2010年05月28日

「潮流」シリーズまとめ:共認原理に基づく制度とは?

これまで「潮流」シリーズとして、以下の投稿を紹介してきた。
 
潮流1~共認原理と私権原理~
潮流2:戦後日本の意識潮流
潮流3:’70年、豊かさの実現と充足志向
潮流4:輸血経済(自由市場の終焉)
潮流5:失われた40年
潮流6:’95年、私権原理の崩壊と目先の秩序収束
潮流7~暴走する社会(特権階級の暴走と下層階級の暴走~
潮流8:自民党は、なぜ見限られたか?
潮流9:経済破局を突き抜けてゆく充足・安定・保守の潮流
 
既に社会は共認原理に転換しつつある。しかし多くの企業はいまだ私権体制から転換できていないという現実や、さらには官僚やマスコミなど特権階級の暴走を目の当たりにすると、このままでは共認社会の実現には程遠いように思える。
 
そこで「潮流」シリーズの最後に、共認原理に基づく制度とはどのようなものが考えられるのかを展望しておきたい。
 
大きな方向性としては、
1.企業の共同体化
2.社会統合課題の半専任制度
3.マスコミに替わる共認形成の場としての統合サイト

が考えられる。
 
それらの根拠および実現基盤について、 「次代を読む」 「実現論」から引用していく。
 
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0.共認原理とはどういうことか?
 
まずこれらの認識の前提として、人々の意識潮流が「共認原理」へと大転換したということはどういうことなのか、押さえておきたい。
 
次代を読む より

しかし、’70年、飢えの圧力(=生存闘争の圧力)が消滅するや否や、序列原理(身分制度)は無効となり、それまで力によって抑え込まれてきた人々の意識は、一気に反身分⇒反差別⇒「人権」「福祉」などの観念に収束する。
 
 生存圧力が克服され、序列原理(力の原理)が無効となった以上、集団や社会は、人々の『共認』(課題や役割や規範を認め合うこと)によって統合される以外にない。だからこそ、それまでの政界や財界に代わって、マスコミが第一権力にのし上がったのであり、’70年を境に、既に時代は序列原理の時代から共認原理の時代へと、大きく転換していたのである。

 
共認機能(きょうにんきのう)

相手に同化する、サル・人類に固有の機能。元々は、サル時代に形成された不全から解脱する為に形成された機能で、相手の不全(期待)と自分の不全(期待)を同一視する共感回路を原点としている。そこで相手と同化することによって充足(安心感等)を得ることができる。この機能を土台にして、相手の課題=期待と自分の課題=期待を重ね合わせて、課題や役割や規範や方針を共認する(共に認める)ことが可能となる。


集団や社会を統合する原理は、序列原理か共認原理のいずれか2つしかない。そして私権圧力の衰弱によって序列原理が無効になり、人々が共認収束し出した以上、今後は共認原理で統合するしかない。
 
 
1.企業を共同体化する必要があるのはなぜか?
 
実現論 第四部 場の転換 ト.本源集団の再生

国家と同様に企業も、本来的(=潜在的)には、市場で利益追求に明け暮れる存在である以前に、何よりも一個の生産体であり、更にそれ以前に一個の共認集団である。(現代でも、思想の自由、結社の自由は、民主主義の大前提として表向きは共認されている。)もっとも、絶対的な私権の強制圧力が働いていた頃は、企業は何よりも先ず利益を追求する存在で、「本来は、それ以前に一個の生産体であり、共認集団である」事を省みる余裕など殆どなかった。しかし、私権の強制圧力が衰弱し、(福祉や環境や贈収賄に対する)共認圧力が強まってゆくにつれ、企業も利益追求存在である以前に、社会の成員たる一生産体(or 集団)である事を慮らざるを得なくなってきた。もちろん、いかに私権圧力が衰弱しても権力体である限り、その成員に結社の自由などある訳もなく、「本来は、自分たちで作る自分たちの集団である」という自覚は乏しいが、しかしそのままでは活力も統合力も衰弱して企業として生き残ることが出来なくなるので、いずれは『自分たちの生きる場を自分たちで築く』共同体に転換してゆかざるを得ないだろう。しかも、それは類が実証した様に、認識を転換しさえすれば30年前でも実現できたことなのである。  
 
 企業を私権統合から共認統合に変えるのは決して不可能ではなく、むしろ簡単である。企業を合議制の共同体に変えれば良い。例えば、会議を中央席から同心円形に二重・三重に囲む形にし(当社では「劇場会議」と呼んでいる)、まずは取締役を中央に座らせ、外側に部課長たちが座って自由に発言させるという風に、取締役会をオープンにしてしまう。それが出来たら次は、部門ごとに部課長が中央に座り、外側に全社員が座って自由に発言するという風にして、完全にオープンな全員参加型の体制に変えてゆく。もちろん、その為には経理を含めた全情報を全社員に公開する必要がある(その為には、相当量のシステム化が必要になる)ことは言うまでもない。

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私権圧力はもはや活力源たりえず、これからは共認圧力、共認充足が主要な活力源となる。従って企業が活力を再生し勝っていくためには、共認原理で統合された共同体へと転換していく必要がある。そのためには、全員が当事者として経営に参加できる場作りが求められる。
これは私権の獲得だけを目的としたカタワの集団から、本来の生産集団、共認集団への再生である。
 
 
2.社会統合課題が半専任である必要があるのはなぜか?
 
実現論 序文 ト.万人が半専任(副業)として参画する

彼らに代わって、万人が参画して、社会を統合するための新しい組織が必要である。今や誰もが、行き詰まったこの社会を変える必要を、感じている。しかし社会の統合と改革という仕事は、それでメシを食っている政治家や官僚や学者やマスコミ等、統合階級の手に握られており、人々には社会を変革し、統合するという役割を担う場が与えられていない。従って、人々は殆ど行動できず、動けたのは、ごく一部の何やら難しそうな思想・信念に固まった政治集団(革命集団・市民集団)や宗教集団の人たちだけであった。  
   
だが、宗教集団や政治集団はもちろん、マスコミも学会も国家(行政組織)も、夫々は単一の集団でしかない。ところが、集団というものは自己収束(もっと言えば自己閉鎖)性が強い。従って当然、彼ら官僚や学者やマスコミや政治家たちの、自集団の利益が第一になってしまう。そもそも、各集団を超えた次元にある社会を統合する組織が、実は単一の集団でしかないというのでは、社会を統合する資格などない。

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(半専任で運営する社会事業、「なんで屋」)

集団は自己収束性(自己閉鎖性)が強く、社会統合課題を特定の集団が独占すると、利権の巣窟となってしまう。そこで誰もが半専任で社会統合課題を担いつつ、一定期間で交代していく仕組みが不可欠となる。
 
 
3.統合サイトが必要なのはなぜか?
 
実現論 序文 ト.万人が半専任(副業)として参画する 

この全く新しい万人参加の社会統合組織を導き、新時代を拓くみんなの統合理論は、それ自体が(これまでの様に一人の天才によってではなく)大衆の叡智を結集して構築される必要がある。それを可能にしたのがインターネットである。例えばLinuxは、OS=基本ソフトの中身をネット上に公開した事によって、それを使った様々な追加や改良が可能になり、研究者から学生までが幅広く参加して今やWindowsを凌ぐまでに進化してきた。同じ様に万人を導く統合理論も、志ある人々の協働によって、進化しつづけてゆくべきものであり、その為にはこの統合理論はあらゆるイデオロギーから脱却し、確かな事実だけに立脚した科学的な理論体系でなければならない。


 
次代を読む 

それだけではない。『認識形成の場』に参加するということは、これまで一握りの専門家が独占してきた認識の形成を、普通の人々が担うということであり、彼ら学識者(=傍観者)に代わって社会の生命部である共認形成を自分たちで担ってゆくということに他ならない。 
 
 従って、社会の心臓部となる『認識形成サイト』への参加は、そのまま旧体制に代わる全く新しい社会統合機構(の中核部)を、自分たちでゼロから構築してゆく活動となる。それは、まぎれもなく「この時代を作ってゆく当事者になる」ということであり、だからこそ「一番面白い」活動になる。

 

一部の専門家やマスコミに代わって、旧制度に替わる新しい社会統合理論を形成し、集団を超えた社会を統合するためには、万人が参加できる場が必要であり、それを可能にするのが社会統合サイトである。
 
       *       *       *       *        * 
 
これらの方向性を叩き台として、より多くの人々の手で、共認社会を実現していくための理論及び具体的な方針を、形作っていきたいと思う。

List    投稿者 kknhrs | 2010-05-28 | Posted in 未分類 | 2 Comments » 

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コメント2件

 ★ようこそ「イサオプロダクトワールド」へ★isao-pw★ | 2011.01.17 16:36

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