2007年10月07日

’90年代前半、ロスチャイルドがロックフェラーに屈服した?

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るいネットに「ロスチャイルドとロックフェラーの和解」に、興味深い視点があった。’90年代前半、ロスチャイルドがロックフェラーに屈服したという内容だ。

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『ロックフェラー対ロスチャイルド』(藤井昇著 徳間書店)を読みましたが、彼(著者)の最も言いたかった(また優れている)のは、第3章の「ロスチャイルドとロックフェラーの和解」という点だと思う。
それは、1993年にスタートしたのだが、事実この頃からグローバリズム化の動きが顕著になってきている根拠ともいえる。彼(著者)の分析では、米シオニスト=ネイティビストであるロスチャイルドが米保守本流=グローバリストであるロックフェラーに屈服(和解)したことで世界情勢は一変したということである。この構造の中に日本(とりわけ財閥系企業)もとりこまれていくようだ。

●ロックフェラーがグローバリズム派なのは何で?
一九八〇年代以降、先進国の関係は、経済成長の一つのパイを各国で奪い合うという「ゼロサム・ゲーム」的要素を帯びてきています。悲観的な表現をすれば、「どの国がどの国に失業を輸出するのか」ということなのです。すなわち、「失業輸出」という「ババぬきゲーム」が演じられることになります。
この先進国のマーケットにのみ依存した成長の行き詰まりを根本的に打破しようとして、アメリカ財界保守本流派(ロックフェラー)が構想しているのが、中国・ロシアをも含む、後発経済地域を経済発展させ、ここに最終市場の大拡大を行おうという戦略なのです。米財界本流(ロックフェラー)とは、多国籍企業が大部分であることも重要なポイントです。旧ソ連諸国(ロシア・東欧・中央アジア等)や中国を筆頭とする第三世界(アジア・アフリカ・中南米)。単純にいうと、先進国以外のこれらの発展途上世界を開発し、そこにある膨大な潜在マーケットを標的とし、後発地域の近代化(民主の向上)によって、世界経済を何世代にもわたって活性化させていかなければ生き残れない。よって、ロックフェラーはグローバリズム派にならざるをえないのです。

●それに対してロスチャイルドは何派?
ロックフェラーの「グローバル・ニューディール論」(第三世界開発論)に対して、ロスチィルドは「ハイテク主導成長論」です。「ハイテク成長論」はコンピューターやテレコミニュケーションのハイテク、さらにバイオや新素材の新テクノロジーが開発され、それが新たな市場を生み、これが先進国の経済成長を引っ張っていくというシナリオです。
このハイテク成長シナリオには特徴が二つあります。
第一は、このシナリオでは第三世界、開発途上国地域全般は故意に無視されていることです。そのような地域のことはいっさい無視して、「先進国中のハイテク市場だけで十分」というのが、この論のポイントです。「アラブ世界=イスラム世界=第三世界」無用論・無視論なのです。(それはまた、第三世界に築いた古い利権は絶対にアメリカには渡さない、ということです)。第二は、「情報ハイテク産業だけで先進国経済は十分成長していくので、失業も財政赤字も心配ない」という点です。これがロスチャイルドの戦略構想です。

●そのロスチャイルドが屈服した、つまり負けたのは何で?
ロスチャイルド=シオニスト系勢力は、米保守本流派に経済封鎖をくらい、ビジネスが完全に袋小路に陥ってしまった。一方、ロックフェラー=米保守本流派は、グローバリスト(第三世界開発)戦略で、二十一世紀への布石を着々と打っていた。このため、シオニストは膝を屈して米保守本流派に妥協することになったのです。
たとえば、シオニスト系は、十二億の人口を有する中国市場から完全に締め出しをくっていました。と小平指導部は、アメリカの保守本流のアングロ・サクソン派の企業とはきわめて友好的である一方、香港問題を通して、イギリス政府=ロスチャイルド派とは、鋭く対立していました。香港は、ロスチャイルド利権の巣窟です。ロスチャイルドは、九十七年に香港からは追い出され、発展する大陸には入れない、という窮地に陥っていたのです。
湾岸戦争での、イラクからのクウェートの奪回ではアメリカ軍が主力であったため、クウェートの復興事業の八~九割方はアメリカ財界主流派企業(もしくは彼らと提携関係にある外国企業)に取られてしまった。また長年の英シオニスト系の根拠地であったシンガポールやマレーシアからも後退を余儀なくされた。以上がロスチャイルドが屈服した背景です。

1970年以降の先進国の市場縮小に対して、後進国市場の拡大とその支配によって延命を図ろうとしたのがロックフェラーで、ハイテクの成長によって先進国市場の拡大を図ろうとしたのがロスチャイルドです。先進国市場の縮小の原因が貧困の消滅→私権の衰弱である以上、ロスチャイルドのハイテク成長路線で先進国市場が拡大するはずがなく、ロスチャイルドに勝ち目はありません。加えて後進国市場を軽視した結果、後進国をターゲットにしたロックフェラーによって後進国からはじき出された。これが、ロスチャイルドが1990年代にロックフェラーに屈服した構造的な理由です。

この分析は事実だろう。
しかし、後進国市場の拡大路線で勝利したロックフェラーも、中長期的には展望がないことは明らかである。近い将来、後進国市場も貧困が消滅し、市場が縮小していくことは明らかで、ロックフェラーも袋小路に入るのは目に見えている。にもかかわらず、後進国市場支配⇒戦争路線に固執しているのがデビッド・ロックフェラー陣営。それに限界を感じ、環境ビジネスなどをネタに先進国市場のニッチ路線に回帰したのがロスチャイルド。それに乗り換えたのが、ジェイ・ロックフェラー陣営だと考えられる。
デビッド・ロックフェラーVSジェイ・ロックフェラー+ロスチャイルド陣営の対立とはこういう構図だが、前者の後進国市場支配⇒戦争路線も破綻しつつある。後者の先進国市場ニッチ路線も、’90年代のハイテク成長論の焼き直しにすぎず、いずれ行き詰まるのは目に見えている。
いずれにしても市場縮小という現実の流れの中で、市場を最大の基盤としてきた彼らに突破口はないだろう。
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2007-10-07 | Posted in 未分類 | 5 Comments » 

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コメント5件

 くまがわ直貴 | 2007.11.25 20:46

 竹中平蔵氏が目指していた資本経済における公共財の概念の軽視(公共財をひっくるめて「社会主義的政策と批判」)は、我が国において郵政民営化のメリットだけを声高に主張し、有権者を「小泉郵政劇場」に狂奔させました。
 >日本の竹中平蔵とよく似た、「立派な学者」に作り上げ>られた男だ。今から思えばミルトン・フリードマンも、大く>わせ者の経済学者だった。
 アメリカ型の新自由主義政策が飽和点に来ている我が国にとっては、対岸の火事ではなく由々しき事態です。

 コスモス | 2007.11.26 19:20

くまがわ直貴さん。はじめまして。コメントありがとう御座います。
歪(ゆが)みまくった経済システムに日本を含んだ全世界が翻弄されているといった印象を持っています。
多くの経済学者は、アメリカが推進してきた歪んだシステムを前提(不動のもの)としてそのシステムを進めるわけですが、その結果、ますます歪みが大きくなっていくことは必然です。
そんな経済学者に政治の舵を切らせるようなマネをさせてはいけません。世の中がますます混乱するだけですね。

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