なんでや劇場レポート 「力の原理から共認原理への大転換」その1
みなさんこんにちは。
今年の台風1号が発生したようですね。
昨年の311以降、これまでになかったような天変地異が続き、国際情勢や国内の政治・経済も混迷の度を加えるばかりですね。
世界中を巻き込む経済破局の危機も近づいているようです。
一方、人々の意識は、「これからどうする?」という、答え探索に向かいはじめているようです。
このような状況を踏まえ、るいグループでは、次代の社会を支える新勢力となるべく、共同体企業ネットワークの構築に向けた勉強会に着手しました。
その勉強会の試行段階として、平成24年2月5日に行われた「なんでや劇場」のレポートを解説していきます。テーマは「実現論 序2第二節 力の原理から共認原理への大転換」ですが、新しく書かれたテキスト「私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた」を元に理論勉強会が行われました。
るいネットに掲載された記事「2/5なんでや劇場1 経済学者は物欲と市場の無限拡大に対して難の疑問も抱かなかった」に沿って解説していきます。
それでは、記事の内容を見ていきましょう。
テキストには「経済学は、人間の物欲が無限に拡大することを前提にしてきたが、その前提こそ、経済学の騙しの起点であって、人間の物的欠乏は決して無限ではない」とある。
まず、経済学が登場して以降の代表的な経済学者が、物欲と市場拡大に対して、どのように捉えていたのかを検証してゆく。
【1】重商主義
その典型はスペイン・ポルトガルによる大航海である。
そこで国力=経済力という認識が前面に出てきた。もちろん、国力は経済力によって規定されるという認識は古代・中世から一貫してあったが、農業生産の時代には経済力といっても農業生産力の上昇⇒農業の活性化くらいしかないので、経済力第一にはならなかった。
近世、大航海による国力上昇の可能性が開かれると、経済力の上昇が全てに優先する第一目標(戦略)となり、市場拡大が絶対化されるようになった。金貸しや商人だけでなく王侯貴族も市場拡大第一に収束し、そこでは人間の物欲が無限に拡大することは当然の事して、何ら疑問は登場しなかった。
<フランス財政総監コルベール>
■重商主義とは:貿易などを通じて貴金属や貨幣を蓄積することにより、国富を増大させることを目指す経済思想・政策の総称です。大航海時代、アメリカ大陸やインド・東南アジアへの西欧の到達と直接交易の開始が貴金属や香辛料など稀少商品の価格革命をもたらし、商業革命のパトロンとしての王権に莫大な富をもたらしました。オランダ、イギリス、フランスではそれぞれの東インド会社を先導役にして植民地政策を展開していきました。
15世紀半ばから18世紀にかけてヨーロッパ諸国家では、王権が絶対主義体制(常備軍・官僚制度)を維持するために国富増大を目指して重商主義政策が採られました。共通しているのは、「富とは金・銀、貨幣であり、国力の増大とはそれらの蓄積である」と言う認識で、植民地からの搾取や他国との植民地争い、保護貿易などを加熱させました。
【2】アダム=スミス
近世以降、破竹の勢いで市場は拡大するが、それによって共同体が破壊され精神破壊が進むといった弊害が顕著になる。そこでは「自然に帰れ」といった反市場主義的主張が登場する。反市場主義的主張に対抗して、市場拡大を正当化したのがアダム=スミスである。
アダム=スミスは経済学の元祖であるが、そのことは市場拡大を正当化するために経済学が始まったことの何よりの証である。
ここでも、市場拡大は絶対であり、物的欠乏が無限に拡大することに対して、何の疑問もアダム=スミスは持っていない。
<アダム・スミス>
「自由(経済)競争と社会の秩序」を理論化したのが、経済学の古典であるアダム・スミスの「国富論」。
国富論の中で、「神の見えざる手」という表現で、「利己的に行動する各人が市場において自由競争をおこなえば、自然と需要と供給は収束に向かい、経済的均衡が実現され、社会的安定がもたらされる」と唱えています。
また、理想的経済人とは、「自らが最も優位性を持つただひとつのモノを生産することに特化する人間」であり、「分業によって技術革新がおこなわれ、労働生産性が上昇することによって富は生まれる」としています。(るいネット「近代市場の成立」より)
一方、反市場主義的主張を唱えたルソーは、「各個人のなかには行動の原理として利己心があり,これを除去することは必要でもなく可能でもなく,ただ同じく各個人のなかにあるあわれみの感情が,利己心のいきすぎを制御すればいい(「政治経済論」『百科全書』)」と説いています。
ルソーもアダムスミスも、個人の生存と幸福のための活動(利己的活動)を経済学の対象としています。
【3】マルクス
市場がさらに拡大すると、資本家による労働者の搾取がひどくなり、労働者の貧困(窮乏化)が社会的な問題として顕在化する。そこで市場構造の解明に入ったのがマルクスであるが、マルクスも市場拡大を前提としてその原因構造を追求したのであって、このまま市場が拡大し続けてよいのか?という問題意識は全くない。
<マルクス>
マルクス主義とは、労働者階級が資本家階級から政治権力を奪取し、生産手段などの資本を社会全体の財産に変えることを主張したものです。
これにより、社会が発展するにつれ、階級対立も、諸階級の存在も、階級支配のための政治権力も消滅し、一人一人の自由な発展が全ての人の自由な発展の条件となるような協同社会が訪れるとしました。
しかし、その中身は市場が発展していくことを前提として提唱されており、市場拡大への問題意識は徹頭徹尾なかったと言えます。
【4】ケインズ
労働者の貧困というマルクスの問題意識を引き継いだのがケインズである。貧困になるのは大不況のせいであり、不況を克服するためにどうする?というのが彼の問題意識である。
そこでケインズが提起したのが、国家が税金を市場に投入することで不況を脱出し市場は拡大し続けるという学説である。現在の国家財政破綻を作り出した張本人とも云えるが、ケインズも市場拡大は当然の事として何らの疑問も持っていない。要は、市場拡大は絶対で何よりも優先されることだから、国家が税金を投入してもよいという理屈である。
<ケインズ>
1929年の世界大恐慌で世界中に失業者があふれ、アメリカでも飢死者が出ました。
そこでケインズは、需要が不足して失業者が増えたのなら、需要を創りだせばいいと考えました。具体的に行ったのが、税金を投入した公共事業の拡大。
これが大成功したため、ケインズの手法は各国に伝搬し定着、バラマキ政治家たちが人気を取り、分け前に預かろうとする国民が群がるという現代社会の基本構造を作り上げます。
このように、ケインズ理論は、弱者救済を旨としたマルクス流社会主義的経済と合体し、支配層だけでなく大衆も巻き込んで市場拡大路線を加速していったと言えるのです。
【5】現代経済学の主流マネタリズム
ケインズが実体経済の刺激を主張したのに対して、紙幣のばら撒きを主張したのがマネタリズムである。彼らが現代経済学の主流となったのは、物欲限界に達した先進国で市場拡大を続けるには紙幣をばら撒くしかなくなったからに他ならない。その結果、余ったお金が金融市場に流れ込み、バブルを作り出した。彼らこそバブルの張本人に他ならない。
逆に云うと、マネタリストたちは物欲に限界があることを薄々感じていいたのではないか? ところが、彼らも市場拡大を絶対視しているので、そのことは口には出せず、市場拡大を続けるためには紙幣をばら撒くしかないと主張したのである。
<フリードマン>
マネタリズムとは、基本的に経済は自由な市場に委ねるべきであり、物価や経済の安定のためには貨幣政策をコントロールすることこそ最も重要である、という考え方です。積極的な財政政策や金融政策などにより有効需要を創出すべきだとするケインズ学派とは正反対の立場をとり、大きな政府は不要であって、できるだけ財政収支の均衡を図るべきであり、金融政策も貨幣供給量の安定化(つまりは紙幣のばら撒き)にとどめるべきだと主張しました。
このように、民間の自由な行動を重視し、ケインズ学派のように政府の介入が重要とする主張に反対するマネタリストたちのことを、新自由主義学派と呼んでいます。そうです。昨今の規制緩和、民営化、金融経済などの要因となったのが、マネタリズムの考え方だったのです。
このように、重商主義からマネタリズムまで一貫しているのは、国力=経済力であり、市場拡大が全てに優先される第一課題であるという思い込みである。だから経済学者たちとそれに導かれた官僚たちは、物欲の衰弱が続く現在も尚、市場を拡大するために紙幣を増刷しまくっているのである。
この国力=経済力幻想を打ち破るためには、市場の縮小という論理だけでは不十分であり、共認原理による国力の上昇という論理を発掘する必要がある。これが今後の研究課題である。
既成の経済理論では、次代の社会を切り拓いていくことはできないのは明らかですね。
豊かさを実現した社会では物的市場が縮小するのは不可避の現実です。同時に、国力=経済力⇒市場拡大、に代わる次代の社会が向かうべき方向を示す論理が必要です。
「共認原理による国力の上昇」とは、例えば「人々の期待(共認圧力)を源泉にした活力上昇」といった方向ではないかと思われますが、そのあたりを解明するために、次回以降、人類社会の歴史を紐解いていきます。
それでは、またお会いしましょう。
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コメント15件
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