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ロシアの現状から今後の動向を考察

ソ連崩壊後、冷戦時代は終わり、社会主義陣営の主導権はロシアから中国に代わり、また西側陣営の米国の制覇力は衰退し世界の秩序不安定化。その結果、世界の至る所で同類闘争が頻発する。
また、世界の産業界は新興国の飛躍もあり、民生需要が拡大し生産も国際的分業が進む。新興国でもある中国、インドは先進国と肩を並べる位の開発力や技術力を身につけ躍進してきている。
その中でかつての資源・技術大国であったロシアが民生産業から遅れをとっている点について、ロシアの現状把握と可能性について分析してみた。

現状のロシア
・ロシアはソ連崩壊後市場経済に移行、国内的に幾多混乱を乗り切り、地力発揮して国家回復発展を遂げてきた。
・ウクライナ侵攻で西側陣営(主要には米国)からの経済制裁は、これまでの資源蓄積や他国への輸出先を切替えで経済的落ち込みを克服。反対に西側陣営の方が激しいインフレに遭遇で苦境に立つ。
資源大国であり、産業も軍事、原子、宇宙の分野では最先端の科学技術力を現在も保有。
・ロシアの産業も民生産業に転換中。自国の資源・科学・人材を生かした産業変遷課題が必要。
・地政学的に世界最大の国土を有し多くの国と接する。北に位置する為海洋輸送可能な場所は少ない
・欧米先進諸国の様な企業間の共創、共進による民生産業を発展させる方向性が弱い

ロシアの経済状況と主要な改善点
・社会主義国家の計画経済から市場経済への移行に伴い混乱と突破すべき課題の設定。国営企業から民営企業への転換し、市場経済での競争力を確立する。
・軍事産業から民生産業への転換。海外企業の誘致又は提携し、特にサプライチェーンの整備を図る。
・民生産業の競争力の向上の為に、外資投資を加速させる。弊害である諸般の手続、認可の簡素化必要。
・金融機関、インフラが未整備な為、海外企業の進出条件の整備し投資促進しやすくする。
・豊富な理系人材の受け入れと、企業拡大を目指し受入れ条件(環境整備、待遇条件整備)を整備する。
・豊富な石油・ガス・鉱物・農業で得た国家財政の基盤を生かし、政府支出で企業支援体制を敷く。
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2012/08/20071005_155500_0276125.pdf [1]


豊富な資源を生かす経済成長
・ロシアの経済成長は1992年のDGPが2021年までに約30年で2.8倍まで伸びている。
https://ecodb.net/country/RU/imf_gdp.html [2]
・広大な国土、豊かな資源として石油・天然ガス・石炭・金・銀・ニッケル・鉄鉱石・ウラン等があり、世界の1,2,3位であり、国家の安定財政基盤を更に強化する。
・石油・天然ガスの資源輸出は6割を占め、一般政府の安定財政を賄う。更に政府系ファンドの原資、家計消費の拡大を図る。
・製造業で部品輸入が増えているが、輸出が伸びない。製品の競争力を付けて輸出力向上を目指す。
・輸出入の際、工業規格GOSTの承認取得負担が過大な為、より簡素化する。
・高度な技術力と効率生産を実現させ、付加価値を高める製造業への転換拡大が重要になる。
・海外投資(FDI)の拡大で製造業に対して投資増額に転換。
https://www.criser.jp/document/ciac/research/20/russia.pdf [3]
・製造業や金融機関も大手は国営が多く規制が厳しいため、規制緩和の条件を整備して進出企業との合弁を簡易にする。
https://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/inv-report_ja/2007/08/2965/jbic_RIJ_2007001.pdf [4]

民生用製造業の課題と方向性について
・設備投資のサイクルの遅れ。先進国並みの15年サイクル設備投資で新規製造機器による先端品生産。
・海外からの投資受入先を中国やインド並みに高める。
・民生製造製品の設計・エンジニアリングの優先度が低い。大学や企業での民生に向けた設計・エンジニヤリングの教育を推進する。

ロシアの労働環境の課題
・インフレ率の上昇(8~12%)、人件費の高騰が年10%以上発生。人材の離職率30%程度で在職期間3年程度、人材の定着率の改善が必要。
・旧ソ連時代の体制(指揮、権限、人事評価)が残る。トップダウンから自発的改善思考、個人主義的な専門思考から連携意識生産へ改善する。
マネージメント意識の指導で、企業経営の基盤づくりをする。
・高齢者の熟練工を生かして若手への技術の伝承を進める。OJTなどの若手への技術教育
・ロシアの大学で理工系の卒業生が45万人(世界1位)で理論・情報に長けた人材多く、特にIT分野の高さが好評かである。開発能力人材が多く有能な人材を生かした企業の設計・エンジニヤリングに生かし切る。
・企業の人材採用後の育成投資や環境整備を図り、人材の海外流失防止を優先課題にする。
https://www.nri.com/jp/knowledge/publication/cc/chitekishisan/lst/2018/05/06 [5]

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