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【企業を強くするには?】ホワイトすぎて離職?「ホワイト」の中身が変わっていく時代

いま、多くの日本企業の「組織風土」が著しく劣化し、活力を失い、沈滞している。だからこそ企業がこぞって社員の活力上昇・活性化・モチベーション向上などの施策に頭を悩ませている。

組織の活力・働き方改革が進む一方で、「ゆるい大企業」を去る若手たちがいるという。
ブラック批判、パワハラ批判が進む中で、働きやすくなっても辞めていく若者たちが後を絶たないようだ。
その原因と今後の組織の展望はどこなのか?を探りたい。

 

■「ゆるい大企業」を去る若手たち。ホワイトすぎて離職?働きやすいのに“不安”な理由
(参考:https://www.businessinsider.jp/post-252302 [1]

「若手の離職率がどんどん上がっている。しかも、社内では優秀とされる若手が辞めるケースも多くて、離職のアラームを察知できない」(小売大手の人事担当者)

「社内のキャリアコンサルタントへの相談件数は、20代の若手社員が特に増えている。仕事を覚えるのに必死なはずの若手社員が、キャリアに悩むなんて……」(情報通信企業の人事担当者)

こう嘆くのは、新卒採用では高い倍率を誇る「大企業の社員たち」だという。


同記事では、大企業における新入社員期の1週間の労働実態は、1999-2004年卒は「49.6時間」だった。その後は減少し、直近の新入社員(2019年卒〜2021年卒)では「44.4時間」と労働時間は着実に減少している。

一方で、「労働時間」だけでなく、「仕事の負荷感」についても、量(仕事量)・質(仕事の難易度)・関係性(人間関係のストレス)すべての負荷が低下傾向にあった

若手社員を対象に行った調査によると、現在の職場を「ゆるい」と感じている人が、全体の3分の1以上に上ることが明らかになった。叱られたことがない新入社員は「4人に1人」という。
「ホワイトすぎる職場」去る若者急増 「ゆるいと感じる」背景に…“仕事の負荷低下” [2]

大きな会社に入ってしまえば、安心だという時代ではない。職場でぬくぬくとしていると、このまま成長できるのか、大丈夫なのかと、不安になってしまう、ということだろう。一方で、ハードに働くのは「ブラック」という風潮も根深い。

 

■圧倒的な量の中から、質は生まれてくる。外圧と内圧は一体。

こうした、ゆるく、働かない社会の空気の中で、Twitter社のイーロン・マスク氏は「ハードコアに働けないやつは辞めろ」と発言した。(2022年11月16日)

「この先、ブレイクスルーなTwitter 2.0を構築し、競争激化の荒波を乗り切るためにも、われわれは極度にハードコアであらねばならない。つまり全力集中で長時間労働。いい結果を出せたやつだけが合格点だ。」

ストレスや過労で倒れては元も子もないのは前提として、本当の高い市場の生き残りの外圧の中では、時にハードコアも必要となる。その「圧倒的な量」の中で、初めて「質」が生まれてくるのも、まぎれもない事実だと感じる。いまは、それを制限・管理しすぎているようにも思う。

生物の歴史から見ても、「外圧=内圧」という関係がある。自らに加わる外圧があって、初めて内圧(内発的な意欲)が出てくる。だから、単に仕事の量や質という負荷を下げて、外圧を下げてしまえば、活力も下がってしまうという構造だ。

日本の歴史的にも、古来、生活の一部として仕事をしており、百姓という言葉は、農耕主体の社会において、100の細かい仕事をしているという意味。東洋的にはずっと仕事の中にいながら生きている。そうした感覚は特に日本人の深い根っ子にはあるのだろう。それらを切り離そうとすればするほど、活力は低下していく。

 

■工場労働的な価値観から、人間の創造力を活かす価値観への転換

では、どうすれば良いのか。
一つは、仕事は苦役=しんどいものという、工場労働的な価値観からの転換が、企業側にも、社員側にも必要だ。工場労働に適した「上意下達型の組織」は転機を迎えている。
現代のような、先の見通せない時代には、言われた通りにモノをつくればしまいではない。企業価値の源泉は、人の創造力となる。そして自らつくっていく自由闊達(かったつ)さが活力となる。

1/23日の日経新聞に「社員の声、聞こえてますか 物言えぬ組織は成長止める」という記事が掲載された。
ある転職口コミサイトの評価上位5%の企業のキーワードを可視化すると、

最多は「共感」。さらに「フラット」、「自由闊達」や、「前向き」、「スピード感」といった前進感や壁のない組織増が浮かんでくる。
一方で、下位5%には、「ワンマン」、「イエスマン」、「疲弊」、「人手不足」などの閉塞感が漂う。2つの企業からの成長力の差は鮮明だ。

不満や不安を持つ多くの社員も、本質的には、日常の仕事が面白くない・人間関係に不安がある・自分の能力に不安があるといった中にがんじがらめだ。だから、それ以外の休日と趣味を求めてしまう。

でも今や、いくら休日や余暇を充実させても、消費的な充足だけでは満足できなくなってしまった。(活力が出続けない)それは、消費や娯楽の市場が限界に来ており、学びや追求に人々の欠乏と市場の可能性がある、ことの表れでもある。

 

■「ホワイト」の中身が変わってきている

今、企業に求められているのは、目先的な、タイムマネジメントを軸とした「働き方改革」ではない。
新世代に重要なのは、活力を軸としたマネジメントだ。

★いまは共感を発展させた「共創」=一緒につくる、の欠乏が高い。みんなが頑張っているのは活力となる◎。一方、自分だけが頑張っている感、孤立している感は疲弊感を強める×。

★叱られても良い。ケンカしても良い。本音で言い合える、フラットで、自由闊達な組織が求められている。

★普段の現業だけでなく、多様な学びの機会や追求の機会があって、常に世界が広がっていく感覚も重要。

時間を削減するだけで社員の活力は上がらない。一人ひとりの活力を見つめ、それを高める施策が、勝っていく組織に求められる要素となる。

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