2009年12月02日

「事業仕分け」:国家の予算が『必要か否か』の土俵に登場してきた

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「行政作新会議・事業仕分け」がマスコミを賑わせている。

今回の「事業仕分け」の結論を「参考」に、鳩山政権の閣僚によって予算案が決まり、それが来年の通常国会で与野党によって議論されて予算は正式に決定される。
その意味で、「事業仕分け」は予算案を決める手前の「パフォーマンス」に過ぎない

にもかかわらず、正式に予算を決める作業でもない「事業仕分け」が何故これほどに注目されるのか?

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それは予算を作成するプロセスの一部が初めて国民に公開されたからだ。

これまでは既得権益者と官僚と与党政治家とによって、霞ヶ関の内側の密室で作られてきた数字が表に出て来て、数字の根拠を巡るやりとりが“生”で“公開”されたから面白くなった。このことは画期的であり大きな評価である。

今回の代表的な仕分けの例を取り出してみたい。

  

 
 

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【例1:思いやり予算】

普天間基地移設問題ともからむ在日米軍駐留経費(通称:思いやり予算)は、結局、「外交問題の範疇であり、今回の仕分けの範囲外」という結論になった。

 
以下、
神州の泉『財務省主計局と「思いやり予算」』より抜粋

 
24日から27日までの事業仕分け後半作業について、在日米軍駐留経費(通称:思いやり予算)は、制度の基本に触れない意向を示した。

 
枝野氏のこの見解は奇異である。
民主党が政権交代のスローガンに掲げた「対等な日米関係」を実行するなら、毎年、2千億円以上になっている「思いやり予算」こそ、予算縮減の対象とされるべきではないのか。

 
在日米軍駐留経費は、1978年に当時の金丸信防衛庁長官が、在日米軍基地で働く日本人の給料を日本側が肩代わりすることから始まっている。
この時は62億円だったものが、1995年には2714億円に達しており、2000年以降は毎年、2千億円を上回っている。実際はその他に目に見えない負担が掛かっており、最近は毎年の総額が五千億円くらいだという噂も出ている

 
この膨大な米軍駐留経費こそ、無駄な予算の典型である。日米安保条約や日米地位協定が絡んだ話なので、外交的に微妙な問題があることはわかる。
思いやり予算の全額カットは無理でも、日米関係の外交的な対等を志向するなら、予算の大幅カットは絶対に目指すべきだ
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無駄な部分≒権力者の私益になる部分。
それを解体していくのが、無駄を省いていくということ。

なのに、“軋轢があるから事業仕分けの範囲外”という結論って・・・
国民に対する「思いやり」ゼロです(-ω- )

【例2:外務省のODA】

『事業仕分け~予算だけでなく事業自体必要か否かを判断する必要がある~  』

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>昨日の事業仕分けで、ムダを厳しく指摘されたのが、外務省のODA実行機関である独立行政法人「JICA」(国際協力機構)だ。天下り法人であることはいうまでもない

>概算要求額は1508億円。坪当たり4万5200円という東京でもずば抜けて高額のオフィスをかまえ、その年間家賃は27億円

職員の平均給与は国家公務員の1.33倍で、研修生をふくめ年間2万人にのぼる海外出張にビジネスクラスを使用する

>給与や旅費の見直しが必要だと仕分け人に判断されたのは当然のことだろう。

なんと!!金銭感覚のない天下り企業にこんなにお金が流れていたんですね。

さらに、

>極端にいえば、他の多くの天下り組織と同じように、本省がやればいい仕事を、別法人に切り分けて、官僚OBポストを増やしていくだけの、相互扶助的な共同体といえるだろう。

>そして、ODA(政府開発援助)という名の元に、後進国での産業・社会インフラ整備(→市場化政策)が、先進国(の市場絶対の価値観)によってどんどん進められていく。

しかし、それは先進国の正当化観念に過ぎず、その本当の狙いは

①先進国市場の行き詰まり⇒新たな市場の開拓
②金融市場の行き詰まり⇒現物市場への転換(資源の搾取)

に他ならない。

【例3:科学技術予算】

『科学技術創造立国を作りたければ、中小企業支援の方がより現実的では?』

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【科学技術振興調整費の予算額推移】
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この事業仕分けの中で議論を呼んだものの一つに、科学技術予算の扱いがある。
「スーパーコンピューター計画」や官民共同開発の中型ロケット「GX」計画など、科学技術の事業が次々と凍結や予算削減と判定されたからだ。

この結果に対し、大学関係者や野依良治氏らノーベル賞受賞者等、政府に見直しを求め、事業仕分けに対して強い懸念を示しているという。

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「(スパコンなしで)科学技術創造立国はありえない」というのは本当なのでしょうか?

日本はすでに世界有数の科学技術を数多く有する国だ。しかもその技術力の中核を成しているのは、実は中小企業なのだ。

原野辰三の斬り捨て御免 「亀井金融大臣のモラトリアムを支持する」より以下引用
———
ところで、日本の製品の優秀性は世界が認めている。トヨタ・パナソニックなどの日本の大企業は世界に進出して華々しい。

しかし、高品質を陰で支えているのは、実は中小・零細企業の町工場である。
中小・零細の工場で働いている人々の精緻かつ高度な職人技によって、大企業は優秀な製品を作ることが出来ているのだ。

また、国民の7割が中小・零細企業で働いている。いわば、日本経済・国民経済は、その7割が支えているのである。

———

では、これら世界有数の技術力を持つ中小企業は、多額の研究費や高額の研究設備を必要としたのか?
当然、中小企業ゆえ、大企業や国家予算レベルの資金など持ち合わせていないし、自企業の持てる資金の範囲内でやりくりしているはずだ。

むしろその技術力を確立し得た基盤は、同業者や顧客、関係者(協働者)との信頼関係や切磋琢磨による技術向上と、それを代々受け継いでいく技術継承力にあったようだ。

だから、科学技術創造立国を作るために膨大な予算(設備)が必要で、そのために税金を使いたいということなら、その根拠として事業計画や成果報告を国民に提示し、判断を仰ぐべきではないか。それなしに、予算だけを要求するのは、自らの利権獲得の詭弁に過ぎない。

むしろ、科学技術創造立国を作りたいというのなら、上記のような事実に基づき、中小企業支援の方に力を入れた方がより現実的なのではないか。

【例4:UR(独立行政法人「都市再生機構」)】

『負の悪循環を産み出す官僚発の独立行政法人「都市再生機構」ほか 』

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URは旧公団から引き継いだ賃貸住宅の管理が主な仕事だ。公団から独立行政法人に移行したのが平成16年7月。
●それにともない、財投から借りていた3兆2000億円を繰り上げ償還し、9018億円の債務(利払い分)免除を受けた。

本来、国庫に戻すべき1兆円近いカネを【チャラ】にするのだから、国民はたまったもんじゃない。

●データが少し古いが、平成18年度の累積赤字が4955億円で、その年には国から1142億円もの補助金が交付されている。

ところが、【UR本体が大赤字】なのに、【下請けのファミリー企業39社には膨大な利益】が内部留保されている。URから【随意契約】で仕事をもらっているからである。

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●昨日の会議で明らかにされたURから【関係法人への天下りは203人】におよんでいる。

ファミリー企業のうち、住宅管理業務をURから請け負っているのが財団法人住宅管理協会で、そこを通して仕事をもらっている代表的な企業が日本総合住生活㈱だ。
この会社の内部留保は500億円をこえるといわれる。

●【UR本体は親方日の丸で大赤字をつくり、その実、ファミリー企業にはカネをためこんで、天下り官僚OBに高い報酬を配分】し続ける構造

ここまでの数例からも、今回の“事業仕分け”により、
国民はこれまで知らなかった税金が何に使われているのか、そして、何のために必要か解らない“無駄”な使われ方、官僚OBが巣食う独立行政法人を支えるための使われ方、を目の当たりにした。

税金の使われ方を通じて『必要か否か』を考えるようになったが、これが最大の成果である。

一方、「1時間程度の議論で結論を出すのは乱暴」とか「仕分けの基準が分からない」など、強引で稚拙な運営に疑義・批判も出ているが、それは己の既得権益を必死に守ろうとする輩の足掻きの声でしかない。

ただし、「事業仕分け人メンバーに、“市場原理主義者”が多く含まれている」との指摘は重要だ。

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植草一秀の『知られざる真実』 2009年11月18日 (水)「霞が関改革の本丸は法務検察と財務国税にあり」

世に倦む日々 2009-11-19「新自由主義者精鋭が集結した事業仕分け-狙いは構造改革の復権」

世に倦む日々 2009-11-20 「基準と意味のスリカエ – 事業仕分けは官僚の無駄の根絶とは違う」

文藝評論家・山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』 2009-11-15「亀井発言とロバート・フェルドマンの正体」

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なぜ、民主党の「行政作新会議・事業仕分けチーム」に、小泉・竹中シンパの“市場原理主義者”(←D・ロックフェラーの息の掛かったネオコン・CIA勢力)が多く含まれるのか?

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世界を裏から支配する情勢は、「欧州貴族+ロスチャイルド」VS「ネオコン・CIA勢力」が世界の覇権を巡って争っている。

世界同時経済危機を受け、現在は、ネオコン・CIA勢力が劣勢で、彼らにとって日本の資産収奪が不可欠な状況だ。
そのためには日本の特権階級(官僚・司法・マスコミ・自民党)が命綱になっている。
また欧州勢力にとっても、中国はいつ崩壊するかわからないので、最後の命綱が日本であることは変わりがない。

つまり、欧州勢力とネオコン勢力のどちらが日本を獲るかという闘いになっている

欧州勢力と繋がっている民主党の言う「政治主導」とは、ネオコン勢力下にいる日本の官僚を欧州勢力の下に寝返りさせることを意味している。

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戦後から日本は、ネオコン・CIA勢力に支配されてきたが、欧州勢力の食い込みにより以前とは比べ物にならないほど低下している。しかし、低下しているとはいえ今も圧力は働き続けており、逆に欧州勢の食い込みを受け、焦りともいえる露骨な圧力が働いている状況だ。

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とすれば、「行政作新会議・事業仕分けチーム」に、ネオコン・CIA勢力が多く入り込んでいる理由として考えられるのは、

世界情勢を読めず、今だに米国(ネオコン・CIA)の威を借りて権力を保持できると錯覚している、従米官僚の財務省と、従米政治家の残党、そしてマスコミによる“国家予算編成の裁量権の支配”という暴走である。【特権階級の暴走】

そして、さらに考えるとすれば、すでに日本の財務省(旧大蔵省)主計局は、ネオコン・CIA勢力から欧州勢力に寝返っており、そこから日本の国家予算の支配=日本の完全支配の目論見もあるかもしれない。

現在、日本の予算編成裁量権を巡り、欧州勢力とネオコン・CIA勢力の駆け引き・綱引きが激しく行われている。それが今回の「事業仕分け」にも垣間見える

そのなかで、我々庶民は、そのような状況に惑わされること無く、“みんなの役に立つかどうか”の視座で『必要か否か』を冷静に見極めていく必要がある。

List    投稿者 kirin | 2009-12-02 | Posted in 未分類 | 2 Comments » 

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コメント2件

 中高年のおじさん | 2010.07.06 20:40

>分解主義・要素還元主義ではダメであり、全体を統合した統合原理が求められている。
確かに数十年前まで分業による効率化が叫ばれ、工場で、人が機械ように単純作業する事が求められ人間疎外と社会批判された事が思い出されます。
そしてサービス産業では百貨店から専門店、知識集約産業では、膨大な知識に対応する為専門分化への流れが出てきました。
しかし、分化のみでは旨く行かず、統合原理の下での分化しかありえないとつくづく思うこの頃です。

 wacky | 2010.07.06 21:38

中高年のおじさん コメントありがとうございます。
数十年前を思い返せば、分業は当たり前でしたね。個人は機械のように働き、その作業の前後をまったく知らされもしなかったし、知ることはできなかったでしょう。奴隷的な扱いを受けていた人たちもいたと思います。
労働環境下で分解主義を考えると上記の内容がすぐおもいあたります。そのような働く環境では生産量は多かったかもしれませんが、現代はそのような分解主義では、人々の活力を上げることはできません。統合できないと言えます。分解主義の崩壊が教育業界、仕事場面で顕著に現れている現在、統合原理の必要性を感じます。

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