2013年08月10日

立て直せ!!狂った医と食  7.『あなたに巣くう細菌が、あなたを救う』

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皆さんこんにちは。暑い日々が続いていますが、体調はいかがでしょうか。本シリーズで得た知識を活かして、ぜひ体調維持を図って下さい。
前回の記事: 「高体温de抗体ON!」では、人間の体温にまつわる絶妙なバランスの話題でした。わずか3度程度の範囲内に体温が保たれ、ウィルスなどに感染すると免疫力を高めるために体温を高くして対応するという生体のメカニズムを学びました。
今回は、人類(動物)と細菌との絶妙な共生関係について学んでみたいと思います。
善玉菌と呼ばれる「ビフィズス菌」などの腸内細菌は人間にとって必要不可欠な存在であることは、かなり広く認識されるようになっています。一方、抗菌グッズや除菌などの必要性がアピールされ、清潔志向に応える様々な商品が出回るようになっています。これらは、それぞれ真逆の方向に向かっているように見えます。
 人間の体には、いつも存在している細菌(「常在菌」)が巣くっています。それは私たちにとってどういう存在なのか、どのように対応していくべきかについて学んでみたいと思います。

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それでは、さっそく中身に入りましょう。
まず、人体と細菌の共生関係はどうなっているのか見ておきましょう
みなさん、細菌って聞けば、体に悪いものだと思っていませんか?
もちろん、悪さをする菌もありますが、『常在菌』はそんじょそこらの菌とは違うのです。
菌にとって、ヒトの身体は、一定の温度環境、エサとなるものの安定供給などがあり、棲みつくのには好条件なのです。
そのように、ヒトの身体に棲みつくようになった菌のことを『常在菌』と言います。例えば、腸の中には、ヒトが自力で消化できないエサを求め、およそ100兆個もの菌が棲みついていると言われています。常在菌は腸以外にも皮膚、口腔、気道にも存在し、いかにたくさんの菌が私たちの身体に棲みついているかが分かりますね。
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●体内細菌(特に大腸菌)に関しての新しい切り口の論考を紹介します
『体内の大腸菌がいなくなると…』 から抜粋、引用

人間が栄養素を吸収する為には、細菌の助けが不可欠」であるということを知っているでしょうか?
栄養素を吸収する為には、吸収しやすいように消化する必要があります。その消化の役目を果たしているのが消化酵素。と以前までは言われていたのですが、実はこの役目を腸内に住んでいる細菌も担っているのです。
腸内には約100兆もの菌が常住してますが、そのほとんどがこの役目を担っています(他にも人間に有用な役目を担っています)。
しかも、人間の消化酵素では消化できない栄養素を、各細菌が消化を担っているのですから、細菌は不可欠な存在です。

 
例えば善玉菌で代表的なビフィズス菌は体に良いとよく聞きますが、これは消化・吸収の役目をかなり担ってくれるからですが、悪玉菌で代表的な大腸菌も同様に担っているのです。
大腸菌にしか消化できない栄養素もあるので、これがいなくなってしまうと人間にとっては非常事態なのです。
そのような大腸菌が悪玉と言われる所以は、その内ごく少数(例えばO-157)が毒素を発するものがいて、これが下痢や出血等とつながる為です。
これら病原性大腸菌と呼ばれているもの以外はほぼ人間には無害です。
(大腸菌が腸内環境悪化が原因で大量増殖してしまうと、有害なものになってしまいますが、それは大腸菌自体が要因ではなく、増殖するような腸内環境を作った人間側に要因があると思います)

●次に皮膚常在菌について見ておきます
 「皮膚と微生物の共生メカニズム」より抜粋・引用

人間の皮膚にはおよそ10兆個の微生物が共生、何万年も協力し合って生きてきた。
皮膚は微生物に食べものである有機物を提供、微生物は生きる為にその住処である主を外敵から守ってきた。人が「垢」と称して毎日こすり落としている外皮は微生物の大切な住処であり食べものなのだ。他の動植物の外皮と同じように必要なだけ残し、不要なものは食べて分解する。下皮から用済みの皮膚が次々にせり上がって来るが、微生物は外皮の厚みを一定に保っている。それが自然界のメカニズムだ。

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こうしてみてくると、『共生』の重要性に気付きませんか?
人間と細菌はこれまで共生してきました。この事実に目を背け、一部の都合の悪い状況だけを叩き、除去しようとする人間の行為は、正常と言えるのでしょうか?
以下の記事にもあるように、人間がいまだ認知できていないものも含めて、多種多様な細菌との共生関係の中で私たち人間は進化を遂げてきました。
それら全体が相互に様々な役割を担いながら共生しており、全体の絶妙なバランスを保つことが重要であることは想像に難くありません。

生物進化の源泉にある、古細菌の普遍構造に感謝より抜粋・引用

人間は酸素をエネルギー源として活動する好気性生物の一種。しかし、腸内には嫌気性細菌も同居している。もっと言えば、人間の細胞は60兆の細胞(これすら、単なる仮説に過ぎないが)で構成されているが、実はその10倍を超える細菌群との共生によって成り立っている生物である事が解明されつつある。腸内だけでなく、皮膚上細菌のバリアー等も含めて、体中のあらゆる部位で、種を超えた細胞間コミュニケーションを行なっているのだ。
 そもそも、地球上に生物が誕生してから40億年の歳月を掛けて、様々な外圧に適応する中で現世生物群の進化が実現した事実と同時に、40億年間殆ど姿形を変えずに現代まで生きながらえている細菌群が存在する事自体が、何よりも驚異的ではないか!
地球環境の劇的な変化を乗り越えてきた進化積層体と、周り(他者)を進化させつつも、その体内に共生の道を作り出してきた古細菌群との生命共同体の存在こそが、何よりも雄弁に語りかけてくる。

細菌との共生関係を壊す、現代医療
西洋医学をベースにした現代医療は、共生関係と真逆の方向を向いているようです。
腸内常在菌の場合
ヒトの腸内には100~120兆個、100~300種類の細菌が棲みついています。その分、腸の細菌の効能も多種多様です。具体的に挙げていくと、免疫力を高める、5000種類以上の体内酵素を作る、外界から侵入した細菌や毒素を腸内でやっつける、化学物質や発ガン物質を分解する、消化・吸収・代謝システムに携わる、ビタミンを作る、抗生物質による副作用を抑えるなどです。
しかし、様々な医薬品や食品添加物に含まれる化学物質が腸内細菌を傷めつける結果となってしまっています。

皮膚常在菌の場合
ヒトの皮膚には表皮ブドウ球菌という常在菌が、ヒトの皮脂をエサにして棲みついています。その表皮ブドウ球菌が正常にヒトの皮膚に常在してくれれば、問題はありません。しかし、現代人はタオルでゴシゴシ身体を洗ったり、消毒をしたり、長湯に入ったりして表皮ブドウ球菌をわざと減らすようなことをしています。そうなると、アトピー性皮膚炎の原因ともなる黄色ブドウ球菌が増えてしまい、皮膚に悪さをもたらしてしまうのです。
■医薬業界や行政にミスリード(洗脳)されている現代社会
以上で見てきた『常在菌』の働きは、ほんの一部にすぎませんが、洗いすぎ、磨きすぎなど、○○し過ぎはよくないことだと理解していただけたでしょうか。
人間は常にいろんな細菌に助けられながら生きています。それをある細菌の悪い部分だけを見て悪玉菌と決めつけ、減らそう、無くそうとするのは部分だけしか見ていない証拠だと思います。
悪玉菌(と言われているもの)を新しい抗生物質で無くすことに成功し一部改善できたとしても、また新たな悪影響が出てくるのは確実だと思います。悪循環の始まりです。
西洋医学に基づいた現代医療では、「病原菌」を特定して犯人(悪玉菌)に仕立て上げ、対症療法として抗生物質などを投薬し、治療を行うのが常道となっています。
また、医療学会や医療・公衆衛生行政の考え方などに乗じて抗菌キャンペーンを拡げて過剰な清潔志向を煽り、抗菌グッズなど細菌との共生関係のバランスを崩すような商品が市場に提供されています。
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※細菌の付着・繁殖を防ぐための加工をした商品である抗菌グッズは、1980年代に清潔症候群(アライグマ症候群)と呼ばれる若者の出現とともに登場したと言われています。洗口液や便座除菌クリーナーなどが代表的なものですが、文房具などの抗菌仕様素材をアピールしたり、除菌効果のあるウェットティッシュなど様々な商品が市場に出回るようになっていますね。
抗菌・除菌といった考え方が医療から日常生活の中にまで拡がった結果、感染症はいつまで経っても治らない症状が続き薬漬けになっていきます。
アトピーなど、近年蔓延している病状なども、過剰な抗菌・除菌志向が原因であることはかなりの確度で言えると思われます。

西洋医学は、どこで誤った方向に向かってしまったのでしょう
細菌を悪役に仕立て上げて、現代医学を迷路に引き込んだきっかけとなった張本人はパスツールです。細菌を最初に発見した科学者・偉人として、学校で教えてもらった人ですが、大間違いの始まりでした。そしてその背景には、ユダヤ教、キリスト教といった一神教によって拡げられた独善的で排他的な観念構造があるようです。
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パスツールさん
パスツールにみるキリスト教の呪縛より抜粋・引用

世界を二つに分けて対立構造で捉えるのがユダヤ教,キリスト教,イスラム教の特徴だ。パスツールはその伝統的思考に忠実に従っただけだ。
だから彼はバクテリア(「小さな杖」という意味)に「病原菌」という名前をつけ,人間に敵対するもの,人間に脅威をもたらす恐ろしい敵だと考え,その撲滅を訴えたわけだ。要するにそれは,イスラム教徒殲滅のために十字軍を派遣するのと同じ思考パターンである。
 
ちなみに,パスツールの同時代の医者の中には「食糧事情も労働環境も悪く,日も当たらない家に住むしかない労働者が病気になるのは細菌だけが原因とは考えにくい。病原菌撲滅もいいが,その前にまず衣食住の改善ではないか?」と至極まっとうな反論をするものもいたらしいが,それを政治力で潰したのがパスツールであり彼の弟子たちだった。
 パスツールの努力の甲斐あり,医者たちは細菌を病原菌と呼ぶようになり,病気根絶のために病原菌撲滅,細菌撲滅しかないと考えるようになった。パスツールの狂信は21世紀の医学をも支配し,WHOの予算は感染対策に振り分けられているわけだ。

多種多様な細菌の絶妙なバランスによって成立している生体と細菌との共生関係は、そのバランスを維持、回復する取り組みが不可欠です。
一部の細菌を病原菌に仕立て上げて攻撃するという、西洋医学で行われてきた対症療法は、共生関係のバランスを壊す方向に向かいかねません。
近年、西洋医学だけでは対処できない症状があることが認識されるようになっており、「統合医療」やそれを支えるために「医食農同源」などの考え方を元にした取り組みなどが始まっています。
また、健康な身体を育む上でとりわけ重要な幼児期の取り組みとして「どろんこ保育」なども重視されるようになってきています。裸足で土の上で遊び、走り回り、木に登り、いろいろな生き物とふれ合いながら(細菌とも共生)、健康な身体を育んでいこうとするもので、大きな効果が期待できる取り組みだと思います。
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画像はこちらからお借りしました。
いかがでしたでしょうか。
これまで当たり前と思わされていた「病原菌」という発想そのものを改めて見直してみることが必要だと思われます。
最後に、とても参考になる考え方を引用しておきます。
『人間と細菌 ―同じ生態系で生きているという発想』り抜粋・引用

人間は細菌がいる環境で生きていかなければいけないし,人体は細菌がいる環境で生きていけるような能力を獲得している。そうでなければ,人類なんてとうの昔に絶滅していたはずだ。 
地球の歴史では細菌は大先輩である。細菌から見たら,人間なんて洟垂れ小僧の新参者にすぎない。だから人類がこの地球で生きていこうとするなら,洟垂れ小僧は大先輩に合わせて生きていくしかない。それが地球のルールであり生態系のルールである。

それでは、次回の記事も引き続きご期待下さい。

List    投稿者 wyama | 2013-08-10 | Posted in 13.認識論・科学論No Comments » 

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