日本人は何を学ぶべきか?~近代社会の騙しの構造~第5話:支配者の手法~アメリカ発の民主主義
エジプトの大規模なデモ 画像はこちらよりお借りしました。
『日本は何を学ぶべきか?~近代社会の騙しの構造~』シリーズは、今回で第5話。
第1話:プロローグ
第2話:自由市場など幻想である
第3話:市場拡大は絶対なのか?
第4話:何故官僚は暴走するのか?
第5話では、そもそも民主主義国家というものが他のどんな政治形態よりも「よい社会」なのだろうか。アメリカ発の民主主義の実態を明らかにします。
いつも応援ありがとうございます。
アメリカは、「自由」と「民主主義」の保護者を自任していますが、これまでの中東政策は、独裁政権のエジプトやサウジアラビアなどの親米でイスラエルという国家の存続を認める国々を支えることに依っていた。
ところがエジプトでは、連日民衆による大規模なデモが繰り返され、30年近く続いてきたムバラク大統領に対して、オバマ大統領は、民主的政権に向けた「秩序ある移行」を促さざるを得なくなった。
アメリカの本音としては、30年近くも援助を続けてきたムバラク大統領を支えていきたいところだろうが、民主主義を理念に掲げるアメリカとしては、ムバラク大統領を切るという選択をせざるを得なかったようです。
今回のエジプトの民主化運動においてアメリカは、民主主義という理念を最優先したようですが、アメリカという国家において民主主義とはいかなるものかを見て行きたいと思います。
アメリカ発の民主主義の真実! “とまどえる群れ”と “合意のでっちあげ”より
・実際、リップマンはそうした組織的宣伝を進める委員会にもかかわっており、その効果を十分に認識していた。 「民主主義の革命的技法」を使えば「合意のでっちあげ」ができる、と彼は主張した。すなわち新しい宣伝技術を駆使すれば、人々が本来望んでいなかったことについても、同意を取り付けられるということだ。
・民主主義社会には2つの市民階級が存在する。
・第一の市民階級は、専門知識を持つ特別階級で、政治・経済、イデオロギーのシステムにおける諸問題の分析、実行、意思決定、管理を行う。これらの人々は人口のごく一部でしかない。
・この特別階級から漏れた人々、すなわち人口の大部分を、リップマンは「とまどえる群れ」と称した。
・さて、これで民主主義社会には2つの「機能」があることになった。責任を持つ特別階級は、実行者としての機能を果たす。その一方のとまどえる群れも一機能を担っている。民主主義社会における彼らの役割は、リップマンの言葉を借りれば「観客」になることであって、行動に参加することではない。
・しかし彼らの役割をそれだけに限るわけにもいかない。何しろ、ここは民主主義社会なのだ。そこで時々彼らは、特別階級の誰かに支持を表明することが許される。これを選挙という。だが、いったん特別階級の誰かに支持を表明したら、あとはまた観客に戻って彼らの行動を傍観する。
・われわれ(特別階級)はとまどえる群れを飼いならさなければならない。とまどえる群れの激昂や横暴を許して、不都合なことを起こさせてはならない。これは3歳の幼児に一人で道路を渡らせないのとまったく同じ論理である。面倒を起こすに決まっているのだから。
・そこで、とまどえる群れを飼いならすための何かが必要になる。それが民主主義の新しい革命的な技法、つまり「合意のでっちあげ」である。
・どうしたら第一の階級につけるか?もちろんその方法は「真の」権力者に仕えることだ。
またリップマンの代表作と言われている『世論』(1922年)によれば、彼は、民主主義の基盤となる国民の世論が、マス・メディアの圧倒的な影響力の下にあることを指摘している。
上記引用中には3つの階級がでてくる。
1.「真の」権力者: 支配的な財閥
2.第一の市民階級(特別階級): 政治家、官僚やマスコミ、経営者
3. 一般の人々(大衆)
アメリカの民主主義の状況は、リップマンの理論・考え方がそのまま実現しているような観を呈している。財閥のための、特別階級(政治家、マスコミや経営者)の手による、大衆をコントロールするための民主主義。といえる。実際、ロックフェラーなどの財閥がCFRや各種シンクタンクなどの回転ドアを作って特別階級を作り、人材を政界、学会、マスコミ、経済界などや各分野に配分し、アメリカをコントロールしている。
このように見てくると、アメリカが宣教師のように“民主主義を世界に広める必要がある”といっている意味がよくわかる。要は彼らの支配体系(財閥→政治家・マスコミ→大衆)に組み込みやすいからなのだ。彼らは、20世紀の初頭にこの支配体系を開発し、それでアメリカをコントロールした。第2次大戦後、日本が民主化されたのも当然この体系に組み込むためだ。
(近年、日本においてもアメリカ→官邸→マスコミの指揮系統が完成したという。政治家や官僚・マスコミという特別階級を手足に使うことに手馴れた、アメリカの財閥勢力がいよいよ日本の直接支配に乗り出したということだろうが、その仕込みは戦後の占領期“日本の民主化”と称して行われていたのだ。)
私たちは小学校・中学校を通じて、民主主義国家というものが他のどんな政治形態よりも「よい社会」であると教わってきました。
民主主義の理想の一つは、人々の合意や同意に基づいて政治を運営することにある。もし人々の意見がバラバラで合意を得ることが困難になれば、社会全体が不安定化するからである。
民主主義を運営するためには、まずもって「合意形成」をする必要があるが、アメリカの民主主義を見る限り、この最も大切な「合意形成」が、リップマンによれば「合意のでっち上げ」によって作られるという。
民主主義は、近代社会の中心を成す理念とされていますが、実態を見ていくとやはり「近代社会の騙しの構造」を構成する理念であると言わざるを得ないようです。
次回は、「基本的人権」を基にした「権利」という観念について見て行きます。
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