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通貨が『創造』される仕組み

ネサラゲサラ法http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=363558 [1]では
>クレジットカード、住宅融資などの債務は、銀行および政府の(法貨を作ってきた)不法行為によるものである。ゼロにリセットされる。これは、連邦準備銀行(FRB)による債務の免除である。
>FRBを、財務省が吸収合併)
などが謳われている。これらは中央銀行や民間銀行の紙幣発行権は不法行為であり、無効だという見解に基づいている。

通貨が発行される仕組みは、学校教育はもとより、経済学でも全く触れられることのない領域である。基本的な仕組み及び歴史は「市場論・国家論5.金貸しから王侯・貴族=金主(奥の院)へ」http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=330390 [2]で明らかにされているが、現在どの様な仕組みで通貨が作られているかを明らかにしたい。
もともとの金貸したちは、金の預かり証を何重にも発行することで暴利を獲得してきた。
①貴族や金持ちが、金細工師や両替商に金・銀・財宝を預け、金細工師等が預り証を発行。
②金細工師等が発行した預り証が商人や貴族の商売上・貸借上の決済手段として使われ、預り証がお金と同じ機能を持って流通してゆく。
③両替商等は、預かった金銀財宝100の内、毎月返済に必要な量は10以下であることに気付く。そこで「余っている90を根拠に」勝手に預り証を作り、それを金欠の貴族や商人に(担保と利息を取って)貸し付け始めた。この瞬間こそ、金貸しが誕生した瞬間であり、同時に金貸しによる紙幣発行が誕生した瞬間である。しかし、夫々の金銀には既に預り証が発行されており、金貸しが勝手に発行した分は明らかに二重発行であり、詐欺である。そして、この詐欺こそ、金貸し(現代の中央銀行)が無から有を生み出す錬金術の秘密である。彼らはこの詐欺行為を信用創造と称している。

現在はそれをさらに「洗練」させ以下のような仕組みで信用を「創造」している。
【中央銀行による通貨発行】
通貨とは紙幣+硬貨+「預金」を指している。
一般に誤解されがちな事柄だが、現在の中央銀行は紙幣の印刷や償却によって通貨を増減させることは殆どない。中央銀行の通貨の増減のさせ方は主に民間銀行との取引を行い、帳簿上の数字を増減させる方法で行われている。
そして主要な方法として、①民間銀行等への貸し出し②民間銀行等からの資産(国債など)の購入等の手段が用いられている。

以下具体的に見ていく
①民間銀行に資金を貸し付ける場合
民間銀行は中央銀行に当座預金を持つことが義務づけられている。仮にそこに10兆の当座預金があるとする。そして、中央銀行が民間銀行に5兆の貸付を行ったとする。
その場合中央銀行、民間銀行の帳簿は次のようになる。

中央銀行の帳簿には資産側に「貸付金5兆」負債側に「中銀預金5兆」(中銀にとって預金は返済義務があるので負債項目となる)が記載される。そして、その瞬間に5兆分の、中銀預金という「通貨」が「新たに無から」発生する。この貸付金5兆は資産を取り崩して貸しているわけではない。また銀行の当座預金から資金を移動させるのでもない。中央銀行の帳簿上で、資産の貸付金が「無」から作られ、同時に発生する負債の中銀預金も「無」から発生させているのである。

逆に民間銀行は、5兆の中銀預金が資産として新たに発生し、貸付原資などに用いることが出来る。この際、元の銀行の中銀当座預金は一円も減っていない。
これが複式簿記の原理(操作)を用いて、貸し出しによって通貨を作り出す「信用創造」の仕組みである。

②国債等の資産購入
資産側に国債5兆、負債側に銀行の中銀預金5兆が記帳される。
同じくこの瞬間に5兆の中銀預金という通貨が新たに生まれたことになる。
これらを表にすると以下のようにになる。

<中央銀行>
資産          負債
現金等 10兆      銀行の中銀預金10兆
①中銀貸付 貸付  5兆(発生)   銀行の中銀預金 5兆(発生)
②国債購入 国債  5兆       銀行の中銀預金 5兆(発生)

<民間銀行>
資産          負債
中銀預金 10兆     顧客の預金等 10兆
①中銀貸付 中銀預金  5兆(発生) 中銀からの借入 5兆(発生)
②国債購入 中銀預金  5兆(発生) 中銀に国債売却 5兆

この①+②の過程で当初10兆だった中銀預金という通貨は中央銀行と民間銀行の帳簿の中で20兆に増加した。このようにして中銀は世の中に通貨を作り出しているのだ。
逆に通貨を減らすには上記の逆、即ち銀行の返済、日銀による国債の売却を行えばよい。この場合も返済した金額は銀行から日銀への資金を移動したのではなく返済分は「消滅」したと扱われる。貸付によって「発生」した通貨は返済によって「消滅」するのである。

日銀の場合2013年以降量的緩和政策によって2015年末までに通貨=紙幣+硬貨+中銀預金を150兆から350兆へ約200兆増加させた、この間紙幣、硬貨は殆ど増えておらず、殆どが中銀預金の増という形での通貨が「創造」されている。

【民間銀行による通貨発行】
原理は中央銀行と同じである。通貨を創造する手法としては①企業、個人への融資②社債・株式等の購入がある。その場合取引企業、個人の「振込(預金)口座」を銀行内に作らせる。
例えば5000万の融資であれば、銀行は資産側に貸付5000万、負債側に負債である「預金」(振込口座)の項目に5000万が記帳され、それによって「預金」という通貨が「新たに無から」発生する。
このようにして作られた通貨(「預金」)は日銀預金の4倍以上に及ぶ。

以上に見てきたような方法で銀行は無から通貨を発生させ、市場を牛耳っているのだ。これは複式簿記を利用したトリックとも見えるし、操作上発生した通貨は単なる帳簿上の数字という観念上の産物に過ぎないようにも見える。しかし現実にこの通貨は、納税などの公的決済と認められ、国家が法的に保証していることによって実際の購買力を生じさせているのだ。

またこの仕組みにより、同じ金貸しや金融機関でも、預金を持たないサラ金や証券会社はこのように通貨を「創造」することは出来ない。これは、株式会社である中央銀行含め民間の銀行業だけに認められた特権なのである。

参考:「世界を騙し続けた詐欺経済学原論」天野統康著

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