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日本の原子力利権 ~政・官・産・学・マスコミの結託→暴走~

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画像はこちら [1]からお借りしました。

日本の原子力利権 ~原子力閨閥~ [2]に続き、日本の原子力利権の実態を見ていく。

原子力というひとつの巨大産業をめぐって、霞ヶ関の官僚がなぜ執拗にこれを推進しようとするのか、すでにこれまでの章で、かなりの答えが解き明かされた。
 彼らが間違った政策を変更しないのは、ただチェーホフが描いた小役人根性を捨てきれないからではなく、官僚世界の上部に立つ人間たちが、個人生活の利益を追及していたからである。
 また、御用学者が故意に科学をねじ曲げたのも、その官僚と相通じて、個人生活の利益を追及していたからである。
 この背後にあったのは、電力会社という企業体であった。
彼らの場合は、露骨に利権に群がった。原発の建設費がべらぼうに高価であり、出費が多くなるため、電気料金を値上げするよい口実になったからである。
ここに、土建業者と原子炉メーカーが一体となって集団を形成し、分捕り合戦をくりひろげてきた。
梅澤邦臣が科学技術庁の原子力局長だった71年、中部電力最初の浜岡原発1号炉の建設がスタートし、彼は事務次官に昇格した。メーカーの東芝では、その一族として重要な役割を果たした玉置敬三が翌72年に社長に昇格、同じ一族に、初代の原子力委員会委員長・正力松太郎と原子力委員会の委員長代理・井上五郎があった。
 井上は中部電力の社長から、日本原子力産業会議理事、さらに動燃理事長という履歴を飾ったのである。その一族に、浜岡建設業者の鹿島建設・鹿島守之介の姿があった。
鹿島建設副社長・武藤清による超高層ビルの時代が訪れた。いわゆる柔構造によって、日本のように地震が頻繁に起こる国でも、超高層ビルは耐えられる、という理論が横行した。
兵庫県南部地震の大災害によって、これまでの耐震設計理論の基礎は、事実上は崩壊している。
 浜岡原発を建設する計画が出された当時は、東海大地震の恐怖が真剣に語られ、学界でも議論が沸騰した。しかしこのような鹿島建設を中心とする耐震理論の横行と、日本全体に蔓延した経済成長に対する慢心が手伝って、激しい反対運動にもかかわらず建設が強行された。
そこに、有沢広巳と茅誠司と伏見康治の学者グループが動いたのである。
日本原子力産業会議の会長・有沢広巳と日本学術会議の歴代会長・茅誠司および伏見康治、そして鹿島建設の常務・島津武と副社長・武藤清、中部電力取締役・岩波千春は、これほど親しい一族だったのである。
原子力の創始者・茅誠司が、エイズ研究班班長・安部英の設立した「血友病総合治療普及会」の理事だったという無気味な関係がある。また彼は、戦後の学会において、七三一部隊関係者の追及をやめるよう発言している。
原子力プラントの近くに10キロ以上の活断層があれば、すぐに御用学者がやってきて、これを10キロずつにこまかく切ってくれる。切ったあとは、その周辺で大きな地震が起こらない、というわけである。何より雄弁に日本全国のその事情を物語っているのは、「日本の原発50基のうち、大きな活断層があるために建設が断念された原発が1基もない」という歴史的事実である。
地質を調査する前に一度選ばれた土地が、のちに、すべて”大きな活断層のない場所”とされてきた。そのようなことは、この活断層だらけの日本では、本来、絶対にあり得ないことである。電力会社や通産省、科学技術庁、さらに原子力産業お抱えの学者は、ことあるごとに「近くに大きな活断層がないことを確認して建設している」と主張するが、実は、建設計画が始動すれば、その土地では危険な活断層が消されてしまうのである。
 では、なぜ田中靖政がこのような愚見を述べたか、私たちにとっては、その理由を知ることこそ大切である。
 彼は、前記の読売新聞紙上では「学習院大学法学部教授」となっていたが、別の肩書を紹介したほうが、理解しやすい人間である。つまり、「原子力文化振興財団」の理事、「日本原子力産業会議」の理事、「原子力委員会」の専門委員、「原子力安全委員会」の専門委員、「経済企画庁電源開発調整審議会」の専門委員、そして「日本立地センター」の参与である。
 田中靖政の職業は、巻町に原子力発電所を建設すること、そのものだったのである。
 また、原子力を推進する原子力委員会と、その危険性を警告すべき原子力安全委員会を兼ねているとは、”もんじゅ”事故後に日本中で批判されたように、田中靖政本人が、日本の原子力の法制度を最も意味のないものにしてきた当事者で、同時に、原発の危険性を放置してきた責任者であることを意味している。法学者でありながら、泥棒と刑事を兼ねるとは、驚きである。
『腐食の連鎖・薬害と原発にひそむ人脈』集英社より引用
東北地方太平洋沖地震の真実 [3]「辻元清美衆議院議員不当逮捕事件」より

もはや政・官・産・学・マスコミによる犯罪行為と言っても過言ではない。このようなことがまかり通ってきたがゆえに、今回の福島第一原子力発電所の事故が起き、さらに他の原子力発電所も同じような危険性を孕んでいると言える。
なお、以下の記述では、原子力発電所の建設計画の際に、利権享受者たちの息がかかった学者によって、計画地における地震の危険性が恣意的に矮小化されていることが如実にわかる。

原子力発電所などの原子力プラントが、どのような耐震基準でできているかと言えば、水平方向の揺れ、つまり横揺れを主体にして設計がおこなわれてきた。そのため、たて揺れ(上下動)については、横揺れの二分の一に耐えられればよい、となっている。
20キロ以内は、むしろほとんどが0.5を超えている。断層から近いところである。それは、ほかならぬ、大被害を受けた場所である。
 そして委員の誰かが、20キロ以上の、あまり被害を受けていない遠くの地点のデータに着目した。みな賛成した。その範囲から、測定値を大量に集め、データを大量に水増ししながら、ようやく平均値が0.45になってくれたので、安堵に胸をなでおろして、散会した。学問とは厳密なものである。0.5よりわづかでも低くなってくれればよいのである。
 垣見俊弘は、かつて通産省の地質調査所の所長であり、前章で述べたように、六ヶ所村の活断層隠しをおこなった衣笠善博の上司であった。垣見は、ほとんどすべての電力会社の原子炉にかかわり、設計許可時に、原子力委員会の原子炉安全専門審査会の委員あるいは通産省の顧問をつとめ、全国で「地質は安全の保証人」と呼ばれてきた重要責任者である。
 彼が「大丈夫」と言い続けてきた四国の伊方原発の目の前には、日本で最大の活断層である中央構造線が走っている。本州の中央部、長野県からはじまって南下し、実に九州を横断するという長さのものである。この活断層が全面的に動けば、マグニチュード8以上の巨大地震が発生すると予測されている。
腐蝕の連鎖 薬害と原発にひそむ人脈 第4章 学者集団と梅沢三兄弟の巨大な閨閥 [4]」広瀬 隆 著より

今回の原発事故においては、放射線量の時間当たりの許容値を年間の許容値と同列であるかのように扱うさまや、根拠もなく水道水や食品の放射線物質基準値を緩和するなど、素人でもすぐさまおかしいとわかる隠蔽工作が、御用学者と御用メディアによって行われている。
政・官・産・学・マスコミの結託→暴走であるが、隠蔽工作とすら言えないレベルのお粗末な誤魔化しは、事態の深刻さと彼ら自身の無能さを浮き彫りにしている。
今後、責任のなすりつけ合いが始まるだろう。
しかし、明らかに「政・官・産・学・マスコミの共犯」であり、どれかを生け贄に捧げたら、残りは涼しい顔、という訳にはいかない。
共認圧力を形成して特権階級全てを淘汰しなければならない。
今回、一番頼りになっているのは、普通の人々(と良識ある専門家達)の声である。
自分たちで発信し、もし不正確さや不足があれば、みんなで補っていくことでより確かな可能性が見えてくるのを感じる。
共認形成の場を自分たちでつくっていくことの重要性、そして、それこそが自分たちで社会を創っていくことなのだと、多くの人たちが感じ始めているのではないだろうか。
まだまだ厳しい状況が続くと思われるが、みんなで新しい社会を創っていく意志を持って、この状況を乗り越えていきたい。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
応援もよろしくお願いします。

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