2014年10月30日

脱グローバリズムの可能性をインドに探る ~インド人の民族性と共同体2

今回は、先回に引き続き、カースト制度の成立から、インドの共同体社会に与えた影響や今後の注目ポイントについて扱いたいと思います。

■カースト制度

インドのカースト制度は良く聞くような単なる身分制と捉えることは出来ません。より実態に近づくには、縦軸の社会階層(ヴァナル制)と、横軸の職業区分(ジャーティ制)の二つを一体としてカースト制度を捉える必要があります。

まず、縦軸のヴァナル制は本来、「行為」や「知識」を下にした社会階層であると言われます。現在は、就いている職業の「浄」「不浄」の度合いで捕らえられ、階級的には祭祀階級であるバラモン階級が最上位となります。

この制度は元々は固定的なものではなく、古典的なヴァナル制は、秩序を保つのに必要な能力と知恵を基本とするものだったようです。これが、固定的に捉えられるようになったのは、比較的近年の植民地時代と言われ、当時行われた国勢調査や地誌は序列にしばしば言及し、司法(裁判所)は、序列の証明となる慣行を登録して、随時裁可を与えた事が影響しているようです。

次に、横軸のジャーティ制は職業毎に共同体を形成する職業世襲制度(分業制)ですが、これはヴァナル制より厳格な仕組みで、社会的ネットワーク、つまり共同体を維持する為に同族結婚の慣習とグループの団結を保持する為のものです。

各ジャーティがもつネットワークは、婚姻を通じて拡大し、それぞれの文化や生活、習慣の遵守によって強化され、ジャーティ内部の争いの調停、就職支援、病人・貧困者に対する扶助などもそのなかでおこなわれており、ジャーティへの帰属意識は非常に強いものとなっています。

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  投稿者 mamoru | 2014-10-30 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments »