクロシーベルト。さいたま市と同じ水準なのです。残りの2つ、ピシャニッツァ村学校は0.09、モジャリ村学校は0.12でした」
小若氏らが子どもたちの調査を進めると、新たな問題も発覚したという。コバリン村学校の生徒の7割が足の痛み、2割が頭痛を訴えた。ピシャニッツァ村学校では足の痛みが6割、頭痛は5割に。モジャリ村学校では7割が足の痛みを、8割が頭痛があると答えている。小若氏は、「これらの健康障害は、食品摂取による内部被曝しか考えられない」と言う。
「食品の検査で、モジャリ村のキノコは1キロあたり200~400ベクレルでした。ウクライナの田舎では、森でキノコやベリー類をとって食べる。キノコは肉の代わりとして使われ、食事の5%を占めるのです。どれぐらいで健康被害を起こしているのか調べると、彼らは平均して10ベクレルの食品を摂取していた。10ベクレルは日本の基準の10分の1。訪れた地域の線量はうちの事務室とだいたい同じでしたが、その地域でとれたライ麦を検査に出したら昨年の埼玉の小麦より低い線量でした。さいたま市でとれる食物が、どのくらい汚染しているか分かりませんが、汚染度が高い地域ほど危ないのは間違いない。政府は責任を持って調査すべきです」
放射線量が落ち着いているからといっても安心はできない。放っておけば、子どもたちは内部被曝でジワジワとやられてしまう。国は真剣に対策を急ぐべきだ。
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