人々の意識⇔国家(制度)⑧~私権の共認から私有婚の成立~
人々の意識⇔国家(制度)シリーズ第八弾です。
前回の記事では、女の性権力の発生を扱いました。
人々の意識⇔国家(制度)⑦~性権力が武力をも凌ぐ力になった~
>権力とは、否も応も無く人々を従わせることのできる力であるとすれば、女の性資本(性的商品価値)や選択権は、紛れもなく男たちを否応なく従わせることのできる権力=性権力であり、この権力を共認した以上、全ての男は否応なく女(性権力)に迎合せざるを得なくなる。
>男たちが解脱(性)収束を強めてゆくにつれ、性権力は武力をも凌ぐ力を持つ様になってゆくのである。
今回は、この女の性権力を背景とした占有権(私権)⇒私有婚の成立を扱っていきます。
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実現論第二部:私権時代「ハ.私婚関係から私権の共認へ」
より以下引用。
決定的だったのは、勝ち進んできた掠奪部族が、最後に豊かな土地を手に入れ、農耕部族(小国家)に転身していった局面である。そこでは当初、土地は部族の共有物(=王の占有物)であり、(元)将や兵は役割分担として夫々の土地を管理しor 自ら農耕に当たっていた。しかし、各土地毎の役割分担は、忽ち管理者たちの占用権→占有権に変質してゆく。
だが、闘争存在≒集団存在たる男たちだけなら、あくまでも役割分担として(必要なら配置替え=土地替えを行って)統合することも出来た筈であり(それが出来れば、その方が集団統合力は強くなる)、それが出来ずに占有権に変質していったのは、闘争=集団共認とは全く別の(むしろ、集団統合に対する遠心力・分解力ともなる)私的な男女解脱共認が強く働いた結果である。
もともと反(闘争)集団性が強く生殖⇒安定志向の強い女たちは、性を武器に己の存在権を安定確保すべく、私有要求を強めてゆく。他方、男たちは女の性権力に迎合せざるを得ず、従ってその要求にも迎合せざるを得ない。しかもそれは、女の期待に男が応える男女解脱共認の形となる。
かくして、性権力に主導された男女解脱共認を通じて女たちの私有要求が貫徹された結果、占有権の共認が形成された。しかも、その私有要求⇒占有権の共認は雌雄解脱共認に基づくものであるが故に、社会の最基底の共認と成って確立されていった。但し、武力に基づく占有力そのものは闘って得られる男原理の力であり、それを占有権に換骨奪胎したのが性権力を武器とする女原理である。男は力、女は権、この男と女のせめぎ合いが、私権社会の在り様を、根底的に規定している。
私的な男女解脱共認を最基底の社会共認とし、その私的な婚姻関係を基底単位とする以上、私権(性権→占有権)に基づく私的婚姻=私有婚が社会の基底的な制度として共認されてゆくのは必然である。かくして、元々の遊牧部族の勇士嫁取り婚は、農耕に転身して以降は、私権(占有権)に基づく一夫多妻制へと変質していく。そして、戦争が無くなり戦死する男がいなくなると、世代交代の度に(解脱収束し性欠乏が肥大した)息子たちに土地を分割して与えざるを得ず、土地が小さくなると多数の妻を養うことができなくなる。
従って、土地占有権に基づく一夫多妻制は、世代交代の度に土地が細分割されて、必然的にかつ急速に(3~4世代で)、一夫一妻制=一対婚に移行してゆく。更に、それ以上小さく分割できなくなると、次男以下は嫁をもらえなくなっていった。(農耕に転じなかった遊牧部族が一夫多妻のままであるのに較べて、農耕国家の一夫一妻は対象的に見えるが、どちらも私権に基づく私有婚、つまり、男が女を買い取り私有するという婚姻制の本質は同じである。)
この、多妻から一妻への移行は、女の自我(独占欲)と性権力(好き嫌い、選択権)を決定的に増大させて終う。この様な女の性権力の肥大期が、小国家(都市国家)の成立前後から統一国家(巨大帝国)の支配秩序が確立されるまで、三〇〇〇年から二〇〇〇年もの間、続いたのである。(注:日本人は、この様な時期を、殆ど経験していない。)
性権力主導による男女解脱共認を土台とした女たちの私的要求に男たちが応える形で、男たちの占用権は、占有権(私権)の共認へと変質していくことになった。つまり、私権の共認が成立する。
さらに、この私的な男女解脱共認を最基底の社会共認とし、その私的な婚姻関係を基底単位とする以上、私権(性権→占有権)に基づく私的婚姻=私有婚が社会の基底的な制度として共認されてゆくのは必然であった。
そして、この私有婚が共認から、土地占有権に基づく一夫多妻制⇒一夫一妻制=一対婚への移行に伴って、女の自我(独占欲)と性権力(好き嫌い、選択権)が決定的に増大していくことになる。
これら一連の流れは、すべて略奪闘争勃発以降、性=婚姻の相手を定めていた婚姻規範が消滅し、性=婚姻は私的な選択に委ねられたことに起因するものであったと言える。
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コメント5件
匿名 | 2011.06.05 17:01
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