謎の憂国者「ｒ」さん「財政赤字報道を疑う」の検証

2007年09月29日

謎の憂国者「ｒ」さん「財政赤字報道を疑う」の検証

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「喜八ログ」謎の憂国者「ｒ」さんの記事「財政赤字報道を疑う」の問題提起は興味深い。

新聞テレビは絶叫しています。「日本は今、巨額の財政赤字で大変なんだ！」　でもちょっと待ってくださいよ。新聞テレビは小泉政権発足以降「大嘘」ばかり付いてきた経緯がありますね。新聞テレビ「全国紙とその配下のテレビキー局」は「対米売国推進」の為に数々の「国策報道」を行ってきたように思うのです。そういった状況を鑑《かんが》みると…
日本が「財政赤字」であるってーのは「大嘘」なんじゃないのか？
「日本は大量に『米国債（アメリカ合衆国財務省証券）』を購入している！」その事実が「財政赤字は大嘘」を裏付けているような気がするのです。日本が保有する巨額で大量の「米国債」を資産として計上すれば？

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副島隆彦氏著の『ドル覇権の崩壊』(徳間書店刊)によれば、1985年の9月のプラザ合意の時の日米政府間の密約「１ドルは1100円を基準に上下10円の幅で動かす」があるとのこと。しかし、日本は貿易黒字、アメリカは貿易赤字なのでドル安圧力が常に働く。そこで、ドル高を維持するために、人為的に日米の金利差を３％以上にすることで、日本からアメリカに自動的に資金が流出する仕組みになっており、ドルが下がることを防いでいるということらしい。
「株式日記と経済展望」の記事「プラザ合意前後から、日米金利差はつねに３％」でも同じ記述がある。
また、日本政府の借金が増えれば円の信用力が落ち円安になる。一方、アメリカも財政赤字でドルの信用力も落ちるので、円ドルの為替相場は常に変わらないうように仕組まれている。日本の巨額の財政赤字(累積1100兆円)もアメリカに意志で計画的に作らされたものだと副島氏は言う。日本の財政赤字は、日本の国内要因だけではないと。
副島氏によれば、「アメリカと自民党との間で毎年、新規国債を毎年30兆円分は発行する（これには借換債としての分の20兆円ぐらいを含む）」という密約の存在が存在しているとのことである。日本のバブルの絶頂期1988年、日米構造協議で「今後10年間で340兆円の公共投資の実施をすること」と日本は約束させられた。バブル崩壊後は、アメリカの命令で公共投資主導、大型の景気対策を何度も実施した。
しかし、日本政府の公式発表による米国債保有残高は100兆円くらいしかない。一方、日本の国家借金は900～1000兆で、あまりに開きが大きい。何かカラクリがあるのでは？
副島隆彦氏著の『戦争経済に突入する日本』(祥伝社刊)によれば、

政府資料では公表されていないが、特別会計を使って分散して100兆円以上の米国債を買い、さらに政府系の金融機関を使って米国債買いをしているらしい。
日本の財務省が米国債を買うときは、日銀の海外事務所を使って米国債を買う。世界銀行に決済口座を持っているのは各国の中央銀行であるから、日本では日銀が通貨と通貨の間の資金の決済もやるしかない。
米国債を買うための資金を捻出するために、日本の財務省は発行した日本国債を日銀に買い取らせている（これは財政法違反）日銀は、国債を買い取るための資金を紙幣を印刷して捻出し財務省に引き渡す。財務省はこの資金を使って、日銀の外国事務所を使って「ドル買いという名の米国債買い」を続けるのである。
日銀と財務省の間で紙幣と国債という紙切れのやりとりをすることで、日本国債と紙幣の両方が膨れ上がる。しかし、この紙切れは日銀と財務省の間でやり取りされるだけで、日本国内の金融場面には登場しない。

まとめると、日銀が紙幣を印刷し、財務省発行の日本国債を買い取る。紙幣は財務省→日銀の海外事務所に送金され、日銀の海外事務所が米国債を買う。それによって日本の政府の借金と日銀の紙幣発行量が膨れ上がっていくが、それは帳簿上の数字にすぎず、日本の金融市場には流れない。
米国債の購入名義が日本政府なのか日銀なのかが定かではないが、もし、日銀の海外事務所名義であるならば、この米国債は日本政府の資産ではなく、日銀海外事務所の資産として計上されることになる。日本政府の借金は膨れ上がるが、米国債は日本政府の資産としては計上されない。しかし、それは日本政府が借金をして米国債を買っているのと同じことになる。同時にドル高も維持される。
もちろん、日本の財政赤字の原因が全てアメリカの借金の補填ではないだろう。が、日本政府の公式発表よりもはるかに多く、隠れ米国債を日本政府は保有している可能性は十分あり、その分日本の財政赤字が膨らんでいるということになる。「喜八ログ」謎の憂国者「ｒ」さんの話もあながち「トンデモ」とは思えない。
また、現在の円ドルレートは変動相場制であるというのはお題目にすぎず、実質は固定相場制であるらしい。実際、ユーロやカナダドルに対して急激にドル安が進んでいるのに、円ドル相場はさほど変わっていない。この点も、アメリカによる日本の金融支配の動向を読み解く上で忘れてはならない視点である。
（本郷猛）