チーム前原の本当の狙いは何だったのか?
日本航空(JAL)の再建問題で、前原誠司国土交通相(47)直属の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」は成果らしい成果がないまま、10月末にその役割を終えた。待ったなしのJAL再建問題で「この1カ月間の騒動はいったいなんだったのか」と前原批判が各界で渦巻いている。
そもそもチーム前原の狙いは何だったのか?今後のJALの再建の行方を見通すためにも、その“狙い”を押えておく必要があるように思います。
よって今回はそこに踏み込んでみたいと思います
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JAL再生タスクフォースが打ち出したプランの最大のポイントは、銀行に対する債権カット(2500億)と、債務の株式化(DES、500億)であった。これが何を意味するのか?
経済ジャーナリスト町田徹の“眼”より以下引用。
■銀行は債権カットに応じられない?
債権カットは銀行に重い負担を強いる。明らかな金融支援である。何を指摘したいかと言うと、前原大臣が繰り返し述べてきた「自主再建」が、いつの間にか、放棄されてしまったということだ。
~中略~
もっと気掛かりなのは、債権カットについて、主力各行がそろって、筆者の取材に「ハードルが高過ぎる」「こちらが株主代表訴訟を受けかねない」「無理だ」「銀行経営の屋台骨が揺らぐ」と語り、「債権カットには応じられない」との考えを示していることだ。
■解体・転売を目指しているのではとの見方も
JALの取引先金融機関は30を超えている。このため、「仮に、事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きをとったとしても、全体の足並みが揃うとは考えられない」(主力行)との見方も強い。結局のところ、時間の制約もあり、素案は実現性が極端に低いのだ。
タスクフォースはいったい、どういう腹積もりがあって、このようなプランを打ち出したのだろうか。
その疑問に答えてくれたのは、あるエコノミストだ。「(周りが素案を)呑まないことを見越しているに違いない。そのうえで、法的整理・清算・解体・転売処理に持っていく一里塚と位置付けているのではないかとみています」というのである。
この指摘を裏付けるかのように映るのが、タスクフォースの実質リーダーである冨山氏の過去の実績だ。先に述べたように、前原大臣は「事業再生の実務をやって来られたプロの方々」と称した。が、実際は賛否両論に割れている。例えば、産業再生機構については、「黒字のうちに使命を終えて、社会的な貢献を果たした」(外資系証券)との賛辞がある。「民間人には珍しく、マクロ、ミクロの両面から広く経済をとらえる視野がある」(金融庁中堅幹部)といった高い評価もある。
しかし、企業再建に焦点をあてると、ニュアンスが異なってくる。
というのは、冨山氏は昨年、不動産ファンド大手のパシフィックホールディングスで表明していた資金調達をできず、この会社を自ら再建することに失敗しているのだ。また、AVメーカーのパイオニア再建でも今春、300億円の公的資金による資本増強方針を打ち出しながら、これを実現できていない。
むしろ、冨山氏の成功例と言えば、「伝統ある企業の解体・切り売り」(米系証券)との批判もあったカネボウ、「3グループの買い手のうちなぜ丸紅グループを選ぶのか不明」(雑誌編集者)と揶揄されたダイエー、そして、「地元のバス・タクシー会社に保有株を転売しただけ」(九州の大手地場企業経営者)とされたスカイネットアジア航空……。つまり、成功例は、自ら再建したのではなく、「転売による再生というファンド的ビジネスが目立つ」と米系証券、雑誌編集者、九州の大手地場企業経営者らは口を揃えるのだ。
それゆえ、件のエコノミストが指摘するように、「今回の素案は銀行など周囲の協力を得られないことを証明するのが目的。最終的に、得意の手法である解体・転売に持ち込むための方便だ」との見方も浮上してくる。
その一方で、前原大臣はここへきて、羽田空港の国際化・24時間化・ハブ化を打ち出した。実現すれば、羽田の設備を全日空と2分して所有するJAL買収の魅力が高まるのは確実だ。
また、長年、放漫経営を続け、社会的に経営が見放されつつあったJALがどのような形で処理されても、国民の不興を買う可能性は小さい。
エコノミストの、JALは「チーム前原」主導で、解体・転売への道をひた走っているとの指摘は現実味を帯びてくる一方だ。
タスクフォースのキーマンである冨山氏については、田中康夫が「日刊ゲンダイ」に書いている記事がわかり易い。
Tokyonotes 東京義塾
より以下、田中康夫の記事の孫引きです。
2009年10月21日 掲載
JAL「再生」は「転売」の誤植ではないか
~前略~
とまれ、国土交通大臣の私的機関にして些(いささ)かの法的権限も有さぬ「チーム冨山」が、会見すら開かず、一部メディアにリークする形で跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し得るのは何故か?
政権交代で高枕も儘ならぬトリオ・ザ“小泉純一郎・竹中平蔵・宮内義彦”パンチが、些か政局観に乏しい舎弟・前原誠司大臣に謹呈した、若しや“時限爆弾”ではありますまいか。「謀略史観」と笑い飛ばす勿(なか)れ。政治とは、死ぬか生きるかの権力闘争なのです。」
前原人脈とは、小泉・竹中一派であったということだ。
前原の狙いは、「JALを法的整理・清算・解体・転売処理に持っていくこと」。そして「JAL再生タスクフォース」は、その一里塚としての役割りを担っていたのではないか?(もちろん、転売先は米国外資系企業だろう。タダ同然で買い叩かれることになる。)だからこそ、「JAL再生タスクフォース」はその役目を終えて、あっさり手を引いたのだと考えると、確かに辻褄は合う。
だとすると、政府の管理のもと、官民共同出資の「企業再生支援機構」を活用して再生を目指すことになったJALの行方も、予断を許さない状況にあるということだ。
もちろん、解体を含めて、JALをどうするかというのはまだまだ検討の余地はあるが、みすみす外資に売り渡すのだけは避けなければならない。
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