2011年02月03日

なぜ、このタイミングで、エジプト民主化革命が発生したのか? ~背後に核兵器問題あり~

チュニジアの「ジャスミン革命」の余波がエジプトにも広がり、エジプトでの反ムバーラク運動が止まる様子を見せない。
ejiputo.jpg
一見、独裁者vs民主化を求める民衆、という対立の構図がクローズアップされやすい出来事ではあるが、本当にそんな単純な構図で捉えられるものなのだろうか?
チュニジア、エジプトに共通しているのは、70年代後半~80年代前半に欧米諸国の強い援助の下に打ち立てられた(独裁)政権であり、そこからおよそ30年に亘って支配してきた点にある。(独裁)政権の最大の力の基盤は、アメリカを始めとする西欧諸国そのものであり、西欧諸国は石油利権などと引き換えに、彼らを支援しコントロールしてきた。
そして、常に宗教的・民族的対立を国外にも国内にも抱える彼らは、ユダヤvsアラブ、スンニ派vsシーア派という対立を抑え、時に利用し、国家統治を行ってきた。
今回の事件は、上記のような(分かり易い)宗教的・民族的対立ではなく、「民主化運動」という繰り返されてきた大衆的運動の一つだとも言えるし、「民主化運動」という歴史的に何度も『利用されてきた』運動だとも言える。
だから、この問題は中東地域で最も『独裁的な』政治体制を取るサウジアラビアにまで広がっていく可能性も高い。その意味で、
『いま中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊とおなじくらい重要』だと言える。
しかし、そもそも30年近くにわたって独裁支配を続けたきた政権が、ここに来て「自然発生的な民主化運動」によって政治体制が大きく変るとは考えにくい。たとえ、インターネットが世論形成に強い力を持っているにしても、だ。
だから、誰かが何かしらの思惑を持って、糸を引いている(少なくとも影響を与えている)ことは確実だろう。
これは、最近ネット界を駆け巡っている「エジプトの一青年からの手紙」にも表れている。

私たちは平和的にデモをしていますが、政府はごろつきや悪党を雇って抗議者のあいだに潜入させ、問題を引き起こさせて、それをわたしたちのせいにしようとしています。政府は容赦なく私たちを叩き、ネットやメディアを検閲し、ほんものの銃弾やゴム弾、催涙ガスで攻撃し、何百という抗議者を拘禁したり多くの人たちを殺傷しています。

裏で糸を引いている者がいるとして、誰が、どんな意図を持っていると考えられるのか?

にほんブログ村 政治ブログへ


■ヨーロッパ諸国=ロスチャイルド勢力が糸を引いている?
まず注目されるのは、ムバーラクが一貫して親米政権であり、アメリカからの資金的・軍事的供与を受け、イスラム主義者達や貧困層を抑圧してきた点にある。エジプトは、中東地域ではヨルダンと共にイスラエルの同盟国であり、イスラエルとイスラムの間を取り持ってきた。
このムバーラクが世襲を含めて親米独裁政権を続けようとしていることに対して、ヨーロッパ勢力=ロスチャイルド勢力が「民主化運動」を隠れ蓑にして政権転覆を狙った可能性が考えられる。
確かに「民主化運動」がサウジにまで順次拡散していく可能性を考えると、中東地域におけるアメリカの軍事的・経済的な影響力を排除しようとする動きとして想定できる。特に、サウジは中東地域の産油国としてオイルマネーを貯め、それをドル→米国債に還流させてきた。サウジを初めとする中東産油国が脱アメリカに大きく舵を切れば、未だ金融危機の余波から立ち直っていないアメリカには、大きな打撃となる。
特に、この間、原油価格・食糧価格が高騰しているが、上がる局面でも下がる局面でも、儲かるのは「仕掛けた側」であり、この状況においてもロスチャイルド勢が大きな金を掴んでいる可能性は、ある。
■アメリカ=ロックフェラー勢力が糸を引いている?
ここで注目されるのは、ムバーラクがこの2~3年で、アメリカに対する態度を変えていることだ。
ムバーラクはイランの核兵器開発が取り沙汰された際に、ヨルダンと共にアメリカに対して「イランが核保有国となるなら、我らも核保有国となる」と警告している。

2010年12月
>ウィキリークスが公開した米外交公電によると、エジプトのムバラク大統領は、イランが核兵器を保有すれば、エジプトも核開発を行う可能性があると米国に伝えていた。

実は、2006年の段階から、エジプトは脱アメリカを志向してきた痕跡もある。

「世襲」に向かうムバラク父子の“反米ポーズ” (以下は2006年11月のニュース)
世襲説は、九月十九―二十一日の支配政党「国民民主党」(党首・ムバラク大統領)年次党大会で一気に現実味を帯びた。大会初日にガマル氏が約一時間の演説をぶったからだ。「原子力エネルギーを検討すべきだ」「『拡大中東構想』などを通じてアラブの団結を崩そうとする外国勢力の計画を拒否する」
※拡大中東構想とは、イスラム原理主義によるテロ防止の名目で、アメリカ・ブッシュ政権が提唱した中東支援政策

これを、ポーズと見るか本気と見るかで意見は分かれるが、少なくともエジプトは、欧米各国の身勝手な思惑が錯綜する中東において、脱アメリカの国家戦略を模索してきたのは確かだ。
※このエジプトの戦略転換に、ヨーロッパの(ロスチャイルドの)中東戦略が深く食い込んでいることは間違いないだろう。
脱米エネルギー戦略を模索した日本の田中角栄はCIAに潰された。
核兵器を持とうとした韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)は親米政権であったにも関わらず暗殺された。
イラクのフセインは、元々CIAが育てたエージェントであったが、アメリカからの完全独立を目指して潰された。
そのほとんどが「民主化」という大義名分の下に、潰されてきた政権だと言う事を忘れてはならない。
アメリカの強い後押しによって独裁政権が確立し、その独裁政権がアメリカの虎の尾を踏めばアメリカは必ず潰しに掛かってきた。
その意味で、エジプト政府によるインターネット閉鎖を「アメリカが開放を求めている」ことも額面通りには受け取れない。アメリカは「言論の自由」をエジプトと政府に求める一方で、ネット上の世論形成をコントロールする自信があるのだ。
今回のチュニジア、エジプトの事件も、独裁政権vs民主化運動という単純な対立関係ではなく、国際金融資本家による大きな政治力学が背景になっている。
<参考>
エジプト デモの背後に原発=核開発あり?
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=245041
「自由なネット」で親米政権が弱体化:米国の矛盾
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=245053
エジプトの若者からのメッセージ
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=245016
民衆による大統領辞任要求の背後にアメリカの思惑?~核保有をちらつかせていたムバラク大統領~
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=245034

List    投稿者 tnaito | 2011-02-03 | Posted in 未分類 | 1 Comment » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2011/02/1882.html/trackback


コメント1件

 svizra hermes handbags | 2014.02.03 5:13

hermes in the usa 日本を守るのに右も左もない | 近代科学の成立過程2~金貸しに都合のよい思想を過去から拝借したパクリ思想がルネサンス

Comment



Comment