身分制度の根幹は「力の継承」にある
「近代は、封建時代の身分支配から解放され、自由になった」
これは教科書などで一般的に言われていることだ。故にこう認識している人も多いと思う。
ところが、ここには二つの欺瞞が隠されているのだと言う。
今回は、その欺瞞を鋭く指摘している記事を紹介したい。
いつも応援ありがとうございます。
「近代は身分支配から解放された時代」という嘘より以下引用。
先日の「なんでや劇場」で、「私権時代に求められた能力と共認時代に求められる能力」というテーマが扱われた。
その中で、私権時代の力の特徴として、成長過程で形成される本能的能力と異なり、私権時代の力は成長過程によって身に付けたものではなく、生前から予め付与されているものである事が指摘された。
すなわち、武力(身分や家来)や資本力(金)等の私権時代の制覇力は、相続によって、そのまま息子に継承されているのである。
末代固定の身分制度の根幹は、相続される力にある。
この、「末代固定の身分制度の根幹は、相続される力にある。」という認識は重要だ。私権時代の身分制度の本質は、「身分」そのものにあるのではなく、その力(武力や資本力)の継承にある、ということだ。
その認識をもって、教科書に書かれている身分制度を紐解いていくと、その欺瞞性が見えてくる。
ところで教科書では「近代は、封建時代の身分支配から解放され、自由になった」と、公然と謳われている。しかし、事実をつぶさに見れば、それは嘘であることがわかる。
すなわち、封建時代といえども100年単位で見れば、常に政権交代は存在し、旧王朝の力によって保証されていた身分などは政権交代が起これば直ちに消滅してしまうこと(つまり事実として末代固定ではないこと)。
「身分」そのものは、政権交代等でいくらでも入れ替わる、あるいは消滅する。その意味で、そもそも封建時代から末代固定の身分制度など存在しなかったのだ。
まずここが一つ目の欺瞞だ。
そして、なぜこの欺瞞が必要だったのか(その目的)が、次を読むと明らかになる。
そして何よりも、近代以降も身分制度を形成する、力のヒエラルキーの礎である、資産の相続は完全に認められており、この財宝や金は、王朝や政権が変わろうとも、継承され続けること。そして、現にヨーロッパ貴族は数百年に亘ってその資産を継承し、現在でも公然、隠然たる力を持って世界を差配していること。また日本においても2世議員が多数を占める事態が象徴するように、現在も「力」は継承されていること(確かに相続税という制度は存在するが、これをほとんど無効化してしまう「抜け道」はいくらでも存在する。)
つまり、この「力の相続」は近代以降も現に行われており、身分制度から解放されたというのは、ほとんど嘘であることが指摘できるのである。(もしくは近代とは、新参者が認められやすくなった分だけ、多少は緩和されたという、封建時代に比してせいぜい少しマシになったという程度の問題にしか過ぎないことが指摘できる。)
つまり、教科書の記述は、単に近代社会を美化するためのみに学者を動員して記述させた文字通りの「欺瞞観念」に過ぎないのである。
封建時代の問題性を「(末代固定の)身分制度」にあるとし(一つ目の欺瞞)、近代社会はその「身分」が解放され、大衆にも可能性が開かれたと美化する(二つ目の欺瞞)。すると、身分制度の根幹を成す「力の継承」という事実はみなの意識から背けられ(隠蔽され)てしまう。
その結果近代社会は、「力の継承」という身分制度は連綿と維持され続けることになる。大衆の問題意識から逸らされている分、むしろ強化されているとさえ言えるのではないか。事実、偽ニッチの構造と相まって、上記事例のような「力の継承」があちこちにはびこっているのが現状だ。
しかし、共認原理への転換が加速するにつれ、いよいよこの「力の継承」の実態が白日の下に晒されつつある。
○【図解】金貸しによる特権階級支配の仕組み
○欧州勢の金融力VSデビッド勢の軍事・石油・食糧支配力
○社会全体を取り込んだ”だまし共認”こそ、市場の本質であり支配力の源泉である
共認原理実現の最大の武器は「事実の共認」にある。この「事実の共認」をもって、「力の継承」という身分制度を解体すれば、また一つ共認社会実現の可能性が開かれることになる。
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コメント4件
日本を守るのに右も左もない | 2010.11.10 1:04
シリーズ『超国家・超市場論』1補足 生命進化のダイナミズム
(画像はコチラからお借りしました。) 前回のエントリーでは、社会や国家を統合し活力を引き出していくためには、社会的な評価指標が決定的に重要であることを明…
kentaro | 2010.11.13 6:13
コメント有難うございます。
1つめの質問ですが、あくまでも評価指標は観念で捉えるものなので、動物には観念化された指標はありません。ただ、序列の判断(例えば強さや弱さなど)を肉体的に認識(評価?)することは行っているのでしょう。
2つめの質問は、結論としては、統合されない=適応できない=死滅する。と言えます。
統合されるとは、どのような状態なのかについては、シリーズを通して紹介していきますので、是非また読んでみて下さい。
hermes bags sale | 2014.02.03 0:42
euler hermes in usa 日本を守るのに右も左もない | シリーズ『超国家・超市場論』1 新しいまつり場は、国家と市場を超えられるか?
デューク | 2010.11.09 4:34
質問です
評価指標って人間以外の動物にもあるんでしょうか?
(動物だったら「指標」はなくて「評価」だけかも)
あと統合って大事みたいですけど、統合されなかったら、動物や人間社会はどうなるんでしょうか?