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『民主主義』『市民運動』という騙しとその犯罪性 5 ~社会を対象化するには?

前回は、「社会運動の騙し」を扱いました。近代の社会運動も私権獲得が目的です。そして、これらの運動は現実を直視することなく理想社会だけを描いており「社会の構造を殆ど考えていない」という実態が明らかになってきました。
今回は、「社会の構造を捉えるためにはどうしたらよいのか?」を考えていきます。
そのためには先ず、人々の頭の中には現実を直視できない認識上の欠陥が潜んでいることを理解する必要があります。
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■「頭の中の自己」から「実現対象」への追求ベクトルの転換
   自主管理への招待(4) [1]より引用

自らの存在を現実に実現してゆこうとすれば、常に現実の対象世界が立ち現れる。そこでは、まず対象世界の構造を把握し、自己を実現し得るような対象的基盤を獲得してゆかなければ、何も実現することはできない。だが近代思想は、このような対象世界の実現の構造を何ひとつ見極めようとせず、むしろ常に対象から目を背け、現実から逃避して、頭の中でだけ「現実」を否定し「自己」を美化し続けてきた。いま求められているのは、<自己から対象へ>の認識ベクトルの転換である。
人間と社会の存在の本質を成しているのは、生産と労働である。だから、現実の生産を捨象した「社会」は、本当の社会ではない。現実の労働を捨象した「個人」は、もはや個人ではない。しかし、近代の運動は、このような本質的な生産活動とその現実的な社会対象を、ほぼ一貫して欠落させ、代わりに無内容な自意識だけを際限なく肥大させてきた。要するに近代人は、現実の中に可能性を求めるのではなく、現実とは逆転した、自己の観念空間に自足の場を求めてきたのである。
かつて奴隷は武力によって支配され、自己の社会的な実現の可能性を全面的に剥奪されていた。対象を失った彼らの人間的な欠乏(欲望または願望)は、現実に閉塞されて内面へと転倒し、全ての現実(俗世)に背を向けてひたすら自己内部の非存在の世界に、その対象を結晶させていった。こうして生み出された神を典型とする非存在の主体は、奴隷にとって唯一の人間の証しであった。だが、近代の労働者は奴隷ではない。近代人は閉塞されているどころか、この社会の競争関係を構成する競争の主体として、現実に開き出されて存在している。状況が開かれたからこそ近代の思想は人間の解放を唱え、社会変革を叫ぶことができたのである。にも拘らずそれは、自己の現実の存在から断絶した、観念空間での解放と変革にすぎなかった。これは、宗教と同じである。近代思想は、その根底を成す認識構造において、二千年におよぶ奴隷の習性から一歩も脱却できずに、宗教の目(神=非存在の主体の認識構造)をそっくり踏襲してきたのである。
近代思想の正体は、すでに明らかであろう。つまり近代思想は、労働者の属性である〈誰かに雇われるのでなければ、自分では生きてゆけない〉奴隷的な現実を、不動の前提として組み立てられており、それ故その認識は、常に自己の現実から目を背けて非存在の世界へと収束されてゆく仕組みになっている。この宗教的仕組みによって、近代思想はもっぱら奴隷(雇われ人)であることを美化し正当化する事に腐心してきた。そして、現実には一度も奴隷であることをやめようとはしなかったのである。だから、近代思想とは、奴隷の思想に他ならない。
近代思想には、そもそも奴隷である事をやめる意思など、はじめから無かったのである。だからこそ近代思想は、実現の意思の下にはじめて必要となる対象世界の認識を欠落させたまま、平然としていられたのである。だが、まさにこの実現の意思の欠如と対象の認識の欠如の故に、個人主義の思想はただのエゴの塊と化し、個人主義の運動は、ただ社会にブラ下がるだけの運動と化して終ったのである。

■まとめ
○近代思想の認識構造とその突破口
・近代思想は、常に対象から目を背け、現実から逃避して、頭の中でだけ「現実」を否定し「自己」を美化し続けてきた。
・いま求められているのは、<自己から対象へ>の認識ベクトルの転換である。

○社会を対象化するには?
・対象世界の構造を把握し、自己を実現し得るような対象的基盤を獲得してゆかなければ、何も実現することはできない。
「社会」は頭の中にあるのではなく、現実の生産活動の延長線上に存在します。従って、社会を変えようとする実現の意思や認識も、現実の生産活動の変革の中から生み出され、そのような認識こそが本物であり実現基盤に成り得るのです。
現実の社会も、実際に誰がどのようにして動かしているのか、近代思想から脱却して徹底的に対象化していけば構造化できるはずです。
次回は、現実の社会を動かしてきた中核勢力とその支配構造を明らかにしていきます。
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