2013年01月25日

新概念を学ぶ7 逆境下で進化してきた哺乳類

%E7%94%9F%E7%89%A9%E7%B5%B6%E6%BB%85%E5%8F%B2%E5%B9%B4%E8%A1%A8.jpg
画像はこちらからお借りしました。
新概念を学ぶ1~3『実現論前史』「イ.可能性への収束=統合」では、次のことを学びました。
新概念を学ぶ1 可能性への収束=統合(内圧=外圧、逆境こそ進化の源泉)
新概念を学ぶ2 生物はより高い適応を求めて進化する
新概念を学ぶ3 生物は、種として適応するための成功体験の塊(塗り重ね構造体)である
【1】生物は外圧適応態として進化してきたこと。従って内圧=外圧であり、逆境こそ進化の源泉であること。
【2】単細胞の時代から今日まで外圧適応態として必要であったすべての諸機能が塗り重ねられてきたのが現在の生物であること。
【3】塗り重ねの原点にあるのは群れること=集団原本能であり、生物はこの集団原本能を土台に様々な集団本能機能を塗り重ねながら集団として適応してきたこと。つまり、生物の成功体験は種(集団原本能)を原点として積み重ねられてきたこと。

新概念を学ぶ4~6『実現論前史』「ロ.雌雄の役割分化」では、次のことを学びました。
新概念を学ぶ4 雌雄に分化は適応可能性を増大させ、生物の急速な進化を可能にした
新概念を学ぶ5 生物の進化は安定と変異の両立によって成し遂げられた
新概念を学ぶ6 雌雄に役割分化した方が、みんな(種や集団)が充足(適応)できる
【1】生物は安定と変異の軸上での性の差別化を推進する方向で進化してきたこと。
【2】雌雄に分化したのは種や集団が外圧に適応するためであり、逆に言うと、雌雄・男女の役割分化という自然の摂理に則った方が、集団や社会のみんなが適応できる、充足できるということ。

引き続き、私たち哺乳類の進化の秘密に迫ります。
いつも応援ありがとうございます。

にほんブログ村 政治ブログへ


『実現論』「前史ハ.哺乳類(原モグラ)時代の性闘争本能」から引用します。

現存する哺乳類の大部分は(もちろんサル・人類も含めて)、原モグラから枝分かれした。
現在の哺乳類の祖先である原モグラは約1億年前に登場するが、その時代は大型爬虫類の天下であり、原モグラは夜行性で、林床や土中に隠れ棲み、そこからチョロチョロ出撃するという、密猟捕食の動物であった(従って、現在でも多くの哺乳類は色盲のままである)。  
   
約六五〇〇万年前、巨大隕石が地球に衝突し、これに誘発されて火山の噴火が始まり、地球は粉塵に包まれて、急激に気温が低下した(この時期を特殊寒冷期と呼ぶ)。
氷河期の場合には数万年かけて徐々に気候が変動する為、それに応じて植物も動物も移動してゆくことができるが、特殊寒冷期には短期間に気温が急低下し、北方に生息していた動物たちはあっと言う間に絶滅、南方にいた大型動物も、(たとえ親が生き残っても)卵を孵化することができず、殆どが絶滅した。
その中で、水中や温泉の岩陰など比較的温かい所に生息していた動物たち(ワニ・トカゲ・ヘビなど)は辛うじて生き残り、同様に地中に潜ることができた原モグラも特殊寒冷期をくぐり抜け、生き残ることができた。  
   
生き残った動物たちは、この環境変化を契機に一気に適応放散し、多種多様な種が登場することになった。(適応放散とは、生物史上繰り返し現れる現象で、危機的状況に陥ると新たな可能性に収束することによって、一気に多様な適応態が出現することをいう。)
大型爬虫類の絶滅という環境変化によって、小型爬虫類や猛禽類や初期肉食獣が多様化し繁殖していったが、この環境は(相手が10m級の大型爬虫類であるが故に、体長10~20cmのモグラは充分に「隠れ棲む」ことができたが、相手が小型爬虫類や肉食獣になると)原モグラ類にとっては、大型爬虫類の時代以上に危険な生存状態となった。
この危機的状況ゆえに、モグラ類は急速かつ多様な適応放散を遂げ、現在に繋がる様々な哺乳類が登場することになる。(それらの中で、樹上逃避することによって適応していった原モグラが原猿である。)

「新概念を学ぶ1 可能性への収束=統合(内圧=外圧、逆境こそ進化の源泉)」で述べられたように、生物は幾度も絶滅の危機に晒されてきた。下の年表のように、生物史上少なくとも5回の大量絶滅が確認されている。
%E7%A8%AE%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E3%83%BB%E7%B5%B6%E6%BB%85%E3%83%BB%E6%B0%97%E6%B8%A9%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96.jpg
画像は『生物史から自然の摂理を学ぶ』『大量絶滅 生物進化の加速装置』とからお借りしました。
中段のグラフ「5回あった顕生代の大量絶滅」の、薄茶はカンブリア紀型生物の科の数、濃茶は古生代型生物の科の数、濃青は現代型生物の科の数の推移を示している。
とりわけ、赤の「3.古生代/中生代境界の大量絶滅」(2.5億年前)で最大の激減に見舞われている。しかも、これは科の数であって、生き残った科であっても個体数は激減したはずなので、総個体数は科数の激減よりもはるかに大きく激減したであろう。まさに大量絶滅である。
哺乳類も例外ではない。
幾度も絶滅の危機に晒され、その逆境下で進化してきたのが哺乳類である。
まず、最大の脅威となったのは寒冷化や乾燥化、酸素不足を始めとする地球環境の激変である。

この地球環境の激変に対して、哺乳類はどのように適応してきたか?
【1】氷河によって水辺を追われ、寒冷化に適応して生き延びた
3億5000万年前より地球は氷河拡大期に突入、2億9,000万年前爬虫類が出現、そしてさほど間をおかずして単弓類(哺乳類の前身)が出現する。
氷河期には多くの地域で池や川が氷結し、水中に棲めなくなり(or卵が水中で孵らなくなり)水辺を離れざるを得なかった。その為肺呼吸や心臓の機能を(心肺機能)を高める方向で進化を遂げた種たちが辛うじて生き残った。これが単弓類である。
この単弓類は寒冷下で生き延びられるように恒温性を獲得した。
恒温性を獲得した単弓類の中には、卵胎生=卵を体内で孵して生む種も登場している。
そのようにして寒冷化に適応した単弓類は、変温動物であった(従って、赤道近辺にしか棲息できなかった)爬虫類より広域の生息域を一旦は確保する。
【2】低酸素化の難
ところが、2.5億年前地球は火山活動活発化の結果酸素不足に陥る。
その際恒温性である単弓類は極めて生存上困難な事態に陥る事になる。
つまり、体温維持のため常に高エネルギーを消費するためすばやい動きが出来なくなるのだ。彼らも低酸素状態に対しては、横隔膜を作る等ある程度適応を遂げているが、それでも対応できなかったのであろう。最盛期には3m以上あった大型の単弓類はほぼ絶滅し、辛うじて小型化したのものだけが生き残る。その後原哺乳類にいたるまで、基本的に小型化戦略をとらざるを得なくなり、爬虫類に主役を譲ることとなる。
【3】寒冷期に於ける原哺乳類の登場と恐竜の制圧下での進化
そして、2億2千万年前ごろより地球は一時的に寒冷期に突入する。その際に一段と高い恒温性を獲得したものが原哺乳類である。しかし彼らは10cmしか体長が無い(アデロバシレウス等)。
その後、寒冷期が終わり地球が温暖化するジュラ紀、白亜紀には気温上昇と低酸素化の環境変化に適応した爬虫類が大型化し繁栄してゆく。
この恐竜の天下で、弱者となった哺乳類は変温性である爬虫類が活発に活動のできない夜間に、恒温性を武器に夜行密猟動物として辛うじて生き延びていく。夜間に小さな昆虫を捕食する為に聴覚・嗅覚・触覚を統合する必要があり、その結果、脳の肥大化を助長し大脳新皮質を獲得する。
また、子孫を安全に残すために、原哺乳類は外敵の多いこの時期に胎生に転換した。但し、この時期は胎盤機能を有してはおらず、子宮のみだった。
更にその後1億2000万年前位から、高緯度の土地から順に寒冷化が進んでいく。
この寒冷化が進むことで、原哺乳類は胎児の出生確率をより高める胎盤(胎児への栄養補給)を獲得し、現存する哺乳類の基礎的機能をほぼ整えた。
%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%82%B9.jpg %E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%8A%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%83%89%E3%83%B3.jpg %E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%AD%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%AC%E3%82%A6%E3%82%B9.jpg
【1】最古の単弓類(アーケオリシウス)⇒【2】小型単窮類(トリナクソドン)⇒【3】原モグラ(アデロバシレウス)
画像は『古世界の住人』からお借りしました。
【4】そして、約6500万年前(白亜紀末)に恐竜をはじめとする生物の大量絶滅が起きる。
原因は直径10kmの隕石の落下と言われており、それにより粉塵や硫酸塩、森林火災に伴う煤などが大気に滞留し、光合成生物(植物プランクトン)の活動を長期間停止させた。食物連鎖の基底をなす光合成生物が死滅したことにより、恐竜などの大型生物は食料を採取できなくなり絶滅したと考えられている。
巨大恐竜がいなくなったあとには、小型の原哺乳類を主要に狙う小型爬虫類や肉食鳥類が生き残り、巨大恐竜の時代以上に危険な生存状態となった。この危機的状況ゆえに、原哺乳類は急速かつ多様に適応放散を遂げ、現在に繋がる様々な哺乳類が登場したのである。
dhiatorima.jpg purisuthityanpusasu.jpg
左は【ディアトリマ】体長2m 鳥類(肉食) 恐竜絶滅以降、地上に君臨。
右は【プリスティチャンプサス】体長3m 爬虫類 陸上に適応したワニ類のひとつ。
画像は『古世界の住人』からお借りしました。
この多種多様な哺乳類の登場の時代はいったいどのような外圧状況にあったのか。
大型爬虫類の絶滅という環境変化は、一見して哺乳類の繁栄を一気に加速させたかのように語られるが、本当にこの時代は哺乳類にとって外敵のいないパラダイスだったのか?
まず、この時代多種多様な哺乳類が登場するが、大型哺乳類は誕生していない。現在の大型哺乳類に近いサイズの種が登場するのはもう少し後の時代で、この時代の哺乳類は大きいものでも0.5mくらいである。この時代の小型化戦略はいったいどのような外圧状況によるものなのだろうか?
それは、大型爬虫類が絶滅した原因と同じで『食料問題』と考えられる。巨大隕石の衝突によって、植物が育たなくなり、結果哺乳類が食べる餌も獲得しにくくなったと考えられる。餌となるものが限られているので、必然的に小型化してエネルギーの消費を抑えるという適応を余儀なくされたのがこの時代の哺乳類である。
さらに、大型爬虫類が絶滅したことで、小型哺乳類は天敵が逆に増えることとなった。
大型爬虫類は小型哺乳類を直接エサにしていたのではなく、小型哺乳類をエサにする中間的な大きさの爬虫類をエサにしていたと考えられ、大型爬虫類がいなくなると、小型哺乳類の天敵である中間型の爬虫類や猛禽類が増え、外敵から身を隠すことが難しくなり、いよいよ危機的な状況に追い込まれたのである。
この危機的状況ゆえに、モグラ類は急速かつ多様な適応放散を遂げ、現在に繋がる様々な哺乳類が登場したのである。

List    投稿者 staff | 2013-01-25 | Posted in 13.認識論・科学論No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2013/01/2470.html/trackback


Comment



Comment


*