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日本経済が優位になる時代

コロナ後の(混乱期を経た後の)世界経済はどうなるのか、以下、「週刊事実報道」275号より転載です。

新型コロナ以後の時代について新自由主義やグローバル資本主義にかわる新たな価値観が登場すると予測するエコノミストは少なくない。「2000年代に入り加速した、株主の近視眼的な利益だけを過度に重視する「新自由主義・グローバル資本主義」が大きな転換点を迎え、中長期的により持続性が高い、従業員や顧客、取引先、地域社会、地球環境、将来世代など様々な側面にバランスよく目配りをした「ステークホルダー(利害関係者)資本主義」が主流になると考えている」。こう予測するのは、大和総研チーフエコノミスト熊谷亮丸氏だ。

エコノミストという立場上、市場寄りの表現になっているが、例えば「ステークホルダー資本主義」とは、「共同体」の資本主義、あるいは「資本」ではなく、「共同体原理」と言いかえてもいい。全世界的で目には見えない欠乏を対象とするグローバル資本主義でなく、直接やり取りする共同体的関係を重視した経済活動に替わるというように捉えたほうがより「日本的」になる。

重要なことは、リモートでは済まない共同体的なやり取り。対面でより深い共感の必要がやはりある。熊谷氏はキリスト教発祥の労働苦役に対して、日本の労働は「神事」とさえ言う。確かに、働くことを尊いこととするのが日本の価値観だ。

経済活動は、全体が縮小しながら、深い共感に移行すると考えれば、熊谷氏が指摘する「分散型ネットワーク」が地域経済のことだと理解できる。何となく対価を払うのではなく、互いにこれが必要というものに価値を見出し、購入や利用につながる。その場合「地域」というコンパクトな集団内での結びつきがより活性化する。

確かに日本の商取引は、信頼感の比重が高い。経済効率、利益優先ではない持ちつもたれつの相手を思いやる商売。もうかれば社員や地元に還元するという経営者は少なくない。

市場原理が他の業態は、その多くがあおられた消費を前提にしており、無くなるものも少なくない。新型コロナ騒動はそのはかなさと虚しさに気づくきっかけとなった。

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