次代に求められる共認形成力とは~プロローグ~
日本を代表する大企業(パナソニック、ソニー、シャープ)が、相次いで莫大な赤字を発表しました。
これらの企業の赤字額はここ数年悪化の一途を辿っており、待ったなしの事業縮小が迫られている状況にあります。
これはまさに“炉心溶融”とも言うべき制御不能の事態に陥っていると言っても過言ではないでしょう。
日本のGDPを牽引してきた大企業の凋落という事実は、おそらく日本全体の先行き不安をいっそう加速させるものとなるでしょう。
「1.これから生き残る企業に求められる能力は?」より
バブルの崩壊以降、少しも良くならない景気。その上、金融危機でいつ失速するか分からない世界経済。それなのに、司令塔たる政府は無策なままで、この国の統合機関の空転はひどくなる一方です。
学者や官僚は、誤魔化しの弥縫策しか打ち出せません。事態は悪化するばかりなのに、この状況を打開する抜本的な答えを語る人は誰もいません。
その上、マスコミは中立公正という看板をかなぐり捨てて、偏向報道を繰り返しており、本当のことは何一つ報道しなくなっています。
明らかに、時代はかつて無かったほどの大きな転換期を迎えており、この大転換に対応する為には、この転換が何を意味しているのかを理解し、現在すでに形成されつつある人類の新たな活力源と、それが生み出す新しい社会の姿を明確に掴む必要があります。
この「大きな転換期」という視点から捉えなおしてみると、現状は悲観すべき状況ではなく、むしろ新たな可能性の局面に入っているのだという認識が浮かび上がってくるように思います。
それが「物的生産から類的生産への大転換」という状況認識です。
簡単に言えば、
「資本力(物的生産)に替わり共認形成力(類的生産)が成果を規定する時代に入った」
ということです。
「学生に与う1 いま、社会の基底部で何が起きているのか」より
’70年代から積み上げられてきた国の借金は、今や1000兆円に達している。この社会を差配する学者・官僚・マスコミ等の統合者たちは、借金して作ったこの1000兆円を市場に注入することで、経済成長を装ってきた。だが、騙されてはならない。毎年のGDPの伸びから、人工的に注入して作り出した需要分=借金分を差し引けば、実体経済はゼロ成長となる。つまり、’70年頃から市場は実態的には拡大停止状態に陥っていたのである。
では、いったい40年前=’70年頃、何が起きていたのか?
それは、先進国における貧困の消滅(豊かさの実現)である。
豊かさ(一定必要なものが揃う)が実現すれば、当然物的な欠乏(物欲)は衰弱していきます。物的欠乏の衰弱とは、すなわちものが売れなくなっていくということを意味し、それまで資本力を基盤に大量生産で拡大を続けた製造業(物的生産)が一気に縮小過程に入っていくことになります。(→市場縮小)
日本は豊かさが実現した’70年からすでに、その縮小過程に入っていたということです。
その縮小分を補うべく国家が資金(国債)を投入し延命策を講じてきましたが、上述の大企業の凋落は、まさにその延命策も限界に達したことを意味しています。
※日本の国債発行残高グラフ
他方、意識潮流の変化から新たな可能性の萌芽を見てみると。。
「潮流3:’70年、豊かさの実現と充足志向」より
生存圧力が衰弱し、物的充足が飽和状態に達した状況での新たな(=より大きな)充足可能性は、物的価値ではなく類的価値(人と人との間に生じる欠乏)の充足の中にしかない。そして、類的価値の充足とは、共認充足に他ならない。
「新しい潮流7 同類圧力は、新しい認識によって生み出される」より
生存圧力を克服したこれからの人類にとって、課題圧力とはもはや向こうからやってくる不全課題・不全圧力では在り得ない。今や、課題圧力とは同類圧力に他ならず、それは仲間充足がそうである様に、向こうからやってくる不全課題ではなく、自分たちで作り出す充足課題である。実際、皆でより充足できる(or鮮明なスッキリする)認識を作り出す過程は、可能性発の充足過程である。
「本能回帰・共認回帰⇒脱市場・脱洗脳の先に登場した意識潮流【自給期待】」より
潜在思念の本能回帰・共認回帰の先に⇒脱市場・脱洗脳の意識潮流が生起し⇒そのさらに先端に登場した意識潮流が自給期待である。
自給期待の中身は、自分で生きていける能力⇒自分でモノを考えられる能力を身につけたいという期待である。
そして、その能力の中身は認識力と充足力、すなわち共認形成力に他ならない。
これは資格や専門能力といった狭い職能ではなく、全人的な能力であり、類的能力と言い換えることもできる。
物的充足が飽和状態に達した現代、自分達で物的充足に替わる共認充足を作り出していくことこそが最大の(充足)課題であり、また最大の需要となる時代に入ったということです。
そして共認充足を作り出す力の源泉が共認形成力(充足力と認識力)であり、現在は共認形成力を身に付けたいという期待=自給期待が日に日に高まっているという状況にあります。
よって今回のシリーズでは、次代に求められる「共認形成力」をテーマに、以下のような構成で追求してみたいと思います。
・共認形成とは何か
・私権時代の共認の中身とはどのようなものか
・次代の共認の中身とは~日本が世界を先導する可能性~
・対象性の獲得(同化を深めるには?)
・共認形成の成功事例~業態革命~
・共認形成には事実認識が不可欠
・事実認識を生み出すには?
・旧体制(政治)が変わる可能性はどこにあるのか~新勢力の異業種参入による業態革命~
・社会が変わるとはどういうことか~統合原理の大転換~
こうご期待ください!
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