ネットコミュニティの可能性①～人々の認識収束はどうなっている？～

2009年04月01日

ネットコミュニティの可能性①～人々の認識収束はどうなっている？～

マスコミに代わる情報発信・共認形成の場として、ネットの可能性が注目されている。現時点では、ブログ・ＳＮＳ・Ｑ＆Ａサイトなどがあり、多くの利用者を集めているようだ。しかし大半が趣味や悩みなど、個人的な課題をどうする？についてのやりとりに留まっているように思われる。
　
何が壁になっているのか？どうすれば人々の認識収束は加速していくのか？それを解明していくためにも、まずは現在の人々が、何を求めて、どこに向かおうとしているのか、その意識構造を探っていきたい。
　
応援ありがとうございます。

人々の意識構造を捉えるのに、るいネットの注目投稿「新しい潮流１３　認識仲間の実現基盤」の図解が秀逸なので、これを参考に整理していきたい。

■外向基調（社会収束）に向かうのはなぜ？
　
まず左上の「私権圧力の衰弱」から３つの矢印が出ているが、そのうち１つは下の「私権統合の崩壊」に向かい、そこから「外向基調（社会収束）」へと収束している。
　
今までの集団とは、会社であれ、学校であれ、家庭であれ、私権（金や地位や異性）を獲得するために作られた集団だったと言える。そしてその集団を統合するのに力の原理＝序列原理が使われていた（ex.上司・先生・親の言う事には逆らえない）
　
しかし貧困が消滅し私権統合が崩壊したことで、序列圧力を我慢してまで集団に所属することに疑問を抱くようになり、今までの集団内でのしがらみから抜け出して、集団外の人々との交流へと向かっていく（外向基調）。これが人々の意識の底流にある。
　
　
■答えを求めて個室収束・外向仲間収束とは？
　
また矢印は「解脱生活の衰退」と「私権不全から社会不全に逆転」に向かい、さらにそこから「答えを求めて個室収束」と、「答えを求めて外向仲間収束」に収束している。これはどういうことか？
　
元々、私権圧力が衰弱した１９７０年以降、私権不全が縮小していったことで、その不全を紛らすための解脱欠乏も衰退していったという背景がある。
　
私権統合が崩壊し、私権という収束軸がなくなると、今まで第一の不全であった私権不全も衰弱し、それに代わって社会不全が最大の不全となる。今や、一見個人的な悩みに見えることでも、突き詰めればどれも社会問題に行き着く。（経済格差、食の安全、セックスレスなど）
　
私権不全に対しては、「自由」や「個人」といった私権観念が答えになったが、社会不全に対してはそれらの観念では答えにならない。（自分が何とかするしかない、自分さえよければいいでは答えにならない。）
そこで、他の人たちはどう思っているのか、新たな答えを求めて人々は探索を始めていった。
　
このように目で見える範囲を超えて、社会全体を捉えるには、観念が必要になる。つまり潜在的には、誰もが新しい観念を求めているのだ。
だから収束先が「個室」と「外向仲間」とでは一見正反対に見えるが、実は「答え＝新しい観念を求めている」という点で、両者は同じ欠乏に貫かれていると言える。
　
　
■ネットコミュニティと認識収束には距離がある？
　
多くの人がＳＮＳで交流を広げたり、困ったことをＱ＆Ａサイトで質問したり、答えたりするなど、ネットに人々が集うという現象は一般的になってきている。
　
しかし多くの人々の意識は外向仲間収束に留まり、次の「認識収束」にまで向かっている層はごく僅かしかいないように思われる。
　
Ｑ＆Ａサイトも一見答えを求めているように見えるが、答えといっても目の前の困ったことをどうする？といったハウツーや、専門知識をもっと深めたいというのが中心で、回答が得られればそこで完結してしまい、そこから追求が深まっているようには見えない。また参加者同士の関係もその場限りで、協働して何かを追求することもない。
　
潜在的には新しい答えを求めているにも関わらず、認識収束・認識仲間収束に向かわない「壁」になっているのは一体何なのか？次のエントリーでその構造を明らかにしていきたい。
　