2013年01月29日
米国の圧力と戦後日本史15 ~ニクソンショックの緩衝材となることで実現した沖縄返還~
1945年のブレトンウッズ体制以降、米国は基軸通貨国となり、ドルは実態よりも高値で推移することになります。結果、自国産業が空洞化していき、貿易赤字は年々積み重ねられていきました。加えて、ベトナム戦争が勃発し、米国経済は急激に悪化していきます。
そして、米国の変化に逸早く気付いた佐藤栄作は、そこに付け込み、米国経済回復を餌にして、沖縄返還を実現しました。
この背景には、
①米国が日本の国民世論の反米意識を非常に警戒していたこと(米国の圧力と戦後日本史14)。
②沖縄返還の背後で決まっていた密約の存在
が、あります。
このシリーズでは、元外務官僚 孫崎享氏の著作「戦後史の正体」から、戦後日本の対米戦略を読み解いてきました。その中で、孫崎氏は「沖縄返還にあたって交わされた密約が2つあった」と述べています。今回は、それらの他にも明らかになっている密約と併せて米国の戦略を見ていくことにします。