子供たちのネットコミュニティの現状は?
前回のエントリーでは、お母さんたちが参加するネットコミュニティの現状を分析しました。
今回は、子供たちがネットでどのようなコミュニティを作っているのか、そこには可能性はあるのか、見ていきたいと思います。
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■1、子供向けコミュニティサイトはどんなものがある?
子供向けのサイトを見てみると、主に
・ポータルサイト系
・コミュニケーション系
の2種類に大別できそうです。
代表的なサイトを挙げてみます。
<ポータルサイト系>
●YAHOO!きっず
「Yahoo! きっず」は月間1億ページビュー、(月間の)ユニークユーザー数は500万人(Yahoo! JAPAN調べ)という子ども向けポータルサイトとして国内でトップレベルの規模を誇る。利用者の平均年齢は10.1歳。コアターゲットは小学生である。女児の利用率(56.6%)が男児(43.4%)を上回る(Yahoo! JAPAN調べ)という特徴を持つ。リンク
<コミュニケーション系>
●前略プロフィール
楽天が運営する「前略プロフィール」はプロフ最大手とされ、ユーザー数は550万人に上る。そのうち8割から9割が女子中高生。パソコンと携帯電話の両方から使えるが、全体の75%が携帯電話からの利用者となる。 リンク
ふみコミュニティとは、2000年から始まった情報交換や交流を目的とした大型コミュニティサイトだ。ユーザーの9割は10代女子であり、ユーザー数は現時点で約100万人に上る。 リンク
ポータルサイト系はYAHOO!やgooなどと似たような構成で、カテゴリー別にサイトを探すことができます。さらにフィルタリング機能があり、有害と見なされたキーワードでは検索できないようになっています。
コミュニケーション系は、サイトに掲示板・チャットなどの場があり、学年や趣味などテーマ別に会話することができます。ブログ・ホームページを作成できるものもあります。またプロフとはウェブ上の自己紹介で、検索してお互いに読み書きすることができます。
上記サイトはいずれも年齢制限はないようです。
■2、成功している点と問題点
○成功している点
注目すべきはなんといってもその利用者数の多さです。その要因として、
・ポータルサイト系はフィルタリング機能があること、子供向けのサイトを中心にリンクされていることで、親は安心して子供に利用させることができる。
・コミュニケーション系は、子供たちの発信したい欠乏や、友達とつながっていたい欠乏(=共に認め合う「共認欠乏」)にうまく乗っている。またプロフは、新しいクラスで名刺代わりに使われるなど、現実の友人関係を補完している。
という点が考えられます。
○問題点
ポータルサイト系は他のサイトを検索するのが目的で、ポータルサイト自体では受信と発信の双方向のやり取りがほとんどできず、発信充足は得にくいと思われます。従って子供がどれだけ自発的に参加しているのかは不明です。(親に設定されているだけの可能性もあるかも?)
コミュニケーション系は、利用者側と運営者側の両方に課題があるようです。
利用者側:
・子供たちの間で共通な課題がないため、個々バラバラの雑談に終始しています。また無圧力であるため、自分勝手な発言に対して十分な規制が働きません。
・悩み相談に対しても、話を聞いて励ますくらいで、答えは出せていません。(そもそも大人でも難しい。)
・また、子供はリテラシーが低く、安易に個人情報をネット空間に発信してしまうことがあるようです。
運営者側:
場を乱すような発言があっても、管理放置に近い状態です。なぜでしょうか?
運営者は子供たちの共認欠乏を利用して集客し、広告収入などで儲けることが目的です。もしハードルを上げて利用者を制限したり、発言内容を管理する人手を増やしていくと、ビジネスが成り立たないからだと考えられます。当然そこには「子供たちをどうする」「教育をどうする」という視点は見られません。
■3、今後何が必要?
現在、子供向けのコミュニティサイトに向かうニーズとは「(子供の)共認欠乏」と「(親の)安心欠乏」であると思われます。そして壁になっているのは、「会話の内容が個人課題に留まっていること」「管理者不在で場が統合されていないこと」と考えられます。
そしてそれに対して親も答えを出すことができず、とりあえず目先的に安心できる場を与えるに留まっています。
従って、参加者に課題を提示し、場を管理していく、「導き役」の存在が、コミュニティサイトを統合し盛り上げていくのに不可欠です。
それを実現するには、前回のエントリーで述べたように、個人の狭い経験やマスコミが発信する一般論に囚われない、普遍的な事実に基づく構造認識が必要です。また運営側だけでなく、子供たちの周りの大人たちも巻き込んで協働していくことが必要だと思われます。
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