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スイスの強さの秘訣は何か?~武力?資力?それとも・・・~

国際経営開発研究所(IMD:International Institute for Management Development)が毎年公表する「世界競争力ランキング」で、毎年上位にランキングされるスイス。(2020年:3位。2021年:1位、2022年:2位)

アメリカのメディアU.S. News & World Reportが毎年発表している「世界最高の国ランキング」でもスイスは上位の常連国。(2019年:1位、2020年:1位、2021年:4位、)

『永世中立国』としても有名なスイスは一体どんな国なのでしょうか?
国としての評価の高さの秘密はどこにあるのでしょうか?
今回は、スイスの強さの秘訣に迫ってみたいと思います。


●軍事力

『永世中立国』と聞くと『平和な国』のイメージがありますが、スイスにも(当然のように)軍隊は存在します。
しかも、常備軍を構成するのは約4000名の職業軍人ですが、徴兵制度により21万名の予備役を確保しています。スイスは、国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用しているのです。
また、スイスは世界14位の武器輸出国でもあり、2020年に62カ国に輸出した軍需品総額は前年比24%増の9億0120万フラン(約1070億円)もありました。

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永世中立とは、あくまで、他国に対して武力を行使せず、また他国間の戦争にも参加せず、武力行使を義務とする同盟などは締結しないこと(局外中立)を誓約することであり、『武力』を放棄することではないのです。

もともと、農作物が乏しく、男たちが出稼ぎに出るしかなかったスイスでは、険しい山岳で鍛えた強靭な体力を活かす格好な働き口は、外国での戦争に傭兵として参加することでした。そのような歴史を受け、スイスでは19世紀初頭までは傭兵制度を国の産業としていました。(現在でも、中世からの伝統をもつバチカン市国のスイス衛兵のみは、「ローマ教皇のための警察任務」との解釈により、唯一の例外として認められています。)

●金融産業
国際比較において、スイスは世界を主導し、最も国際競争力のある金融の中心地です。
国境を越えて行われている資産管理の約4分の1がスイスで行われています。金融産業は、スイス経済を支える柱であり、その生産高は、国民総生産のおおよそ1割を占めています。

スイスの銀行の特徴として有名なのは「匿名性の高さ」
プライベートバンクでは、口座名義が番号になっていて、個人の名前が出ないような仕組みがありました。このような匿名性の高さから、保有資産を外部に漏らされたくない富裕層がスイス銀行を利用するケースが多く、世界中の富裕層の資産がスイスに集まるような仕組みになっています。
(一説によると、世界の個人資産の1/3がスイスで運用されているとも言われています。)

スイスは、傭兵から金貸しとなったテンプル騎士団が、後にスイスとなるアルプス山脈地域で勢力を拡大してできた国であり、現在もその特性を色濃く引き継いでいる(=武力と資力を武器として栄えてきた)のです。

そしてスイスは、冒頭で挙げた「世界競争力ランキング」「世界最高の国ランキング」に加え、「世界幸福度ランキング」でも上位の常連です。(2020年:3位。2021年:3位、2022年:4位)
さらには、スイス人は愛国心が極めて強いとも言われています。(国民皆兵という制度は愛国心の強さゆえ成立する制度。)

では、国としての強さと幸福度や愛国心にはどのような関係があるのでしょうか?

『武力』や『資力』とは、いわゆる、世界の中で“生き抜く力”。
そのような土台があるからこそ、幸福度も愛国心も高まっていくとも言えますが、スイスという国の出自を考えると、愛国心が最も土台になっているようにも感じます。

「愛国心」と聞くといまいちピンと来ないかもしれませんが、「みんなが集団発の発想で物事を進めていく=共同体性」と考えると、現在の日本人にもしっくりくるかもしれません。

考えてみれば、幸福度が高かったと言われていた江戸時代は、日本も共同体社会でした。

過去の日本でも、江戸時代には幸福度が高かったと言われていることを考えると、武力も資力(=生き抜く力)も愛国心も無い現在の日本(人)の突破口は、どのようにして愛国心≒共同体性を高めていくかがカギになるのかもしれません。

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