2013年06月01日

新概念を学ぶ12~哺乳類と原猿の集団化の違い

前回は、これまでの本能進化の原因となった『本能の限界』と、原猿が陥った本能の進化では対応出来ない『本能の混濁』はどう違うのかを学びました。今回は、原猿の集団化と哺乳類の集団化の違いについてです。

実現論前史ニより抜粋

彼らは恒常的に飢えの苦痛に苛まれ、いつ襲ってくるか分からない敵=首雄の攻撃に怯えながら暮らしていたが、それらの極度な不全感が生命の根源を成す適応欠乏を強く刺激し、生起させた。加えて、恒常的に強力な危機逃避回路(未解明だが、おそらくアドレナリンetc.の情報伝達物質)が作動する事によって(これも未解明だが親和系のオキシトシンetc.による性封鎖力ともあいまって)性闘争が抑止され、それによって、モグラ以来性闘争物質によって封鎖されてきた追従本能が解除された。かくして、不全感の塊であった境界空域の弱オスたちは、適応欠乏に導かれて強く追従本能に収束する。しかし、互いに追従し合っても、誰も(縄張りの確保あるいは不全感の解消の)突破口を示すことは出来ない。そこで、わずかに可能性が開かれた(=不全感を和らげることのできる)親和本能を更に強化し、追従回路(アドレナリンetc.)に親和回路(オキシトシンetc.)が相乗収束した依存本能に収束してゆく。つまり、「縄張りを持たない敗者たちが互いに身を寄せ合う」。

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原猿が共認機能を獲得して真猿に進化する前の段階は、実現論にも『親和本能を強化し(中略)依存本能に収束していく』とあるように、原猿の行動も本能の範囲にとどまっています。この原猿が身を寄せ合った時の意識状況と、一般の集団哺乳類が集団をつくっているときの意識状況はどこが違うのか追究します。

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1.一般の哺乳類の集団化
一般哺乳類の集団化を見ると、馬や牛、羊などの草食動物は攻撃力の高い肉食動物に対抗するために集団化し、オオカミやジャッカルなどの肉食動物は逃げ足の速い草食動物を狩るために集団化しました。集団化する事で本能の限界=攻撃力が弱いことや、足が遅いことを克服し適応力を高めることができました。

一般哺乳類は集団化する事で本能限界をある程度乗り越えることができましたから、外敵闘争に対応できる程度の集団ができた時点で、それ以上に親和本能を強化する必要性は無くなります。さらに、外敵闘争をしている時は、性闘争本能は刺激されません。例えば繁殖には血みどろになるまで戦う鹿の雄も、日常的は外敵に対抗するため集団をつくり性闘争は行いません。外敵闘争が生存圧力に中心になる一般哺乳類は、性闘争本能を押さえ込みやすい状況であり、親和本能を強化したと言っても、原猿に比べれば親和本能の強化の程度は小さいと言えます。
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2.原猿の集団化(第一段階=性闘争を抑止)
原猿は、本能に従っていれば、縄張りを確保出来ず死ぬはずの過酷な生存状況のまま、ぎりぎり死なずに生き延びてしまう状態でした。この過酷な状況=苦痛を少しでも和らげるために親和本能を強化しました。原猿の場合は集団化するのが目的で親和本能を強化したのではなく、苦痛を和らげるためにオキシトシンを大量に分泌する事を求めて親和回路に可能性収束し、親和回路を発達させました。

これだけでも、一般哺乳類よりも親和回路がより強く発達する事になりますが、原猿の弱オスは、不全の源泉がボス猿との性闘争・縄張り闘争ですから、性闘争本能が強く刺激されています。ボスザルとの性闘争、縄張り闘争に直面しながら、ボス以外の雄との間に働く性闘争本能を押え、親和回路を働かせることは非常に難しいと言えます。従って、原猿は一般の集団哺乳類以上に親和本能、追従本能を強化する必要がありました。

原猿の親和本能強化の第一段階である、『性闘争を抑止し(中略)強く追従本能に収束する。』状態に達する段階で、既に一般哺乳類よりも数段強く親和本能を強化し、親和物質であるオキシトシンの分泌量を増やしていると考えられます。しかも原猿の親和回路強化はここで終わりではありません

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3.原猿の集団化(第二段階=依存本能に収束)
一般哺乳類は性闘争を封鎖し、集団化した時点で本能の限界をある程度は乗り越えることができましたが、原猿の弱オスたちは性闘争本能を封鎖してもボス猿から追われる状況はなんら変わらず、本能不全は未だに解消していません。この不全感を解消するために原猿は『親和本能を更に強化し、追従回路(アドレナリン)に親和回路(オキシトシン)が相乗収束した依存本能に収束していく。』という状態まで進みます

依存本能は、オスメスが分化していく過程で、闘争存在であるオスの庇護本能とセットで、生殖存在である雌の依存本能という形で登場したと考えられます。そして、雌雄分化が進むのに合わせて庇護依存本能は強化されてきました。雌が子育てをする哺乳類は、子育て中の雌が雄に依存する、子が親に依存するという形で依存本能が強化されています。この依存本能は雌が子供を保育する親和本能を強化することでつくり出されており、主要な脳内物はオキシトシンです。従って庇護依存本能が作動しているときには、大量のオキシトシンが分泌され、非常に強い充足感が得られています。

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哺乳類は一般的に他の生物に比べ依存本能を発達させていますが、成体の雄が他の成体の雄に依存すると言う行動は一般の哺乳類では見られません。一般哺乳類の依存本能は必ず庇護本能とセットであり、庇護してくれる相手に依存する形になっています。原猿は、庇護してくれる存在が不在であるにも係わらず、成体のオス同士で依存本能を作動させ、日常的に親和行為を行うことで大量のオキシトシンの分泌を可能にしたのです。それほど強い充足感でなければ、本能不全の苦しみを押えることはできなかったとも言えます。

一般哺乳類には雄が集団をつくるものもいますが、それらは依存し合うという意識ではなく、親和物質で性闘争本能を抑止し追従本能で集団化し、序列原理で秩序化していると考えられます。一般哺乳類は繁殖期だけに性闘争本能を働かせる発情期と、一度戦って勝敗が付けばそれ以上闘争を続けない敗従本能をつくりだし、その勝者に敗者が従う序列原理で集団を秩序化しています。
参考:新概念を学ぶ9~新たな集団本能=親和本能の獲得

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まとめ
哺乳類は外敵闘争のために集団化。性闘争が刺激されないので比較的弱い親和回路で集団形成が可能。集団をつくることで本能限界を超える事ができ、それ以上の親和回路強化も不要だった。

原猿は本能不全の苦しさを紛らわすために親和本能を強化。恒常的に働く性闘争・縄張り闘争本能を抑止するために、強い親和回路が必要だった。

親和回路を強化しても本能不全は克服できず、より強い充足を得るために、成体のオス同士で依存本能を働かせ、一般哺乳類には見られないオス同士の親和行為により、大量のオキシトシンが分泌できるようになった。

原猿たちは親和本能を強化し、さらに依存本能を強化することで、本能の混濁から来る強い不全感を和らげることが出来ました。とは言え、ボスザルから追われ、恒常的に飢え、そして、おびえている現実は何も変わっていません。原猿はどのようにしてこの状況を突破していったのでしょうか。

次回は、原猿が本能の混濁を乗り越えた方法を追究します。

List    投稿者 nodayuji | 2013-06-01 | Posted in 13.認識論・科学論No Comments » 

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