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【世界の力を読み解く】~大国ロシア その力の基盤は何か?3~ 

前回までに「【世界の力を読み解く】~大国ロシア その力の基盤は何か?1、2~」で、ロシアの科学力、諜報力の中身に迫りました。
今回は、ロシアの力の基盤「科学力」と「諜報力」を用いた、「ロシアの直近の動きと目論見を読み解いていきます。

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写真=iStock.com/masterSergeant


ユーラシア大陸攻略

今年の9月1日、米軍のアフガニスタン撤退が完了しました。米国を始め、欧米勢力が中東から撤退が進む中、中国が接近エネルギーやインフラ支援で中東諸国とのパイプを強めています。では、その中でロシアはどう動いているのでしょう。
ロシアは、米国のシリア攻撃に対して、シリア支援を続けてきました。そして、今年5月26日のシリア大統領選にて、アサド政権の再選が確定したことで、米国の外交失敗、中東撤退路線を作り出すことに成功しました。また、イラン、イラク、トルコへの武器支援によって連携を強め、とくにトルコの脱NATOへの誘導にもつなげています。これらのシリアとの密接な関係構築や地中海域を始めとした地域を掌握し、地中海の先のアフリカや欧州への睨みを効かせ続けているのです。

合わせて注目しておきたいのが、インドとの関係です。
近年、中国、米国、日本がインドへ接触を増やしていますが、ロシアとインドは、ロシアからの武器購入を続けるなど、ソ連時代から継続して、軍事面で緊密な関係を続けています。関係を深めている背景には、14年のクリミア半島併合による、欧州への天然ガス輸出の制約で、ロシアのアジアへの経済圏の拡大戦略があります。ただ、北極圏海域に加え、インドの先にあるインド洋、大西洋域への航路拡大戦略が主要な思惑として推測できます。


ソ連時代ぶりのアフリカ進出

近年のアフリカ情勢を見ていくと、中国が巨額投資による鉄道や高速道路などのインフラ整備にいそしみ、地下資源獲得へ動いているのが顕著です。
対しロシアは、冷戦時代にアフリカ各地に軍事拠点を設けていましたが、冷戦後撤退を余儀なくされていました。
しかし、プーチン政権は、2014年のクリミア半島併合による欧米諸国との対立を契機に、2019年に「ロシア・アフリカ首脳会議」、2020年11月にスーダンにロシア海軍の補給拠点を設ける協定を進めています。
目的は、①地下資源・金・ダイヤの権益獲得、②アフリカ友好国を増やし、国連での発言力獲得 と読めます。
これらの獲得に向けて、軍事協力によるアフリカ各国の掌握を進めていますが、武力支援と選挙工作を用いて政権支配を進め、ロシア派の勢力を拡大させています。
(ロシア、スーダンに海軍拠点計画 アフリカに再進出へ-日本経済新聞20年11月12日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66115680S0A111C2EAF000/ )
(ロシア、「最後の巨大市場」アフリカ進出に回帰 海軍拠点を設置、軍事顧問を派遣…米中仏と勢力争い-東京新聞21年2月1日 https://www.tokyo-gnp.co.jp/article/83367 )


ロシアのこれからの目論見は?
ロシアの力の中心にある、科学力と諜報力の源流から、現在の外交情勢の概略までを読み解いてきました。
これらの各国への働きかけをもとに、ロシアはなにを目論んでいるのでしょうか。

冷戦後、米国・欧米諸国を中心とした、マスコミによる資本主義社会への洗脳を元に世界秩序は成り立っていました。ですが、プーチンの大統領就任後、「強いロシア」の復活、そして中国・インド・ブラジル、ベトナムやキューバといった伝統的友好国をロシア中心に連帯させ、世界の相対的秩序を構築しようとしました。脱米国、脱市場(脱グローバリズム)を進めていくことに対して、中国と思惑は一致していたのです。

ただ、ロシアは単に領土の拡大を狙っているわけでもありません。また、中国が市場支配に乗り出しているのに比べ、ロシアは市場支配を目論んでいるようには読めません。
軍事力と諜報力で、多極同盟路線(民族自決路線)の実現を進める先に、ロシアが目指すものはなにか。
その時に、市場支配を進める中国と、ロシアの関係はどうなっていくのか。

 

次回、世界覇権争いで、ロシアと対を為し、特に世界の金融・市場支配を進める「中国」に視点を変え、世界の力を読み解いていきます。

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