「日本人は何を学ぶべきか?~近代社会の騙しの構造」 第12話:騙しの破綻
地震や津波による死者・行方不明者は2万8千人。未だ続く余震に不安は消えない。福島第一原発は大量の放射性物質を漏出し、事態の収束は見えてこない。
東日本大震災から1カ月が経過した今、多くの人が感じていることにちがいない。
一つは、特権階級への失望感。いざという時に官僚や政治家は役に立たない、学者やマスコミは信用できない。もう特権階級には任せておけないということだ。
そしてもう一つは、「本気で何とかしたい」と思う人たちが集結し、総力で立ち向かえば、困難な状況も乗り越えられるということだ。
この震災は、私たちにとって歴史的な転換点になるだろう。
シリーズの11話「自主管理への招待」では、近代思想の騙しの構造が明らかになった。
続いて今回12話では、「騙しの破綻」と題し、なぜ人々がその騙しに気づくようになったのか?を探っていきたい。
●なぜ人々が騙しに気づくようになったのか?
豊かさ期待の消滅は約10年前ですが、騙しに気づくようになったのは最近1年の話です。それは遊びの終焉と密接に関係しています。
近代思想に収束したのは一握りの知識階級にすぎません。大多数の大衆が収束したのは芸術・芸能・娯楽です。これは言い換えれば、解脱埋没=麻薬漬けになって何も見えなくなるということと同義です。
遊びを失速させたのは秩序収束⇒課題収束の潮流ですが、それによって解脱の麻薬から覚めると、「近代社会の全てが騙し」ということが透けて見えるようになってきたのです。
(6/27なんでや劇場レポート「日本人はいつ物を考え出すのか?」(3) 騙しの破綻→特権階級は追い詰められているより)
豊かさ期待の消滅によって、既成の社会秩序(私権の序列社会)は崩壊していく。しかし、それに代わる秩序は出てこない。人々は拠り所を失い、不安と焦りから、必死になって新しい可能性を探し出す。「遊びどころではない」と、新しい可能性(課題)に収束するようになり、解脱の麻薬が覚めていく。
こうした意識潮流や遊びの失速に伴う市場縮小に危機感を募らせたのは、私権序列の上層部にいる特権階級たちだ。
近代思想の申し子は、その枠組みの中でしか物事を考えることができない。時代はとっくに共認原理に転換しているのだから、打つ手、打つ手がことごとく裏目に出るのは当然といえる。人々の意識との乖離はますます大きくなり、追い詰められた特権階級は、なり振りかまわぬ行動に出た。
2008年時点ですでにその兆候はあった。リーマンショックによって経済は大混乱に陥ったが、その状況を招いた張本人たちは「100年に一度の大不況。誰もこうなるとは予測できなかった。」と皆一様に口を揃えて言った。その後の一連の救済策も、市場拡大絶対のイデオロギーにしがみつくしかないため、特権階級の無能ぶりを露呈した。国民に不信感を募らせ、図らずも特権階級の騙しの構造が透けて見えてきた。
そして今度の震災でも、特権階級は「未曾有の大惨事。想定外だった。」と言い放ったのだ。
こんな言い訳が許されるわけが無い。「彼らに任せていたら、私たちは暮らしどころか、命すら奪われる。」という、怒りにも似た危機感によって、人々は完全に解脱の麻薬から覚めた。これまで正しいと信じてきた近代思想のすべてが、許しがたい狡猾な騙しの中にあったのだと気づくことになった。
この現状を放任すれば、間違いなく破滅する。
●騙しを突破する可能性はどこにあるのか?⇒自分からみんなへ
このように時代潮流の変化が背景にあるので、今後、騙しや詭弁が急速に通用しなくなるのは必然です。社会的には、騙しや詭弁を弄するしか能がない学者やマスコミは、大衆から総スカンになってゆくでしょう。
自分発の認識の典型が学者で、正当化のための詭弁以外は何も生み出せずに、200年前から変わらない同じ話をあれこれとこね繰り回しているだけです。
豊かさ期待は消滅して、人々の期待は実現期待・本源期待に向かっています。従って、これまで自分発の観念で人々を騙してきた学者やマスコミとの乖離がどんどん大きくなっています。そして、ついに「近代社会は騙しで出来上がっている」という認識が登場しました。今後、人々は「自分発ではダメ。みんな発でないと何も生み出せない」ということに急速に気づいてゆくことでしょう。
(6/27なんでや劇場レポート「日本人はいつ物を考え出すのか?」(3) 騙しの破綻→特権階級は追い詰められているより)
原発事故が発生した後も、原子力推進派は、組織防衛と利権を守るために、安全を叫び、危険を過小評価した。隠蔽工作によって対応の遅れを生み、被害を拡大させ、国民の命を危険に晒した。このような事態を早くから予期し、政府やマスコミに警告を発した人は数多くいたが、そうした声はことごとく黙殺された。
「原子力はエコでクリーンで安全なエネルギーだ」という推進運動は全てウソであったと、すでに国民は気付いている。
自分のことしか考えられない特権階級とは対照的に、多くの人の意識は「自分からみんなへ」と転換しつつある。
事例を挙げればきりがない。
・瓦礫の中、呆然と立ち尽くす被災者の姿が脳裏に焼きついて離れない。いてもたってもいられなくなって、被災地に飛んだ。
・何かしたいが、何もできない無力さを痛感した。せめて被災者の方に思いをはせ、一人でも多くの人の無事を祈った。
・つらいのはみな同じ。自分の不安や心配は押し殺し、周りの人を笑顔で勇気付けた。
・自衛隊員は、瓦礫の中からアルバムを拾い上げ、保管箱に収容していった。瓦礫をどけて道を造るのが彼らの仕事だが、その仕事の中には「思い出の詰まったアルバムを被災者に届けて、少しでも元気を取り戻してもらいたい。」という思いがあった。
・放水作業を終えたハイパーレスキューの隊長に、記者から「一番大変だったことは?」という質問が出た。隊長は涙をこらえ、「隊員はですね、非常に士気が高いので、みんな一生懸命やってくれました。」「残された家族ですね。本当に申し訳ない。この場でおわびとお礼を申しあげたい。」と語った。隊員を命がけの任務に当たらせることになった責任感と、隊員やその家族を思いやる心があった。
厳しい状況の中で、周りの人を思いやり助け合う光景が本当に数多く見られた。
日本人は近代思想の後遺症から抜け出し、日本人のDNAに綿々とつながる共同性を取り戻した。
●事実追求としてのネットの可能性は?
今度の震災が人災と言われる所以は、前述のように、政府、東電、学者とマスコミの癒着構造が被害を引き起こし、人々の不安を増幅させたからである。二度とこのような状況を招かないためにも、自分達の手で新しい日本を築いていくためにも、まず私たちは特権階級の騙しの構造を明らかにし、事実をつかむ必要がある。
「本当のことを知りたい」という期待は、今回の震災で今までとは比べ物にならないくらい大きくなっている。しかし事実は新聞やテレビには無いので、今後、人々はネットに収束するだろう。
残念ながら、ネット上にデマが流れたり、事実誤認によって多少の混乱が起こることはある。しかしながら、長いスパンでみれば、みんなにとって有用な事実は評価され、アクセスが集まり、そうでない情報は淘汰されていく。このようにして次第にヒエラルキー化されていくはずである。
自らが当事者となって、みんなが必要とする答えを創出していく場(ネット空間)が作れるかが、日本の未来を大きく左右する。
さて、次週はいよいよシリーズ最終回。第13話『日本人への提言』、お楽しみに。
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コメント4件
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