新概念を学ぶ26 人類の観念機能 ~右脳は外圧探索.左脳は照準・・・実体験から検証~
引き続き、超難題=人類の観念機能と脳構造の関係について考察します。まずは主に、右脳と左脳の基本機能について。
現在、右脳型の人は創造性があり感情的、左脳型は論理的で解析的などといった、脳機能局在論が流布していますが、私たちはこれと異なる、進化史と論理整合に依拠して探索してきました。
手順としては、共認機能を獲得した原猿、観念機能を獲得した人類以前の脳構造から紐解いていき、以下のような幹となる仮説を導き出しました。
右脳の役割:360度の外圧探索機能を主に担う.
左脳の役割:的を絞り込む照準機能を主に担う.
左右の連携:脳梁により右脳左脳が統合される.
今回は、上記の仮説を、現代の野球というスポーツの実体験などを通して検証します。
最初に、冒頭の仮説の論拠となる、事実や仮説をお伝えします。
・右脳左脳分化は、脊椎動物誕生時から。
・脊椎動物の左脳は「パターン化した日常的な行動」を統制し、右脳は「天敵に出くわすなど突然の場面での行動」を統制よう分化した。
・魚類、両生類、鳥類、哺乳類は全て、左視野(右脳で処理)に見えた捕食者に対して右視野の天敵より大きな回避反応を示し、ヒトの警戒も同様に右脳が担っている(ワシントン大学)。
・鳥類の視覚認識の研究では、空中からピンポイントで餌となる虫や小動物を見つけるのに、「左脳」回路による鮮明・近視眼的な視覚認識を行っている。
・鳥類とは異なり、哺乳類の脳は脳梁で右と左が繋がっている。これは大型爬虫類(恐竜)が制覇種だった時代に夜行密猟動物として生き延びた弱者哺乳類が、極限的な逆境下で獲得した機能と考えられ、実際に捕食の際も常に、右脳で360度の外界を警戒している。
参考:「シャーマン脳」仮説①~シャーマン脳の構造と右脳・左脳分化~
右脳左脳の機能分化について ~左脳は「パターン化した日常的な行動」をコントロールし、右脳は「天敵に出くわすなど突然の場面での行動」をコントロール~
右脳・左脳に(認知的)機能分化は存在するか?⑥~哺乳類の逆境からの進化適応が、右脳と左脳を接続する「脳梁」を生み出した~ほか
では、上記の仮説を裏付けるような事例を紹介します。
『野球の打撃からみた右脳・左脳論』http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=284722より
・打撃のインパクトの瞬間には超高速で迫ってくるボールの重心から2~3ミリ下を叩けば、バックスピンの効いたホームラン性の打球が打てる。という理論がある。これは、照準を絞る機能と「中心視」が重要であることを示唆しているが、部分を見るのが得意な左脳が主要に担っているのではないだろうか。左脳と接続し、かつ球を見やすい右目で的確に捉えていたのではないか。
・一方、事前準備として「周辺視」で投手が球をリリースする直前の腕周辺をぼんやりと見よ!という理論があり、これは事前に全体を認識する必要を説いている。投球前のピッチャーの心理状況や投球フォームのクセから、球種やスピード、コースを推測してどんな球がくるのかを絞り込むのだが、これは、全体を捉える事が得意な右脳が中心に行っていると思われる。
つまり、準備段階では(あくまで両目で見るが)右脳により全体を捉え、打撃直前には主要に左脳⇒右目で照準を絞り捉えるのではないか。
・・・実際に私は、右目でボールを捉える感覚があった。
さらに打撃では、バットスイングをリードする投手側の腕の使い方が重視されるが、ここでも、左脳とつながっている右手(利き手)が正確なミリ単位の制御、調整を可能にしたと考えられる。
※これは利き手が右手の人が9割以上の大半を占める事と無縁ではなさそう。照準を定めて正確で繊細な動作を行う為に、左脳と接続する右手が利き腕になっているのではないだろうか。
利き腕が生まれた必然性を補足しておきます。
前々回紹介した書籍『脳の方程式 ぷらす・あるふぁ』(中田力著 紀伊国屋書店)より
ところが、これにはちょっとした副作用があった。他の随意運動にも何らかの抑制制御が働いてしまうことである。
抑制制御を球筋だけに集中し、他の運動機能から完全に切り離すことが難しかったのである。
ここから、言語機能に限らず、随意運動全体に優位半球が誕生することになった。特に大きな影響を受けたものが、手の運動である。
利き腕の誕生である。
利き腕は、調音器官のコントロールを片側の脳に任せることにした結果、必然的に生まれてきたものである。
実際にこのような抑制制御機構があることは、機能画像で確かめられている。
どちらの脳を優位とするかは、生まれつき決定されている。
日本では、生まれつき左利きであった人が右利きに矯正されることが多く、必要のない機能再構築を迫られる。そのような強要を受けた人にある種の言語機能障害が発生する率が高いことも、良く知られている。
右脳が担う中心視と左脳が担う中心視について
・人間の平均的な視野は左右180度・上下150度程度だが、この視野角度内で中心視で見る事が出来るエリアは視線中心付近のごく僅か。
周辺視では中心視よりもずっと広大なエリアを見る事が可能。
訓練次第でそのエリアを広げる事が出来、周辺視はあらゆるスポーツ競技においてトップレベルを目指す為の必須のスキルと言われている。
・また周辺視は、一度に得れる情報量が多いというメリットの他に「中心視よりも反応速度が早い」という利点もある。
では、右脳・左脳の連携についてはどうだろうか?
ここまで、主に左右の機能分化を見てきたが、バラバラなままでは確実な打撃は出来ない。
主要に右脳で全体像を捉え判断し、実際の行動に移す際にその情報を素早く正しく左脳に伝えて、さらに絞り込むという、ひと繋がりの共同作業が確実に行われているはずだ。
擬似闘争であるスポーツ全般では、同様の構造が認められる。
とりわけ球技においては全て、準備段階では広範囲に情報収集し、次第に攻撃態勢を整えながら、照準を絞り、狙い定めた打撃直前には極度に集中して、左脳と利き手によって、ピンポイントで撃つ!
最後に、冒頭の仮説を再度掲載しておきます。
右脳の役割:360度の外圧探索機能を主に担う.
左脳の役割:的を絞り込む照準機能を主に担う.
左右の連携:脳梁により右脳左脳が統合される.
今後、上記仮説に塗り重ねて、共認機能を獲得した原猿、観念機能を獲得した人類の進化過程と脳構造の変遷に肉迫していく予定です。
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