特権階級の空中浮遊とはどういうことなのか?(5)~小泉の支持率・目先収束とマスコミの扇動報道
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「特権階級の空中浮遊」とはどういうことなのか?その本質は何か?を紹介するシリーズの第5回です。
第1回は「特権階級の空中浮遊とは、どういうことなのか?(1)~特権階級の世界と大衆の世界の断絶と接点」
第2回は「特権階級の空中浮遊とは、どういうことなのか?(2)~戦後日本の意識潮流とマスコミの第一権力化」
第3回は「特権階級の空中浮遊とは、どういうことなのか?(3)~小泉・中曽根元首相の共通点と電通によるメディア支配」
第4回は「特権階級の空中浮遊とは、どういうことなのか?(4)~輸血経済(自由市場の終焉)と失われた40年」
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まずは、こちらの投稿(当時2004年)を御紹介します。
小泉の自己正当化の為の攻撃的詭弁とパフォーマンスに、支配層の3/4→庶民の1/2が飛び付いている。その世論を背景に、官邸による報道規制の圧力が強まっていることも容易に見て取れる。
これは、かなり危ない。いったい、何故小泉の支持率は高いのか?
庶民の過半は、私権が閉塞し、もはや私権追求には可能性がないと分かっているが、それでも次の収束先が提示されない以上、目先の私権に収束するしかない状態にある。又、収束不全⇒みんな収束の共認圧力もあって、今や根無し草となった私権観念をあからさまに主張することは出来ないが、その分、私権派の欲求不満が蓄積されている。
収束不全⇒みんな収束の共認圧力を受けて、既存(≒私権)意識は目先の秩序に収束し、それに押されて、個人主義(≒旧観念)より国家主義(力の現実主義)の方が優勢となってきた。
その結果、要求するだけの運動や批判するだけのマスコミ報道に対する反感が、広まってきている。
これは、十数年に及ぶ危機感・閉塞感の蓄積を経て、それでも要求し続けている一部の者の運動や主張に対する違和感→怒りが、顕在化し始めたということだろう。
注:力の現実主義とは、私権時代の支配階級を貫く根幹意識であり、戦後保守勢力の一貫したアメリカ追従も、力の現実主義に基づいている。(しかも、戦後保守党はアメリカの力を絶対視させ、その力の幻影をチラつかせることによって国民を脅し、自分たちの支配の安泰を図る道具にしてきた。)
過半の庶民がロクに探索もせずにこのような目先の秩序(国家や力の原理)に収束したことは、由々しい事態である。その背後には、答えを出せない以上、根本問題は捨象して、目先、無難に過ぎれば良しとする表層充足の風潮がある。この目先、無難に過ぎれば良しとする誤魔化しの表層充足の風潮こそ、過半の庶民を目先の秩序に収束させ、小泉の攻撃的詭弁に飛び付かせた土壌である。
実際、当時は小泉フィーバーなどとマスコミが煽って、庶民は皆そこに収束しました。個人主義より国家主義の方が優勢だった時代だった事は、イラク人質事件などでも顕著でありますが、なぜ過半の庶民が目先の秩序に収束し、小泉に収束していったのかを再度整理しておきます。まずは時代整理から。
2001年 4月 自民党総裁選に橋本龍太郎、麻生太郎、亀井静香と共に出馬。森派・加藤派・山崎派の支持を固めて出馬した。小泉は主婦層を中心に大衆に人気のあった田中眞紀子(田中角栄の長女)の協力を受けた。
>「(もし自民党が改革政党にならなかったら)私が、小泉が、自民党をぶっ潰します!」
「構造改革なくして成長なし」
2001年 8月 小泉は、批判に一定の配慮を示し、公約の8月15日ではなく13日に靖国神社参拝を行った。翌年以降も、毎年靖国参拝を行った。2006年には公約であった終戦の日における参拝を実現した。
2001年 9月 9.11テロ
2002年 2月 田中外相を更迭
2002年 9月 北朝鮮を訪問し日朝平壌宣言に調印した。拉致被害者のうち5名を日本に帰国させることを承認した。
>「この程度の約束を守らないのは大したことではない」(3つの公約(靖国神社8月15日参拝、国債30兆円枠、ペイオフ解禁)に対して
2003年 7月 イラク特措法成立
「今イラクのどこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、そんなの私に聞かれたって分かるわけがないじゃないですか!」
(2003年9月、小沢自由党と民主党合併)
2004年 1月 自衛隊をイラクに派遣
2004年 4月 イラクで日本人3名(ボランティアと称する女性、フリーカメラマンの男性、ジャーナリスト志望の未成年の少年)が武装勢力によって誘拐される。
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日本政府は当時イラクへの渡航自粛勧告とイラクからの退避勧告を行なっており、被害者らがそれを無視して渡航したことや、その家族らが自衛隊の撤退要求を大々的にデモンストレーションしたことから、被害者らとその家族に対する「自己責任」という言葉をキーワードとした批判が巻き起こった。特にインターネットの掲示板では最初の事件の被害者らについて「イラク3馬鹿トリオ」などと揶揄された。さらにそれらに対する反批判などで国内政治家・マスコミ・世論が様々な見解をぶつけるなど、日本国内の注目を集めた。
「自衛隊の活動しているところは非戦闘地域である」
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2005年 4月 中国で反日デモ。直後のジャカルタでの国際会議で小泉首相は過去の日本の侵略や植民地支配について謝罪。胡錦涛国家主席との会談でも謝罪要求など中国側を刺激するような発言は一切行わなかった。
2005年 9月 郵政選挙
(2006年 1月 ライブドア事件で堀江逮捕)
「格差が出ることが悪いとは思わない。今まで悪平等だという批判が多かったし、能力のある人が努力すれば報われる社会にしなければならない」
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>(2006年 6月 村上 世彰 逮捕)
2006年 9月 自民党総裁任期は満了し、9月26日に小泉内閣は総辞職して内閣総理大臣を退任した。任期満了による退任は1987年の中曽根政権以来。
出典;Wikipediaより。
⇒大きくは2つの状況が重なって過半の庶民が収束していったと考えられます。
1)マスコミ:極端な偏向報道や2元論といった洗脳手法で民衆を誘導。※マスコミは上記出来事に全て賛同報道しており、この時の権力行使は異常(暴走)に映る。
2)皆の意識:秩序収束を求める庶民は強いリーダーシップ(たとえ間違っていても洗脳されて)についていった。
※大衆が求めていたのは古い秩序から新しい秩序の形成だったが、実際の小泉の方向は秩序収束では無く秩序破壊であった。上記時代の主な出来事と小泉の言動(「」)より、誤魔化しの連続であった事が良く分かる。
では次の記事を紹介します。こちら。
問題は、小泉の詭弁に飛び付く誤魔化しの風潮が、どこまで続くかである。
答えを出せない以上、誤魔化すしかないので、目先、無難な誤魔化し充足の風潮はしばらく続くだろう。この誤魔化し充足の風潮にマスコミが乗り、(一部の)学者が乗れば、根本問題は完全に捨象されて終う。
しかし、より大きく捉えれば、収束不全⇒みんな収束の共認圧力を受けた目先の秩序⇒国家(力の現実)収束とは、答えを出せないが故の根本問題を捨象した既存意識の誤魔化し正当化であり、それは私権意識に残された唯一の逃げ道である。
しかも、その方向は、みんな収束の収束先である共認原理と根本的に背反しており、従って誤魔化しの国家(=力の現実)収束を強めれば強めるほど、国家赤字や年金破綻、あるいは教育の崩壊や性の衰弱etc社会矛盾が激化してゆく。
しかし、いかに目先の秩序収束⇒国家収束であるとは云え、それが収束不全⇒社会収束のひとつの顕れであることには違いはなく、従って彼らは激化してゆく国家破綻や社会矛盾をそっくり捨象して終うことは出来ず、ひたすら誤魔化し続けるしかない状態に追い詰められてゆく。
目先の秩序収束の潮流に乗って、支配層の3/4と庶民の1/2は小泉の誤魔化しのパフォーマンスに飛びついた。今後しばらくは、この誤魔化し充足の風潮にマスコミ(や一部の学者)が乗り、ますます根本問題の本質追求は捨象されてゆくだろう。
しかし、共認形成の場を支配するマスコミ(や政治家や一部学者)の発信内容が誤魔化し一色になり、国家破綻や社会矛盾が激化していくのに本質追求はおろか本質批判さえ出てこなくなった時、過半の庶民(と良心的な知識人)の間に、「何かおかしい」「これは危ない」という危機感と、発信者への不信感が広がってゆく。
その時はじめて、(なんで屋の共認運動を契機に)路上や仲間内での答え探索の潮流がはっきりと顕在化し、勢いを増してゆくことになる。
特権階級たちの誤魔化しはいつまでも続ける事は出来ません。当時の小泉の評価から、最近の評価は大きく変わっています。少し遅かった気もしますが、ようやくマスコミによる誤魔化しからの脱却が垣間見えます。以下紹介。
「Yahoo みんなの政治」
・騙されたと気付いてからでは遅いです。 2007.12.29
二年前の解散総選挙では郵政民営化だけを問いて選挙をしましたがそれだけに照準を絞らせた手法は当時は日本国民の殆どを騙す事に成功しました。これにマスコミやTV局も便乗し郵政民営化に反対する議員を抵抗勢力とレッテルを貼り自らの信念を半ば強引に正当化させました。・・・
⇒支持する:267件 支持しない:22件
・こいつの馬鹿な理念のおかげで
⇒支持する:284件 支持しない:30件
・「弱肉強食」 の 「因果」
⇒支持する:372件 支持しない:23件
・小泉改革の残したもの
小泉改革の残したもの。1.1・5倍にもなった国の借金。2.ワーキングプア、ネットカフェ難民に代表される格差。3.守屋次官のようなたかりの構造。 ぶっ壊したのは自民党ではなく庶民のささやかな暮らし。このような改革は日本史はもちろん、世界史的に見ても例が無い。
⇒支持する:340件 支持しない:18件
・命を軽視する愚者
⇒支持する:250件 支持しない:29件
・その時格差社会は始まった⇒変
⇒支持する:264件 支持しない:28件
・こんな日本に誰がした?
あなただけの責任ではないが、威勢のいいことだけ言って後は責任を取らない
無責任さに腹が立つ。
アメリカの年次改善要求を受け、あなたが行った郵政改革ではそれまでの国民資産の
貯蓄を外資に売り渡した。
同じく年次改革要求にて日本企業の競争力の根本と指摘された終身雇用体系を崩す
派遣法改正を行い現在の雇用情勢を招いた。
まるで売国奴だ。
⇒支持する:286件 支持しない:28件
・すべて小泉の言うとおり
⇒支持する:93件 支持しない:454件
・こやつ(小泉純一郎)のおかげで 2009.7.20
とにかく日本をめちゃ苦茶にしてしまった男 こいつの政策を継続している自民党に国民の怒りが噴出しているのだ、その結果が都議選、地方選の自民敗北につながったわけだ。小泉路線の大幅転換がなければ自民は衆院選で戦えない。
⇒支持する:705件 支持しない:86件
「リアルタイム世論調査.NET」
当時(2004年)とは真逆の評価です。なぜこんな事が起きるのでしょうか?また小泉をはじめとする特権階級はどうなっていく(どの方向に向かう)のでしょうか?
既に上記でも紹介したように、庶民の大半は特権階級の詭弁に気づいていっています。マスコミの扇動報道にもこれからは違和感を感じる人々が増えていくでしょう。
また、重要なのは人々の収束不全に対する収束軸の提起でしょうが、小泉(自民)→民主と政権交代したように国民の期待に応えるものでなくてはならない事は既に実証済みです(※実態はまだまだ伴いませんが・・・)。
やはり、特権階級が為すべき(頑張っていく)方向は、国民の期待にマッチしたものでなくてはならない・そうでなければ期待からかけ離れた暴走としか映らないのです。当時は政治家も官僚もマスコミも国民の期待とかけ離れて加担していたのですから、これこそ暴走→空中浮遊の一例とも言えます。
特権階級が本来行うべき「国民の期待」を捉えられなくなった事態が、後に空中浮遊化する一つの構造だと予想されます。
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伯爵 | 2011.05.28 21:39
放射能は身体にいい!というのは、ラドン温泉やラジウム温泉のことでしょうか? これは、「酒は百薬の長」と同じで誤解をまねく表現です。 酒(アルコール)は薬物のひとつであり、中毒性があり、様々な疾患の原因となります。 勿論、放射線が癌や白血病を引き起こすのは衆知のことです。