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あじさい(紫陽花)革命に可能性はあるのか?(6)~自我パラダイムから脱却できないから思考停止する~

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みなさんこんにちは。
『紫陽花革命に可能性はあるのか?』という本シリーズも、大詰めです。
先回までは、歴史的な市民運動の構造を学び、脱原発デモとの相違点や類似点を探り、その可能性を探ってきました。
紫陽花革命に可能性はあるのか?(1)~貧困(飢餓)の圧力を前提に、民主主義イデオロギーに導かれた社会運動~ [1]
(2) 左翼イデオロギーに扇動された’60年安保闘争と’69年全共闘運動 [2]
(3) ’85年以降、左翼から従米へ転向した日本のインテリ階級 [3]
(4) 脱貧困の素朴な願いが民主主義を媒介して、自我・私権欠乏にスリ変わる [4]
(5)金貸しが大衆を利用するための民主主義:大衆には名前だけの民主主義 [5]
今回は、運動の背景にある『思考』に焦点を当て、追求していきます。
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まずは前回同様、3/11の「なんでや劇場」で展開された議論の要約です。

大衆がついてこないのであれば、「それはなんで?」と追求し「大衆は何を求めているのか?」と同化して考えるのが正常な思考であるが、現在の活動家は何も考えていない。200年前の古い民主主義思想にしがみついたまま思考停止している。
思考停止しているのは活動家だけではない。学者マスコミも同様である。
文系学者は言うに及ばず、科学者も断片的な構造法則を宇宙に当てはめて宇宙の起源を云々しているが、そんなものは頭を使っているうちに入らない。つまり根本追求に向かわず、既存の体系をそのままにして細分化された専門領域での目先の追求か、矛盾を取り繕うための詭弁の追求しかしていない。

                        
紫陽花革命は、いまのところ動員規模拡大中で、上手く行っている様に見えます。しかしそれは、大衆の素朴な願いの「強さ」が最大要因でしょう。(主催者の新しい理論探索などはまだ見受けられません。)
学者はどうでしょうか?
原発の安全神話を捏造したのは学者。原発推進の根拠にもなった「地球温暖化CO2原因説」も学者の捏造です。
彼らは、思考停止どころか、金貸し支配体制を強化する手先として、大衆を口先だけで騙す大衆の敵なのです。
また、上記にある「宇宙の起源」をさぐる科学者たちは、どのように思考停止しているのでしょうか?簡単に事例を挙げてみます。
★断片的な構造法則による宇宙論とは?
現在の宇宙論は、ビッグバン理論が主流であり、アイシュタインの相対性理論を元に仮説立てられた「重力」のみに頼って作られています。
この「重力」は電磁気学とうい別の分野の理論を、アインシュタインが宇宙的スケールに当て嵌めたものであり、断片的な構造法則の組み合わせにより、ビッグバン理論が成立していると言えます。
その結果、矛盾を孕んだ理論となり、それを無理やり整合させる為に作り出されたのが「ダークマター」や「ダークエネルギー」等の仮説というわけです。 参考:ダークエネルギー Wikipedia [6]

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今や誰も根本追求に向かわず、全人類的に思考停止している状態が続いている。何故、このような思考停止に陥ったのか?
「10/9なんでや劇場3 現在求められているのは、共認収束の新パラダイムに則った観念」(リンク [7])で明らかにしたように、各時代が求めるパラダイムの軸上にある思想しか登場しない
近代思想も近代科学も市場拡大→自我パラダイム上の認識であり、17世紀にニュートンやデカルトによってその基本パラダイムが登場して以降は、そのパラダイム上の認識しか生み出されなかった。一旦出来上がった思想は、それ以降はほとんど進化していない。つまり一定の答えが出ると、部分的な改良がなされるだけで、それを大きく覆す認識は出てこなかったのである。

                   

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では、ニュートンやデカルトの基本パラダイムを復習しておきましょう。
★ニュートンが創りあげた自然科学の観念パラダイム…絶対時間・絶対空間
万有引力の法則で有名なニュートンは、古典数学を完成させ、古典力学を創始した。その観念パラダイムとは、対象と独立した(無関係の)絶対時間と絶対空間を尺度として物理量を把握したこと。ニュートン以降今日まで、自然科学の物理量はこの観念パラダイム上で捉えられてきた。
★デカルトの観念パラダイム
「我思う、ゆえに我あり」は哲学史上でもっとも有名な命題の1つ。当時の保守的思想「スコラ哲学」の教えの「信仰による真理の獲得」ではなく、「人間の持つ理性によって(自我を原点として)真理を探求する」近代哲学の立脚点を表現している。自我を原点とする思想は、「個人主義」をはじめとして「民主主義」をも導く理論的根拠になった。
 参考:近代科学の史的総括1~市場拡大とともに自我肥大し、自然を支配(破壊)してきた近代科学 [8]
    魔術から近代科学へ4~物活論(有機論的全体論)→魔術→ニュートンへ [9]
    魔術から近代科学11 キリスト教→近代科学の時空認識および終末論的熱力学の陥穽 [10]

現在求められている新理論の構築は、不可能に近いほどの超難課題」というのは、古代から近代を含めた私権時代の全パラダイムの転換だから、至難の業であるという意味である。
根本追求→新理論構築に向かわず思考停止している直接の原因は、自我パラダイムにあるが、これから自我パラダイムから脱却し、同類圧力のみを源泉とし、期応収束⇒課題収束する若者が増えてゆく。それによって超難課題である新理論構築も突破できるだろう。

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私権時代とは、略奪闘争の勃発以降1970年までの約6000年間のことで、誰もが第一義的に私権獲得を目指していた時代ですが、貧困を脱して40年経った現在は、かつてとは違ったパラダイムの中で私たちは生きています。
そして、次代を担う若者に、その可能性の萌芽を見い出すことができます。
★課題収束する若者
最近の若者は、単に楽しいとか面白いだけで仲間集団に収束しきる事はできず、他の仲間に認められようと、人の役に立てるものは何か、どうすれば人を助ける事が出来るのか、人に喜んでもらえる仕事や課題は何なのか?という意識が強い傾向があります。
例えば、バイトをしている若者は、社員や友達等の仲間と一緒に、集客や営業などの課題にも踏み込む事を通じて、社会で必要になる能力を磨くケースが多くあります。
このような学生たちは明らかに、課題収束⇒能力欠乏を経て、より大きな圧力を求めてバイトに収束しています。
これはかつてのような私利私欲が原動力ではなく、仲間や人の期待に応えること、更にはその先の社会で役立つことが最大の充足源になっていることの顕れです。
・・・どうですか?この様な若者なら、確かに、新理論構築の壁を突破できそうですよね♪  
最後に、課題収束の直近の事例として、全国各都道府県で行われている反原発の学習会の様子を見てみましょう。(紫陽花革命がその広がりを加速した面もあるでしょう。)
一足飛びに新理論構築には到達できなくても、ようやく思考停止状況を乗り越える一歩目が始まっているのかもしれません。
★反原発の学習会
学習会では「そもそも原発とは何なのか?」「放射能って何?」「何が怖くて、何が安全なの?」・・・
このような基本的な知識を得ることから学習を始め、そこから、これからどうしていけばいいのか、放射能汚染瓦礫はどうすればいいの?など議論しているようです。さらに、地震や原発の専門家や被災者を講師として招き、講演なども行い、多様な内容で開催されています。そしてその会の後にデモを行うことが、共通の流れのようです。
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  ・原発反対秋田デモ実行委員会 「こうして原発は導入された」 [11]
  ・伊方原発をとめる会「福島をくりかえすな!原発被害者・避難者の声を聞こう!」 [12]
  ・京都反原発めだかの学校「CO2地球温暖化説は原発推進のため」 [13]
  ・原発とめろ!新橋アクションのブログ「ドイツから見たフクシマ ~反原発運動に学ぶ~」 [14]
これら、大衆の主体的な学びの延長線上で、今後必ず必要のなる『事実の社会構造』を解明する動きにつながっていくことを期待したいと思います。
次回はいよいよ最終回! 
引き続き、なんでや劇場の議論内容から学び、紫陽花革命の可能性を見極めたいと思います。 ・・・お楽しみに

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