2012年03月18日

近代科学の成立過程20【まとめ】 近代科学は自我に基づく自然認識(支配)⇒その源流は?

今回は、近代科学の中間総括として「近代科学の史的総括1・2」「近代科学の成立過程1~19」をまとめます。
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「市場拡大とともに自我肥大し、自然を支配(破壊)してきた近代科学」

近世、市場拡大によって私権の拡大可能性が開かれ、自我を肥大させた科学者たちは、科学技術による自然の征服を目論み始める。彼らの「実験」とは自然に対する拷問であり、そこで見い出された「法則」とは拷問によって強制された自然の「自白」なのである。近代科学の原動力は自我であり、自然に対する畏敬や感謝の念からその摂理に学ぼうとする姿勢とは正反対である。

「金貸し主導の戦争→国家プロジェクトの手先となり、アホ化した科学者たち」

金貸しに導かれた戦争という国家プロジェクトに科学者たちは組み込まれ、金貸しの手先と化してゆく。その代表例が米マンハッタン計画(原爆製造計画)や原子力開発である。そこで科学者たちは、原爆や原発の開発という目標に疑問を提起することもなく、与えられた問題の解決にひたすら取り組むだけであった。この構造は原爆~原発学者だけではなく、ほとんど全ての学者たちに当てはまる。
これが、金貸しの手先と化した現代の科学者たちが「何故、その研究が必要なのか?」等々の根本的な問題意識を喪失し、信じられないほどアホ化した理由である。

「近代科学と近代思想との関係構造を解明する」

自然にたいする畏れを抱き人間の技術は自然に及ばないと考えていた16世紀までの職人たちの自然観から、17世紀科学革命において、科学と技術で自然を支配しうるという科学者の自然観へと転換した。
近代西欧の科学技術が自然の支配と地球の収奪を目的としたものであるかぎり、自然破壊や生態系の混乱を生み出したのは必然である。そのネガティブな遺産は20世紀後半になって一斉にプロテクトの声をあげはじめている。
科学法則とは、まわりの世界から切り離され純化された小世界、すなわち環境との相互作用を極小にするように制御された自然の小部分のみに着目し、そのなかで人為的・強制的に創出された現象によってはじめて認められるものである。そのような科学にもとづく技術が、生産の大規模化にむけて野放図に拡大されれば、実験室規模では無視することの許された効果や予測されなかった事態が顕在するのは避けられない。

「金貸しに都合のよい思想を過去から拝借したパクリ思想がルネサンス」

十字軍によるイスラム略奪で富を蓄積した貴族や金貸し階級が、さらに私権拡大を図った。彼らの私権追求を正当化する恋愛観念や法学、哲学をイスラム、ローマ、ギリシャなどから借用してきたのがルネサンス人文主義である。この時代の科学技術を牽引した職人や芸術家も、金貸しの私権追求期待にこたえる特権階級の手先である。そして、科学技術は大航海時代、世界の侵略行為を通じて発展していった。

「近代の科学者は金貸しの手先だった」

西洋列強同士の戦争に勝つには、その制覇力たる工業力を発達させることが必須である。そのために、17世紀になると、金貸しに支配された国家が科学者を組織(丸抱え)して科学技術を研究させるようになった。それによって西欧列強はますます軍事力を強化し、帝国主義に向かって邁進する。金貸しに支配された英王立協会や仏科学アカデミーの科学者たちはその手先となってゆくのは必然である。その代表がニュートンである。

「戦争や市場拡大とともに発達した西洋医学」
「戦場で活躍した外科医が支配階級に取り立てられ権威化していった」

ペストや梅毒に中世大学の医学が全く無力であった。そして重火器の登場で戦争の様相が一変し、中世大学医学の無力さが明らかになり、西洋の医学は急速に変化していった。つまり、西洋医学は、私権拡大のための戦争と市場拡大(重火器による戦傷やペスト・梅毒などの伝染病)を原動力として発展したのである。そして、銃弾や砲弾による複雑で大量の戦傷に対処できる外科医の需要が高まり、支配者階級にとりたてられ、権威化していった。

「兵器需要と貨幣需要から発達した鉱業が近代の科学と賃金労働の起点」
「鉱山業に始まる資本家-経営者-労働者という生産関係を母胎に近代科学・近代思想が登場した」

軍需と貨幣需要によって、ヨーロッパの鉱業と兵器産業が発達し、それが定量化・計数化を武器とする近代科学の土台を築き、同時に賃金労働による分業という近代の生産関係(資本家-賃金労働者)を生み出した。これが近代市場社会の原型である。この新しい生産関係が登場してはじめて、それを正当化するような近代科学や近代思想などの新しい認識が登場する。
そして金貸したちが活動の中心を金融の場に移していくと、金勘定を正確に行うために数学が発展し、それが数学の革命へとつながってゆく。

「近代の教育制度は西洋の商人がつくった算数教室から始まった」

中世では大学を頂点とする学校はキリスト教会の支配下にあったのが、近世になると教会に代わって金貸し(都市自治政府)が大学の支配に乗り出す。また、商業階級(商人・職人)の要請によって教会の息のかからない学校が必要となり、中下級商人・職人の子弟向けの算数教室が誕生する。これが近代~現代の学校制度の原点である。

「商業簿記と利息計算から発展した代数学」

市場拡大によって、あらゆる物が商品化され通貨換算し数量化されてゆく。商品やサービスに限らず人間社会の全ての事象が数で表すことが出来るという正当化観念が生み出された。そこで、商業簿記が発達し、複利計算の必要から高次方程式→代数学が発達した。つまり、金貸しの利益計算の必要から数学が発達したのである。

「数学的形式に当てはまるように捏造した、現実には存在しない架空観念の体系が近代科学」

近代の科学者たちは、自然を虚心坦懐に眺めあるがままに観るのではなく、数学的形式にあてはまるように(都合よく)現実には存在しない抽象概念を作り出した。その一例が大きさを持たない「質点」という概念である。
その意味で、近代科学も架空観念の体系である。
それによって、前提条件や仮定を都合よく組みかえれば、数式を通して如何様にでも都合のよい答えを導き出すことが可能である。実際、学者や官僚・マスコミは統計を駆使して人々を騙し続けている。

「重火器の発達に促されて弾道学・機械学から力学が発達した」

16世紀軍事革命の基本は大砲と銃の主力兵器化にある。大砲や鉄砲が主力兵器になり、その軍事的要請から弾道学や機械学の発達を促し、ガリレオやニュートンらによる力学の土台をつくった。

「自然を機械に過ぎないと看做す機械論的自然観によって自然支配が正当化された」

人間世界だけではなく自然界も全て数式で表現しようとしたのが近代科学である。数学的形式に当てはめるために自然対象は機械に過ぎないと看做され、だから、畏敬すべきものは何もなく、人間が支配してもよいと自然支配が正当化された。これが機械論的自然観である。

「国家ぐるみの海賊行為のために天文学・地理学は発展した」
「科学技術者たちは侵略航海による私権の可能性に収束し、国家プロジェクトに組み込まれていった」

天文学・地理学は大航海の必要から発達したが、大航海とは国家ぐるみの海賊行為と騙し貿易による搾取に他ならない。そこでは、金貸しや商人だけではなく、国家(王侯貴族)や学者・技術者・職人に至るまで、侵略航海に可能性収束した。だからこそ、侵略航海を目的とした天文学・地理学の国家プロジェクトが成立した。
国家プロジェクトに組み込まれた科学者・技術者たちは、天文学や地理学を発達させ、それが力学と並んで近代物理学の土台となる。それを結実させたのがケプラーやニュートンである。

「金貸しが育成した特権階級(ジェントリ)が私権獲得の為に科学に収束した」

イギリスのジェントリ(地主階級、大商人、法律家、官僚、上位聖職者、大学数授、医師)たちを主勢力として、17世紀イギリス民主革命が実現した。また、彼ら特権階級たちの支持によって、イギリス帝国の拡大を目指す重商主義政策が展開された。そこではジェントリたちは自らの私権獲得という目的と国力の増強という目的を重ね合わせ、科学技術に強力に収束していった。このようにして、特権階級ジェントリを主勢力として、16世紀まで後進国であったイギリスが世界の覇権国家になっていった。

「金融勢力と一体となった海賊国家イギリスが科学革命を実現し、世界を征服した」

国家ぐるみの略奪闘争(海賊行為)こそがイギリスの国家戦略であり、イギリスが世界の覇権を握った根本的な理由も、イギリスがノルマン海賊の末裔、つまり最も侵略性の強い国家(民族)であったことにある。
そして、イギリスではグレシャムをはじめとする金貸しが国家ぐるみで科学者を組織した。それが英王立協会である。その科学技術力を武器にイギリスは国家ぐるみで海賊行為を働き、全世界を征服したのである

「十六世紀ヨーロッパの言語革命はキリスト教と金貸しの共認闘争だった」

中世ヨーロッパでは教会がキリスト教とラテン語による知の独占によって観念支配していたが、近世以降、観念支配権を金貸しが奪ってゆく。その現れが16世紀ヨーロッパの言語革命である。それによって、大衆が使っていた俗語が正式な国語となり、それまで知識を独占していたラテン語に取って代わっていった。
そして金貸しは、市場を拡大するため、禁欲的なカトリックに代わって私権追求を肯定するプロテスタントや恋愛を美化した文学を大衆にばらまき大衆を洗脳していった。金貸しが共認闘争でカトリックに勝利したことを象徴するのが16世紀ヨーロッパの言語革命である。

「十六世紀ヨーロッパの言語革命は私権拡大への可能性収束だった」

中世キリスト教会は大衆が書物を読むことを強く警戒していたが、15世紀以降は印刷術→出版物によって、逆に大衆に書物を読ませることで、金貸しの市場拡大に都合のよい観念(恋愛観念や近代思想)で国民を洗脳し、その物欲を刺激する仕組みを作り上げた。そして、国家も国民も富国強兵・豊かさ(私権)拡大に突き進む。
16世紀のヨーロッパ発の印刷技術と言語革命は、私権拡大への可能性収束だったと言える。

「17世紀欧州で、近代科学と民主制と中央銀行制度が確立したのは何故か?」

イギリスの民主革命の目的は、金融勢力が中央銀行(イングランド銀行)を制度化するためであった。
中央銀行制度とは金融勢力が国家を収奪(支配)する仕組みであり、社会契約説や民主主義は、金融勢力が国家を収奪(支配)することを正当化する思想である。同様に近代科学は、人間が自然を収奪(支配)することを正当化した観念である。
17世紀の第2の略奪闘争によって欧州全体で暴走した自我・私権が市場による収奪(支配)に可能性収束した。国家から収奪するための正当化観念が民主主義であり、自然から収奪するための正当化観念が近代科学である。そこでは科学者の自我も肥大して自然に対する畏れを捨て去り、金融勢力の手先となって、近代科学の暴走も始まったのである。

【1】近代科学の原動力は、戦争と市場の拡大(兵器需要と貨幣需要)であり、とりわけ重火器の発達により医学や力学が発達した。また、鉱業と兵器産業は資本家-賃労働者という近代の生産関係を生み出した。
【2】市場の拡大によって数学が発達し、人間社会や自然世界の全てを数で表すという正当化観念が生み出された。その数学的形式に当てはまるように捏造した、架空観念の体系が近代科学である。
そして、科学者たちは、関係する要素や力をほんの数個に限定し、その他の要素を捨象した人工的な特殊限定空間で実験を繰り返してきた。そうしてできた科学法則は、現実には存在しない特殊空間(実験室)でのみ成立する限定的な法則にすぎない。

【3】市場拡大を目論む金貸し勢力が、私権拡大を封鎖するキリスト教の教会から観念支配権を奪うために大学(学者)を支配するだけでなく、学校や出版物を使って私権拡大→市場拡大に都合の良い観念で以て大衆を洗脳していった。それが言語革命や宗教改革である。
【4】大航海を契機に万人に私権の拡大可能性が開かれると、国家も科学者も技術者(職人)もそこに全面的に収束した。金貸しが支配する国家プロジェクトに科学技術者たちが組み込まれ、天文学をはじめとする科学が発達してゆく。それに成功したイギリスが世界を征服した。そして、科学者たちは金貸し主導の国家プロジェクトの手先となり、根本的な問題意識を喪失しアホ化していった。
【5】全欧州で自我が暴走した17世紀に科学革命と民主革命が起こり、中央銀行が設立される。それ以降、自我肥大した科学者たちは金貸しの手先となって科学技術による自然の支配と地球の収奪を推し進めてきた。この近代科学の暴走が地球破壊を引き起こすのは必然である。その最たるものが福島原発事故である。
私権時代以前、原始時代から採集時代に至るまで人類は共認回路で自然を対象化してきた。それによって生まれたのが精霊信仰→観念機能である。『実現論』「前史 人類・極限時代の観念機能」
ところが、近代科学は自我で以て自然を対象化してきたと言わざるを得ない。近代科学は自然を支配と収奪の対象として観てきたのである。
このように、近代思想だけでなく近代科学も、市場拡大→自我パラダイム上の認識である。
社会認識であれ自然認識であれ、近代には自我パラダイムの軸上にある思想しか登場しないのである。
では、自我に基づく自然認識(支配)の源流はどこにあるのか?
それが「ギリシア自然哲学も近代科学も、略奪集団による自然支配のパラダイムにある」の問題意識である。
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List    投稿者 staff | 2012-03-18 | Posted in 13.認識論・科学論4 Comments » 

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コメント4件

 mikiko  | 2013.05.17 16:30

素晴らしい考察ですね!
感動しました。
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