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ベーシックインカムを実験導入したフィンランドからの報告と今後の可能性

2年前、北欧でベーシックインカムの実験導入が行われた。(参考 [1]

その報告が、「フィンランドの国民年金機構Kelaと社会保健省」からは2月8日、実験が行われた2年間のうち1年目の調査結果を発表した。2年目の結果は来年早々に発表される予定だ。

フィンランドの国民年金機構Kelaと社会保健省の発表は以下のとおり(詳細はこちら [2]

The basic income experiment did not increase the employment level of the participants in the first year of the experiment. However, at the end of the experiment the recipients of a basic income perceived their wellbeing as being better than did those in the control group. The results are to some extent preliminary, and it is not yet possible to draw any firm conclusions regarding the effects of the basic income experiment.

上記報告によれば、ベーシックインカムの導入実験最初の年での結果は、参加者の雇用意識の引き上げまでは行かず、しかしながら、参加者の幸福感が上昇していることが分かる。上記グラフでは、ベーシックインカムの受信者の56%が幸福感や健康状態を良好または非常に良好であると回答している。これは非受給者に比べて10%も少ない。またストレス(不全感)は受給者の17%が感じているが、非受給者の25%に比べ、値は小さい結果を示した。

実験1年目の結果から注目すべきは、受給者が感じた“幸福感”だ。

つまり、お金を稼ぐために働かざるを得ない状態から人々の意識が解放されたということだ。人々が私権観念、私権制度から脱するには、まずは貧困或いはそれに近しい状態、すなわち否も応もなく私権第一、お金第一の価値観から解放されることにある。ベーシックインカム導入実験1年目では、少なくともこの状態から解放されたと感じる人々が過半数に至ったという点は、私権制度から人々を解き放つ力をベーシックインカムが有していることが分かる。

ベーシックインカムの導入はまだ試行錯誤であるし、この導入によって人々の意識が変っていくのは、まだ少し時間がかかるだろう。

しかし今回のフィンランドをはじめ、欧州では実験がさかんに行われているし、イタリアではコンテ内閣が1月17日、連立を構成するポピュリズム2党の選挙公約を施行する政令を採択、近く公示される見通だ。なぜ諸国がベーシックインカムを導入しようとしているのか。それは、金貸しによる中央銀行制度を崩壊させていくだけでなく、人々の意識を根源的に解放する可能性があるからだ。

現代人にとって「働く=苦役」が刻印されている。
実際にはそれほど苦しくないが、少なからず私権の強制圧力が加わっており、頭の中は強制圧力にしか反応しないように作られてきた。現代人にとって働くとは強制圧力に抗じる活動なのである。
逆に余暇が楽しいのは強制圧力から開放されたからに過ぎない。

ベーシックインカムが導入されると、この強制圧力がほぼゼロにまで小さくなる。と同時に、全く新たな問い「人はなぜ働くのか」を突きつけられる。その意味が見出せなければどんどん活力を失い、生きていることすらできなくなるだろう。その問いは決して哲学的、宗教的な問いではない。
私権時代に人々を締め付けてきた強制圧力から開放される事に過ぎない。
そのヒントは先の問いの中に隠されている。

発想を個人発から集団発に変えるだけである。

現実的にも働く現場は個人ではなく殆どの場合チームであり、集団であり組織である。つまり働くとは集団として世の為、人の為に何ができるか、その集団に自らはどう貢献できるか、それにかかっている。

るいネット「ベーシックインカムが導入される⇒人々は「働く」意味を考える⇒働く意味とは何か? [3]」より引用

自分のために生きる(働く)という社会から、社会の皆のために生きる(働く)社会への転換が、現実として動き始めている。

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