前回の記事リンク [1]では、人類の歴史を振り返りながら、人々の置かれている状況に深く同化し、潜在的期待に期待を掴むことが追求力の源泉であることを明らかにしてきました。
ここで直ちに出てくるのが、「相手に深く同化するにはどうすればよいのか?」という疑問です。
仕事仲間やお客さんの期待を捉えようと心掛けていても、知らず知らずのうちに自分都合のことばかり考えていた…というケースも意外と多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、相手に同化し追求していくために転換すべきポイントについて考えていきます 😀
■同化とは何か?
そもそも「同化する」とはどういうことなのでしょうか?原点に立ちかえって、押さえておきます。
/> [2]自給期待と日本の近未来13リンク [1]でも書かれているように、同化能力とは、「「対象の状況や言葉からその背景にある欠乏を掴み、互いの状況を同一視する事ができる能力」であり、「「人類の最基底部にある適応本能として、原初から持ち合わせている能力」です。
生物界で最弱の存在であった初期人類は、絶望的ともいえる外敵や自然の外圧を前に、森羅万象に対して同化を試みつづけ、その背後にあるメカニズムを読み解くことで、火を道具とし、弓矢を発明し、農耕技術を身に着け、生き延びてきました。
現在はそのような強烈な生存圧力はありませんが、例えば、赤ん坊は大人のやることをどんどん真似て、生きるために必要な能力を身に付けていきます。また、一部の原住民の社会では、物事は人の行動を注意深く観察し、同化することで自然と身につくことであると考えられており、事実、そのようにして狩猟や生活用品の作り方を身に着けていくのだそうです。まさに、自分=相手であり、そこには自分にはできないというような不可能視もありません。
つまり、同化能力とは誰もが持っている能力であり、心を空にして相手を対象化し、対象に肉薄すれば、対象に同化できるということです。
参考
対象への同化について [3]
意識するのは正確さよりも同化。同化すれば正確に伝わる [4]
ヘヤーインディアンの社会に学ぶ「同化教育」 [5]
■同化を妨げているものは何か?
そうは言うものの、現実には、相手に期待を掴むことができない、自分のことしか考えられない等、同化できない場面もあります。では、そのような同化を妨げているものは一体なんなのでしょうか。
[6]実は、同化できない人や同化できない状況に共通している構造があります。それは自分屋、批判屋になってしまっているということです。
・自分屋:自分の認識や成功体験に固執し、自分発の色眼鏡をかけてしか対象を見ることができない意識状態や人のことです。
・批判屋:何に対してもとにかく批判するばかりで、どうする?と追求しない意識状態や人のことです。
そして、自分屋、批判屋の意識の深層にあるのは、「自我・私権」であり、その根本は「否定意識」です。
自我・私権にとらわれていては、仕事で成果もあげられず、成長も見込めません。
常に自分を高く売り込むことしか頭になく、自らの認識や成功体験に固執し続け、結局は自分のことしか考えていないので、相手を対象化できない=同化できない状況に陥っています。当然、まわりのみんなの足を引っ張り続けることになりますが、本人はその自覚もありません。
また、否定意識にとらわれると、追求しても常に表層に留まり、屁理屈しかでてきませんし、相手を充足させるのではなく、相手を貶め、自己満足してお終いになってしまいます。それは、表層回路にすぎないという証拠です。
否定意識は、幼少期の仲間関係がうまくいかず、他者否定、自己正当化に陥ることで強く形成される意識であるがゆえに、転換が難しいものですが、意識の深層にある否定意識を転換させない限り、同化もできず、追求力の獲得にも至らないということです。
■否定意識を危機意識に塗り替える
社会的期待を捉え、そこに応えていくことが最大の活力源である時代に入った以上、自分屋、批判屋は、社会の足を引っ張る存在でしかありません。
[7]例えば、反原発運動はその最たる例でしょう。確かに、震災以降、原発の存在は誰もが危機だと感じており、反原発運動も盛んに行われています。しかし、ただ原発やそれを推進した政府、企業を「批判するだけ」で、具体的な変革案は提示されていないのが実態です。
大衆の危機感を感じとり、大衆の期待に応えて、脱原発を本気で実現していこうとすれば、現在のエネルギー消費社会や、大量生産大量消費社会に対してメスを入れていくことが不可欠なはずです。さらに言えば、目先の運動を煽動することで、本来追求すべきことから目を反らせてしまい、変革を遅らせてしまっているといえるでしょう。
ですから、社会的な期待に応えていくためには、まずは、その否定意識を払拭することが不可欠です。
その突破口は、一旦自分のことはゼロにして、仲間や社会の様子を注視し、周りの期待や欠乏を感じ取り、潜在的に皆が感じている危機感を看取していくことです。
そして、潜在思念で危機を感じることができれば、状況や相手の想いに同化することも可能になりますし、言葉になっていない危機感に同化する中で、鮮明な危機意識として顕在化し、具体的な突破方針を求めて360度の追求に向かっていくことができます。
[8]先にも述べたように、人類は進化の過程で、相手の潜在的な期待を掴む機能や、そこに徹底して応え充足する機能を適応本能として獲得してきました。つまり、この能力は誰もが持っている能力なのです。頭の先にある否定意識がそれを妨げているに過ぎません。
同化を妨げている否定意識を取り払い、人類、社会、集団の危機を感じ取り、危機意識に塗り替えさえすれば、誰でも対象に同化し、追求に向かっていくことができるのです。