『次代に求められる共認形成力 第3回~世界的な本源回帰の潮流と世界を先導する日本への期待~』
日本を代表する大企業(パナソニック、ソニー、シャープ)が相次いで膨大な赤字を発表し、待ったなしの事業縮小が迫られると同時に存続の危機さえ囁かれています。
原因は物的欠乏の衰弱(豊かさの実現)に伴う市場の縮小にあり、’70年代以降の歴代政府による市場の延命策(赤字国債の大量発行)が限界に達したことを意味しています。
しかし、見方を変えると、現状は必ずしも悲観的な状況ではなく、寧ろ新たな可能性の局面に入ろうとする生みの苦しみの段階にあると捉えることもできます。
それが「物的生産から類的生産への大転換」という状況認識です。つまり「資本力(物的生産)に替わり共認形成力(類的生産)が生産能力を規定する時代に入った」と言うことです。
今回のシリーズでは、この「次代が求める生産力=共認形成力」をテーマに、その能力の中身について追求しています。
第1回~共認とは何か?~
第2回~私権時代の共認の中身とはどのようなものか~
第3回目の今回は、近年、世界中から注目&賞賛を受けている日本人の行動を元に、日本が世界を先導する可能性について見ていきたいと思います。
突然ですが皆さん、ご存知でしょうか
今年、日本は「世界に良い影響を与えている」国の第1位に輝きました
その理由は最良の観光客、行儀が良い、騒がしくない等が上げられるそうです。
英BBC放送が行った世論調査で、日本が「世界に良い影響を与えている」国の第1位に輝いた。
調査は、国際社会に影響を及ぼす16か国と欧州連合(EU)について、それぞれの国への評価を各国に聞いたもの。
良い影響を与えている国は上位から、1位 日本、2位 ドイツ、3位 カナダ、4位 イギリス、5位 中国、6位 フランスだった。日本が1位になったのは、ドイツと並びトップだった2008年以来で、昨年の前回調査ではカナダ、EUと同率で3位だった。
今日本が世界中から注目&賞賛を受けているのは、世界中が次代の潮流へと大きく転換していく中で、日本人の意識潮流がその最先端であることを表しているのではないでしょうか。
その注目された出来事として、記憶に新しいのは、東日本大震災時の日本人の行動でしょう。
2011年3月11日に起きた東日本大震災は、世界最大級の地震であり、死者・行方不明者合わせて2万5000人以上という大惨事であった。しかも、ただの大地震ではなく、津波、原発事故をふくむ複合的天災・人災であった。
日本が遭遇したこの未曾有の大災害の様子は、またたく間に世界に伝えられたが、その一方で大きな驚きをもって報じられたのは、日本人が平静と秩序を保っていたことだった。
日本以外の国なら、たいてい暴動による大混乱、そして必ずといえるほどの略奪が見られる。
中国のことわざに「趁火打劫」(火事場泥棒)というものがあるが、アメリカのロサンゼルス大地震のときも、中国の唐山大地震のときも、暴動・略奪があった。これが世の常である。
しかし日本ではそのような混乱は起こらなかった。
こうした日本人の態度に、世界中から賞賛が送られたことは記憶に新しい。
CNNでは「なぜ日本では災害につきものの略奪が起きないのか、米メディアでは次々と議論が起きている」と報じた。
さらに「他の国ではこれほど正しい行動は取れないだろう」(英国BBC)、「商店の襲撃や救援物資の奪い合いが見られず、市民が苦境に耐えていたことに感嘆」(ニューヨーク・タイムズ)など、日本人の忍耐力の強さに賛辞を送る報道が続出。
また中国メディアも「日本人の冷静な対応が世界に与えた印象」「東京では数百人が広場に避難したが、男性は女性を助け、ゴミひとつ落ちていなかった」(環球時報)や「日本人はなぜこんなに冷静なのか」(新京報)と、驚きをもって賞賛している。
とくに中国では、宮城県女川町で中国人研修生20人を避難させながら、自らは濁流に飲まれて犠牲となった水産会社の専務のことが報じられ、その自己犠牲の精神に深い敬意が払われている。
(黄 文雄 著『日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか』より)
このような災害時、例えば米国の場合は、暴動・略奪によって、悲惨な状況になってしまいます。
米国では同種の自然災害や人為的な騒動が生じた際に、必ずと言ってよいほど被災者側だとみられた人間集団による商店の略奪が起きるからだ。
米国では2005年8月に、ハリケーン「カトリーナ」がルイジアナ州を襲った。最大の被害を受けたのが、同州の中心都市ニューオーリンズ市である。
ニューオーリンズでの状況は衝撃的だった。
広大なスーパーマーケットに侵入して、食物や飲料を片端からカートに投げ込んで走り去る青年。ドアの破れた薬局から医薬品を山のように盗んでカゴに下げ、水浸しの街路を歩いていく中年女性。テレビやラジオなどの電気製品を肩にかついで逃げていく中年男性。色とりどりの衣類を腕いっぱいに抱え、笑顔を見せ、走っていく少女。何かの商品を入れた箱を引っ張り、誇らしげに片手を宙に高々と突き出す少年・・・。
みな他人の財産を奪い、盗んでいるのだった。
(『大転換の予感「潮流1」:共認原理と私権原理』より)
この米国との比較からも、日本人の行動が世界中に賞賛された理由がわかりますね。
このような日本人らしさは、震災だけでなく日々の生活の中でも現れています。
スイスで行われたFIFAバロンドール2011の授賞式になでしこジャパンの澤選手は、まさに日本を代表するに相応しい、あでやかな振袖を着て出席したところが何とも粋でした。去年の大地震後に行われたW杯を優勝に導き、ただでさえ復興に向け勇気を与えたと世界中のサッカーファンが感動したというのに、スピーチでは「このような素晴らしい賞をいただけたのも、監督、コーチ、会長、チームメイト、家族、友達、女子サッカーに携わってきたすべての人のおかげだと思います。感謝いたします。この賞を糧に、日々精進していきたいと思います」と、津波で被災した東北の女性の我慢強さを思わせる日本人の女性らしい謙虚な姿勢を見せました。
年間最優秀選手賞を澤選手が、最優秀監督賞を佐々木則夫監督が受賞し、さらにはFIFAフェアプレー賞に日本サッカー協会が受賞し、3部門で賞を受賞するという日本にとって歴史的な日となりました。
全ての賞が素晴らしいですが、その中でもあまり注目されていない3つ目の賞である「FIFAフェアプレー賞」を日本が獲得したことは、日本人選手は他国の選手に比べると明らかにフェアプレーなので当然といえば当然ですが、女子W杯を勝ち抜いて優勝した日本が受賞するということは、一点の曇りもなく世界一の優勝国であることにお墨付きをもらったようなものです。
(『世界から称賛される日本のフェアプレーがFIFAの3つの受賞に導いた!』より)
このような日本人の物の考え方や振舞い方は、どこからくるのでしょうか。
それはおそらく、はるか縄文時代より維持し続けてきた本源性(=縄文体質)に由来するのではないでしょうか。
現在の世界は、なくならない戦争、いきすぎた個人主義→自己中と精神破壊、いきすぎた消費→環境破壊etc・・・現代の社会を導いてきた文明の行き詰まりがはっきりしてきています。
そんな閉塞感もあって、縄文が注目 されているのだとおもいますが、縄文の歴史には、戦争を避け、他民族と協調して生きて融和してきたこと、そして自然の摂理にしたがっていたこと・・・・・その知恵と経験が詰まっています。われわれ日本人の中にも。
(世界文明 vs 縄文・・・・そして反転がはじまる!?より)
この縄文体質ゆえに、日本は1970年に世界に先駆けて貧困を克服→豊かさを実現しました。それによって約6000年続いた私権時代から脱却し、いち早く共認収束⇒本源回帰に向かったのです。
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
この本源回帰の潮流が、3.11の東北大震災で大きく顕在化してきました。例えば被災地の人たちの「自分より困っている人がいるから、先にその人を助けてください」「世界から支援部隊が来てくださっているのにおもてなしできなくてすみません。」といった姿勢にも表れています。
このような姿が、人類本来の意識の有り様として、世界的に注目・賞賛を集めたのです。これは、本源回帰が日本に留まらず、世界的な潮流であることの表れではないでしょうか。
であるならば今後、豊かさを実現した国から本源回帰が加速していくことは間違いなく、日本はこの大潮流の最先端で世界に可能性を示すときが来ているのです。
次回は、『共認形成の第一歩⇒充足力を深めるには?』について詳しく見ていきたいと思います。
ご期待ください!
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