2008年12月27日

「ハケン切り」の背後にあるもの

「ハケン切り」という物騒な言葉が、テレビで飛び交っています。人件費ほど高くつくものはない、とはよく聞きますが、お互いの合意の下で、いつ切られてもいいのが「派遣社員」ということのようです。「固定費の調整弁」としての役割を担っているというとでしょうか。
とにかく、メディアの狂騒ぶりは目につきます。
以下、小田嶋隆「ハケン切り」の品格より

メディアの報道ぶりを見ていると、派遣社員を解雇した受け入れ先企業の冷血を責めるテの議論が目立つ。突然過ぎるじゃないか、と。
 でも、本当のところ、現行法からすれば、雇用責任の過半は、派遣先企業にではなくて、派遣労働者として彼らを登録している派遣会社にあるはずだ。
 なのに、派遣会社の責任を追及する論調はほとんど出て来ない。
 不思議だ。
 あるいは、「解雇より先に、なによりもまず役員報酬のカットが第一で、その次が従業員の給与の見直しであるべきだ。解雇という選択肢は最後の手段であるべきなんではないのか」式の、昔ながらの正論も、一向に主張されていない。
 ただただ、「かわいそうですね」「身につまされますね」「がんばってほしいですね」という情緒的な画面を流すばかり。彼らはやる気があるんだろうか。
 というよりも、そもそも、テレビ局は、派遣労働についてとやかく言える立場の職場ではない。
 あの業界(私も「派遣ディレクター」として籍を置いていたことがある)は、正規の派遣ですらない偽装出向や二重派遣やピンハネアルバイト労働の温床であり、タダ同然で働く業界ワナビーのアシスタントディレクター(彼らの中には「マスコミ業界で働けるなら時給なんか無くても良い」と思っている子たちが常に一定数いて、このことがADの最低賃金を引き下げている)や、スタジオの机の下で寝起きしているサービス残業スタッフみたいな人たちに支えられている、どうにもならないタコ部屋だからだ。
 でなくても、事実上の実働部隊であるところの制作会社の社員は、局社員の半分以下の給料で働いている。
 それでも、その制作会社の仕事を差配している局の社員たちが額面通りに優秀な人々であるのなら、それはそれでかろうじて細いスジは通る話ではある。が、どっこい、そうはイカの禁断症状で、局社員は、優秀であるよりは、むしろ良血な人々であるに過ぎない。具体的に言うと、毎年、テレビ局に入社する社員(数十人に過ぎない)の中には、少なからぬ数の政治家の子弟やクライアントであるところの一部上場企業重役の子女が含まれているのだ。で、これに、同業マスコミの関係者(Mのもんたの息子とかT原S一朗の娘さんとか)や、ミスコン優勝者が加わって、そうやってあらかじめ採用枠が埋まっている。よって無コネの試験突破組による就職倍率は実質数千倍になる。

とまぁ、またもやメディアにとっては痛いところを突かれています。
まだ続くのですが、その前にポチッとお願い。

(さらに…)

  投稿者 urara | 2008-12-27 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本5 Comments »